リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

辺野古移設は「唯一の解決策」という軍事的根拠の洗い直しを

2018-12-16 | 政治
安倍政権は辺野古沿岸部への土砂投入に踏み切った。首相は沖縄県知事とはの会談には応じたものの、形ばかりで、既定方針を変える話し合いに応じることは拒否し続け、今回の実力行使に出た。もはや後戻りのできない状況を既成事実としてしまうことで、4月の沖縄での衆院補選や夏の参院選で反対派の気勢をそぐためだというからやりきれない。どの政権もそうなのかもしれないが、選挙が近い時だけおとなしくしていて、選挙が済んだら暴走するというのは安倍首相下の自公政権において際立っている。
日本政府もアメリカ政府も、普天間飛行場のヘリ部隊やオスプレイ部隊を辺野古に移すのが「唯一の解決策」としてきた。海兵隊ヘリ部隊を国外や県外に移設させることは、海兵隊の機動性を損ない、抑止力の低下につながりかねないからだという(朝日新聞2018-12-15)。
だが、元防衛庁官房長で在職時にはやはり辺野古が最善と思っていたという柳沢協二氏は、そうした「抑止力」に疑問を投げかけている(朝日新聞2018-12-13)。イラク戦争以降アメリカは海外での軍事行動に慎重になっており、そこを見透かされれば抑止力にはならない、というのが一つのポイントらしい。そしてその「抑止力」の中心たるべき海兵隊の主力はグアムに移り、辺野古は残る2000人の足であるオスプレイ24機を置く場所になるが、軍事的には小さな存在で、日本の防衛にも大した影響はないという。
海兵隊の主力がグアムに移転しても沖縄の海兵隊が抑止力だといえるのか、普天間の小部隊を他に移すことがその機動性を損なうのか、私にはわからない。だがそういうことがきちんと議論されたのだろうか。
辺野古移設反対派の声は、メディアでは「反対」という一言以外、あまり詳しく報道されていないように思うが、そういう軍事的必要性が妥当かどうかをきちんと検討し直すことも要求していると思う(たぶん)。それにすら応じない自公政権の強引な進め方はやはり許しがたい。

追記:アメリカの元国務長官首席補佐官のローレンス・ウィルカーソン氏は在沖海兵隊は小規模すぎて戦略的価値はないという(朝日新聞2019-2-22)。台湾であれ南シナ海であれ中国と戦争になるとすれば、空と海のはずで海兵隊の出番はないとのこと。中国に対する抑止力として重要なのは、アメリカが日本防衛にコミットしている立場を明確にすることであり、軍事的にも、沖縄の海兵隊よりも、米本土からB2戦略爆撃機を送って日本周辺を飛行させるほうが有効だという。
辺野古の基地についていえば、気候変動による自然災害や攻撃に対する脆弱性という観点からも愚かな計画だという。
これがすべて正しいかどうかはともかく、こういうことを議論することなく「辺野古が唯一」との結論ありきで物事が進んでいくのが耐えられない。

追記2:沖縄の米海兵隊の中核である「第31海兵遠征部隊」(31MEU)が年100日超も海外にいることがアメリカの公文書で裏付けられた(朝日新聞2019-3-31)。在沖海兵隊の行動範囲は、基地を置く場所の議論の重要な前提として考慮すべきだろう。

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