「どうか、どうか、取引を成立させてください。なんでもしますから。」
「彼らは我々に電話をかけてきて、私の尻にキスをしている。」
関税の軽減を懇願する各国をあざけるトランプ大統領の言葉だ(朝日新聞2025-4-11)。共和党議員を前にした演説だという。ひどい侮辱…と言いたくなるが、実は日本政府がやろうとしていることはまさにそういうことなのではないかと先日書いた(さすがにそこまでひどい言葉は使わなかったが)。「相互関税」の影響は甚大で多くの企業が苦しむことはわかる。だが苦しいのは日本だけではないはず。原状復帰を得るだけのために卑屈になって譲歩を申し出るべきではない。
日米交渉に向けた米側担当のベッセント氏は、日本が米国の重要な軍事・経済的同盟国であると指摘したうえで、「彼らは優先交渉権を得るだろう。とても迅速に(交渉に)名乗り出たからだ」と言ったという(朝日新聞2025-4-9)。この言い方が気になる。交渉を望んだ国はいくらでもあるはず。まさか「譲歩を前提とした交渉」を日本が真っ先に申し出た、ということでなければいいのだが。
そんななか、「最後までお付き合いする」といって米国に立ち向かう中国の姿がまぶしく思える。米国の相互関税34%に対して同率で報復した中国に対してはトランプ大統領はさらに上乗せして応じた。他国に対しては相互関税は90日間猶予するなか、中国に対してだけは維持することに決めた。それでも中国は対話の余地は残しながらも引く構えはない。関税のかけあいで貿易が停滞するのは双方にとって不利益だが、暴君の専制に身を切ってでも抗する中国の姿勢は、日本人の心情にも響く。(もちろん、中国自身、香港、台湾、南シナ海、尖閣諸島などで横暴な態度を続けており、全体としてはまだまだ十分信頼できる相手ではないのだが、対トランプの姿勢に限ってはかっこいいという意味。)
先日も書いた通り、トランプ大統領が都合が悪くなるとすぐに翻意する。始めたばかりの相互関税を数時間後には90日猶予したのはその最たるものだ。「トランプ氏に対する一番の抑止力は報復関税ではなく市場だ」(林官房長官)(上掲朝日新聞2025-4-11)というのは正しい。先日も書いた通り、つらくても不当な要求には屈せず、米国以外の国との連携を深めることによって、トランプ大統領が国内の不満に抗しきれずに翻意するのを待つべきだ。(もちろん、各国と連携してトランプ大統領の非を説く「交渉」は積極的に行うべきだ。)
追記:相互関税を猶予したばかりのトランプ大統領が、今度は対中関税もスマホ・半導体関連は除外すると決めた(朝日新聞2025-4-14)。世界中で人気のスマホiPhoneが大幅に値上がりする可能性があって、メディアや消費者が懸念していたらしい。米アップル社の看板製品だが、組み立てなどは中国でしているためだ。半導体関連については、トランプ大統領は米国内での半導体工場の建設を進めようとしており、その障壁になりかねないことを実感したらしい。中国商務省は「相互関税という間違ったやり方を修正する米国の小さな一歩だ」と述べたという。まさにそのとおり。「アメリカファースト」を標榜するトランプ大統領のやり方はアメリカ自身にとって有害であることを実感すれば、卑屈な譲歩をしなくても、事態は改善するはずだ。
「彼らは我々に電話をかけてきて、私の尻にキスをしている。」
関税の軽減を懇願する各国をあざけるトランプ大統領の言葉だ(朝日新聞2025-4-11)。共和党議員を前にした演説だという。ひどい侮辱…と言いたくなるが、実は日本政府がやろうとしていることはまさにそういうことなのではないかと先日書いた(さすがにそこまでひどい言葉は使わなかったが)。「相互関税」の影響は甚大で多くの企業が苦しむことはわかる。だが苦しいのは日本だけではないはず。原状復帰を得るだけのために卑屈になって譲歩を申し出るべきではない。
日米交渉に向けた米側担当のベッセント氏は、日本が米国の重要な軍事・経済的同盟国であると指摘したうえで、「彼らは優先交渉権を得るだろう。とても迅速に(交渉に)名乗り出たからだ」と言ったという(朝日新聞2025-4-9)。この言い方が気になる。交渉を望んだ国はいくらでもあるはず。まさか「譲歩を前提とした交渉」を日本が真っ先に申し出た、ということでなければいいのだが。
そんななか、「最後までお付き合いする」といって米国に立ち向かう中国の姿がまぶしく思える。米国の相互関税34%に対して同率で報復した中国に対してはトランプ大統領はさらに上乗せして応じた。他国に対しては相互関税は90日間猶予するなか、中国に対してだけは維持することに決めた。それでも中国は対話の余地は残しながらも引く構えはない。関税のかけあいで貿易が停滞するのは双方にとって不利益だが、暴君の専制に身を切ってでも抗する中国の姿勢は、日本人の心情にも響く。(もちろん、中国自身、香港、台湾、南シナ海、尖閣諸島などで横暴な態度を続けており、全体としてはまだまだ十分信頼できる相手ではないのだが、対トランプの姿勢に限ってはかっこいいという意味。)
先日も書いた通り、トランプ大統領が都合が悪くなるとすぐに翻意する。始めたばかりの相互関税を数時間後には90日猶予したのはその最たるものだ。「トランプ氏に対する一番の抑止力は報復関税ではなく市場だ」(林官房長官)(上掲朝日新聞2025-4-11)というのは正しい。先日も書いた通り、つらくても不当な要求には屈せず、米国以外の国との連携を深めることによって、トランプ大統領が国内の不満に抗しきれずに翻意するのを待つべきだ。(もちろん、各国と連携してトランプ大統領の非を説く「交渉」は積極的に行うべきだ。)
追記:相互関税を猶予したばかりのトランプ大統領が、今度は対中関税もスマホ・半導体関連は除外すると決めた(朝日新聞2025-4-14)。世界中で人気のスマホiPhoneが大幅に値上がりする可能性があって、メディアや消費者が懸念していたらしい。米アップル社の看板製品だが、組み立てなどは中国でしているためだ。半導体関連については、トランプ大統領は米国内での半導体工場の建設を進めようとしており、その障壁になりかねないことを実感したらしい。中国商務省は「相互関税という間違ったやり方を修正する米国の小さな一歩だ」と述べたという。まさにそのとおり。「アメリカファースト」を標榜するトランプ大統領のやり方はアメリカ自身にとって有害であることを実感すれば、卑屈な譲歩をしなくても、事態は改善するはずだ。