goo blog サービス終了のお知らせ 

リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

保活「落選狙い」について再考

2018-12-08 | 待機児童
育休を延長したいがためにあえて人気の高い園を希望し落選通知をゲットする――そんな「落選狙い」について先日書いた。その時の主題は「落選狙い」対策として厚労省が提示した「入園本気度チェック」についてのものだったのだが、朝日新聞2018-12-8の「記者有論」を読んで、そもそも「落選狙い」について私の理解足りなかったような気がしてきた。

●落選狙いと育児給付金
育休中は給与の50~67%が給付される。その出元は雇用保険だから、不正をして育児給付金をせしめようという行為には目を光らせる必要がある。だが育休を延長するのは、預け先がみつからなかったためにやむなくという人も多い。やむを得ず育休延長をする人と最初から育休狙いの人を、行政側が判断するというのはやはりできず、「本気度チェック」のような自己申告によらざるを得ないだろう。

●復職するつもりのない育休延長
育休を延長して復職する行為は、仮に最初から育休延長を狙ったものであったとしても、それほど非難すべきことではないと思う。首相から「3年間抱っこし放題」と言われるとカチンとくるが、そのくらいは子供についていたいという親だっているだろう。(だから、そもそも育休延長に落選通知が必要という要件を外すべきだという主張も理解できる。)
今回の記事で今さらのように気づいたのだが、育児給付金との関係で見たとき、本当に問題なのは、復職するつもりがないのに育休を延長し、最大限給付金をせしめようすることだろう。
だが「記者有論」によれば、「落選狙い」を問題視している大阪市の場合でも、市が「落選希望」と判断したのは新規申込者のうち1%にすぎず、東京都江戸川区では2%、川崎市では3%にすぎないという。さらに、給付金を受け取りながら育休明けの時点で退職する例はごく一部だという。
たしかに復職するつもりがない人に雇用保険から給付金が払われるとしたら問題ではあるのだが、「わずかな事例を理由に、すべての人の内心に立ち入ってギリギリ追及することが、保育行政の姿だろうか」とする「記者有論」の疑問はもっともだ。

●育休延長は待機児童を解消できない自治体の要望でもあった!
「記者有論」はさらに、そもそも育休を最長で2年延長できるようにした背景として、一部の自治体から保育園を新設して待機児童を受け入れるよりも、育休延長により家庭で保育してもらうほうが安上がりだという声が上がったためでもあったという。現に、自治体の窓口で「落選狙い」を指南される事例も多いようだ。育休延長制度は、待機児童を解消できない自治体の都合でもあったのだ。

●上記のように、「落選狙い」のうち、最初から復職するつもりのない「落選狙い」はたしかに問題だが、全体のごく一部だ。政府は待機児童解消のめどもたたないまま幼児教育無償化に向けて突っ走っているが、一部の「落選狙い」を待機児童数を少なくカウントするための口実にしてはならない。

「待機児童」カテゴリーの記事一覧


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ワンクリック詐欺に支払い義... | トップ | 防衛産業は衰退してもいいのか »
最新の画像もっと見る

待機児童」カテゴリの最新記事