逆ギレで暴行，裁判の行方は？

パーキングエリアで車の止め方を注意したら高速道路で高速度で追いかけられて前に割り込まれ，車線変更しても執拗に妨害されて停車．胸ぐらをつかむなどの暴行をされた上，後方から来たトラックに追突されて夫婦が死亡．高２と小６の娘二人が残された．娘たちからはスマホか何かでリアルタイムで知人に恐怖を伝える連絡があったと聞く．
この事件が怖いのは，誰にでも起こりうるという点だ．車の止め方に限らず，公共の場で迷惑な行為を見たとしても，「今時何か言うと殺されちゃうから黙ってましょう」というようなせりふをあちこちで見聞きするような気がする．だが何も言わなかったとしても，追い越しをしたとか，すれ違いざまにちょっと触れたとか，目が合ったとか，それだけでもキレる人はキレるだろう．そうなるとどうやって我が身を守ったらいいのか．
今回の事件は死亡事故につながったこともあって大きく報道されているが，もしトラックの追突がなければどうなっていただろう．死亡事故にまでは至らぬまでも怖い思いをした人は多いのではないか．
朝日新聞（１１月１日）によれば，「あおり運転」で重大事故に発展した事例は過去にもある．「あおり」を受けて逃げようとしたら事故を起こして一人が意識不明の重体とか，ハンドル操作を誤ってガードレールに衝突して二人が死傷などだ．そうした事件で「あおり」をした人はどうなったのだろう？
記事によれば，「車間距離を極端に詰める」「急な割り込み」「急ブレーキ」「左側からの追い越し」「クラクションを鳴らしての威嚇」はみな取り締まりの対象となる．ドライブレコーダー装備が進んだ現在，裁判なら悪いのは相手で間違いないのだろうが，停車させられて胸ぐらをつかまれたとき，どう対処したらいいのだろうか．裁判では「進路変更や路側帯に退避して追い越しを促すことが常識的な対処」と指摘した例があるというが，今回の事例はそれも許されなかった．
記事によれば警察庁は「安全な場所に避難して１１０番通報をしてほしい」と呼びかけているそうだ．やはり文句を言われてからまれたら「警察を呼んで白黒つけましょう」と言うしかないようだ．