リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

万年赤字の病院が空床補償で大幅黒字 ― 適正な補償はどうあるべきか

2021-12-19 | 一般
新型コロナウイルスの空床補償のおかげで、平均2億2400万円の赤字になるはずだった一般病院が平均1300万円の黒字になったという。都立病院の場合、数億円の赤字が続いていたが、2020年度はみな黒字になったそうだ。ある県立病院では、コロナ前の2019年度までは数年間7億円ほどの赤字だったが、2020年度は9億円の黒字になったという。2020年度の空床補償の総額は1兆1424億円に上る。(朝日新聞2021-12-17同1面)「補償」というのは損失分の穴埋めのはずであって、利益をここまで押し上げるというのは、何かおかしくないか。

空床補償というのは、コロナ患者を受け入れるために休止した病床(たとえば、一般病床を閉鎖する場合や、4人部屋を1人の患者で使うために3床が空床になる場合など)や、コロナ患者に備えて確保したのに患者で埋まらなかった病床に対する補助金だという。
もちろんコロナで医療が逼迫していたことは事実で、空床補償そのものは必要な施策だ。ただ、個々の給付が妥当であったかどうかは、事後であっても検証しておいたほうがいい。1兆円を超える「空床」補償が支払われる一方で、「自宅療養」という名のもとに放置されて自宅で亡くなる人が相次いだ。空床補償の対象になっているのに実際には稼働していない「幽霊病床」もあるそうだ。一部には、実際に受け入れ可能な数を上回って申請したとの指摘もあるといい、調べる必要があるのではないか(もっとも、コロナの病床確保のために人手不足となり休止した病床も空床補償の対象となるというから、必ずしも不正ではないのかもしれない)。医療機関が病床数をシステムに入力するようにして、入力しない部分は補償の対象としないとか、病床使用率がその医療機関がある都道府県の平均使用率の7割を下回ったら補償額を3割減らすなどの対策はするようだ。

空床補償そのものは必要だし、制度設計に手間取っているうちに病院が破綻してしまうのでは困る。だが税収10年分をはるかに超える借金を抱えた国の財布から支払われる以上、不正の処罰はもちろん、検証や制度の見直しは進めてほしい。


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