老朽化したマンションの建て替えを進めるために制度改正が重ねられているという(朝日新聞2022-8-17)。マンション(敷地全体?)の売却には各部屋の所有者全員の合意が必要という民法の規定があるが、2014年に導入された「敷地売却制度」では、耐震性不足と認定されれば特例として所有者の「5分の4」の合意で売却できるのだという。まあこれはやむをえないかもしれない。
だが気になるのは、耐震性不足の物件の場合、新たに建てるマンションは容積率の緩和が認められるという点だ。つまり、建て替え前よりも延べ床面積を増やすことができるから、その分を新入居者に分譲することで建て替え資金を捻出することができる。
マンションの建て替えでネックになるのが費用であることは言うまでもない。古い物件で敷地に余裕がある場合は、床面積を増やすことで新たな分譲ができ、建て替え費用をまかなうことができる。だが新築時に容積率をいっぱいまで使っている多くのマンションではそんなことはできない。建て替えとなると所有者1人当たりの負担額は1000万円以上になるという。
当事者としては容積率を緩和してもらって建て替え費用がまかなえれば、願ったりかなったりだが、どうも釈然としない。耐震性が不足する物件に限って優遇措置を受けられるというのも、なんだか不公平な気がする。昨年12月以降は「火災に対する安全性の不足」「外壁などがはがれ落ち、周囲に危険がある」といった物件も対象に加わったというが、構造上の優良物件や管理が行き届いているマンションが損をする仕組みというのはおかしくないか。いや、そもそも、容積率というのは町がむやみに過密にならないように定められているという側面もあるはず。周囲への危険性の防止という一定の公益性があるとはいえ、建て替え促進のために「過密でない街」という公益を犠牲にすることが納得いかない。
新たな分譲によって資金を捻出しない限り建て替えが事実上できないというのはあらゆる分譲マンションに共通ではないだろうか。諸外国ではどうなっているのだろう。(日本では持ち家志向が強いと聞いたことがあるから、諸外国では日本ほど問題にならないのかもしれない。)もちろん一戸建てでも建て替えとなるとそれこそ所有者負担は1000万円ではすまないだろう。だが一戸建てなら所有者が本当に必要なタイミングで建て替えを選択することができる。集合住宅では住人の年齢やライフプランなどさまざまな事情で建て替えの必要性が異なるから問題になるのだろう。
少なくとも今の「容積率緩和で建て替え」は持続可能なシステムではない。なんとかならないものだろうか。
だが気になるのは、耐震性不足の物件の場合、新たに建てるマンションは容積率の緩和が認められるという点だ。つまり、建て替え前よりも延べ床面積を増やすことができるから、その分を新入居者に分譲することで建て替え資金を捻出することができる。
マンションの建て替えでネックになるのが費用であることは言うまでもない。古い物件で敷地に余裕がある場合は、床面積を増やすことで新たな分譲ができ、建て替え費用をまかなうことができる。だが新築時に容積率をいっぱいまで使っている多くのマンションではそんなことはできない。建て替えとなると所有者1人当たりの負担額は1000万円以上になるという。
当事者としては容積率を緩和してもらって建て替え費用がまかなえれば、願ったりかなったりだが、どうも釈然としない。耐震性が不足する物件に限って優遇措置を受けられるというのも、なんだか不公平な気がする。昨年12月以降は「火災に対する安全性の不足」「外壁などがはがれ落ち、周囲に危険がある」といった物件も対象に加わったというが、構造上の優良物件や管理が行き届いているマンションが損をする仕組みというのはおかしくないか。いや、そもそも、容積率というのは町がむやみに過密にならないように定められているという側面もあるはず。周囲への危険性の防止という一定の公益性があるとはいえ、建て替え促進のために「過密でない街」という公益を犠牲にすることが納得いかない。
新たな分譲によって資金を捻出しない限り建て替えが事実上できないというのはあらゆる分譲マンションに共通ではないだろうか。諸外国ではどうなっているのだろう。(日本では持ち家志向が強いと聞いたことがあるから、諸外国では日本ほど問題にならないのかもしれない。)もちろん一戸建てでも建て替えとなるとそれこそ所有者負担は1000万円ではすまないだろう。だが一戸建てなら所有者が本当に必要なタイミングで建て替えを選択することができる。集合住宅では住人の年齢やライフプランなどさまざまな事情で建て替えの必要性が異なるから問題になるのだろう。
少なくとも今の「容積率緩和で建て替え」は持続可能なシステムではない。なんとかならないものだろうか。