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リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

「ブラック部活」適正化のためのガイドラインが受け入れられるために,何が必要か

2018-05-14 | 一般
スポーツ庁の有識者会議が運動部活動のガイドラインをまとめた(朝日新聞2018-5-14スポーツ庁).部活動があまりに過重にならないよう,週2日以上の休養日を設けること,活動時間も平日2時間,休日3時間程度を上限とするといった内容だ.対象は義務教育の中学校だが,原則として高校にも適用されるという(「運動部」ということだが吹奏楽部などはどうなのだろう?).
個人的には至極妥当な指針だと思うのだが,勝つためには毎日長時間の活動も当然と考えている人が納得できるものでないと掛け声倒れに終わってしまう.現に,1997年にも「中学校で週2日以上,高校で週1日以上」の休養日を設けるとしたが,浸透しなかったという.

今回のガイドラインは「スポーツ医・科学の見地からは、トレーニング効果を得るために休養を適切に取ることが必要であること、また、過度の練習がスポーツ障害・外傷のリスクを高め、必ずしも体力・運動能力の向上につながらないこと」を顧問が正しく理解することを求めているが,これだけでは根性論の人たちは納得しないだろう.もっと丁寧な説明が必要だ.そもそも,長時間の練習をする生徒や顧問の一部は,長時間の練習で効果を感じている場合もあるかもしれない.そう人たちに対して単に「こういう研究がある」というだけでは説得力が弱い.(おそらく練習時間に比例して上達した,というようなデータだって探せばあるだろうから,結局は「信じたいデータを信じる」だけになってしまうのではないか.)

さらに,「ひたすら練習」だったら誰でもできるが,きちんと休養を取った上で上達するには適切な方法で練習することが前提になるだろう.そのような方法論を現場に行きわたらせることが必要だ.この点でもガイドラインは「運動部活動における合理的でかつ効率的・効果的な活動のための指導手引(競技レベルに応じた1日2時間程度の練習メニュー例と週間、月間、年間での活動スケジュールや、効果的な練習方法、指導上の 留意点、安全面の注意事項等から構成、運動部顧問や生徒の活用の利便性に留意した 分かりやすいもの)を作成する」ことを中央競技団体に求めている.関係団体には早急に対応してほしいところだが,あまり複雑だとその競技の専門でない顧問の手に余る.「ひたすら長時間やるだけのほうが楽」と言われないよう工夫してほしい,

関連記事:
「「ゆる部活」のすすめ」
「部活動は必須じゃないはず? ――世代間ギャップに注意」
「部活動:やりたい人だけの「のんびり部」ではだめなのか?」

関連リンク:
「(フォーラム)中学校の部活動:1 短くなったか」(朝日新聞2017-6-4

追記:
部活指導員を増やす計画はあるようだ(朝日新聞2018-8-27).費用は自治体が負担して文科相がそれを補助する.ただ,責任はあるわりにフルタイムはほど遠い勤務で,なかなか人が集まらないらしい.職場で「ボランティア休暇」みたいなものができれば,サラリーマンでも務められるようになるのだろうが,現状では,なり手がいないのはわかる.今でも外部指導者の協力を得ている学校はあるようだが,どういう人が外部指導者になっているのかを知りたい.定年後の人や自由業の人なのだろうか?人材を集めるには,それに応じて部活指導員のあり方を見直す必要もあるのではないか.


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