リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

東名あおり運転死亡事故:あおりは危険運転に該当するか

2018-12-02 | 一般
あおり運転で追い回されたあげくに割り込まれて停車させられ、停車して降りたら胸ぐらをつかまれ、挙句は大型トラックに追突されて死亡。そんな東名あおり運転死亡事故に関して起訴された被告の裁判が始まるという。罪状は「危険運転致死傷罪」と、予備として監禁致死傷罪だ。被告側は事実関係は認めるものの、事故は停車後のことであり無罪を主張するという。(朝日新聞2018-12-2
今回の行動は危険運転致死傷罪でいう危険運転に該当するのだろうか。
まず、危険運転死傷処罰法では「危険運転」は「通行中の車に著しく接近し、かつ、重大な危険を生じさせる速度で車を運転する」ことと定義している。たしかに弁護側のいう「運転中にのみ成立する」という主張もわからないではない。だが、「前に割り込んで減速すること」、ひいては停車させることもこの定義には含まれる(過去ブログで引用する新聞記事はその点も明記)。そして事故が起きたのは高速道路の追い越し車線だ。停車すれば重大な危険が生じるのは明らかなのではないか。
記事で大学教授は「停車前の運転を危険と評価しても、死傷との因果関係が弱い」として、現行の法律では罪に問えず、「法改正による対応を考えるべき」という。一方、元検事は「危険な運転と死傷との間に因果関係があれば罪は成立する」と述べており、有罪派のようだ。
こうしてみてみると、どちらの意見も、「停車させた行為」と死傷との間の因果関係をどのように評価するかがポイントだということでは一致している。
私も今回のことは人ごとに思えず、被告には厳罰を望む気持ちがあるが、感情で法律を拡大解釈することは許されない。裁判員裁判とのことだが、市民感覚の導入はいいとして、それは法律に基づいたものであるようにしてほしい。

付記:事故当時からいくつも記事を読むが、大型トラックに追突された時点で被告がどこにいたのかがよくわからない。今回の記事によれば、停車中のワゴン車付近にいた夫婦が死亡し、車内にいた姉妹がけがを負ったとあるが、その時点で被告がどこにいたのか、無傷だったのか、だとすればなぜかが報道されていない。新聞は死亡の具体的状況などを書くことは避ける傾向があるが、このあたりは「死亡との因果関係」を考える上でも重要ではないか。たとえば、「胸ぐらをつかんで」詰め寄る状況の続きで夫婦を引き留めていたのか、ワゴン車の前に停車中の自車に戻っていたのかでは、かなり印象が変わってくる。どうなのだろう。

追記:上記の付記について、朝日新聞2018-12-4によれば、停車後被告は自分の車を降りて「けんか売ってんのか。殺されたいのか。高速道路に投げ入れてやんぞ」などと怒鳴り、被害者を車外に引きずり出そうとし、その直後に追突したという。
一方、同日の横浜版によると、被告の車に同乗していた女性は被告の腰を引っ張るなどして「子供がおるけん、やめとき!」と説得し、被告が冷静になり、自分の車に戻ったという。女性はその後の記憶がなく、気がついたら病院だったというが、この証言によれば追突の瞬間は被告は自車に戻っていたことになる。(※朝日新聞2018-12-14夕刊によれば、自車に戻る途中で追突があったという。)

追記2:「胸ぐらをつかんで暴行」と報道されていたと思うが、暴行罪などはないのだろうか。

追記3:懲役18年との判決が出た(朝日新聞2018-12-14夕刊)。検察は「高速道路での停車行為は危険運転に該当する」と主張したが、やはり「運転」ではないという判断になったようだ。ただ、素人感覚では、「停車せざるを得なくなるような割り込み・減速を含む運転」が事故を生んだといえるのではないだろうか。判決では、割り込みによる「4度の妨害と停車、暴行は密接に関連があり、その危険が事故によって現実化した」という検察の主張は認められたといい、また危険運転致死傷罪の成立を認める理由として「追突事故が起きる可能性が非常に高く、石橋被告が車に戻る途中に事故が発生しており、危険は解消されていない」と述べており(部分引用でわかりにくいが)、このあたりが私の市民感覚と合っているといえるのかもしれない。

追記4:それにしても今回は死亡事故につながったことで大きな話題になったが、似たような逆切れ「暴行」事例はよくあるのではないだろうか。今回の被告も同様の行為を繰り返していたという。今回の判決が抑止力になればいいのだが。




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