6月12日、大阪・キタをベースに野宿者支援に携わる支援団体・「釜ヶ崎パトロールの会」のメンバーが大阪G8財務相会談を目前にして逮捕されるという事態が生じた。
容疑は生活保護費を不正受給したというものである。
この点で、転載にあたり個人的にコメントしておきたいのは、まずは事実関係からして不明の段階で軽々にいうことはできないのだが、あくまでも一般論としていえば、こうした弾圧は十分に予想できたものである。
とりわけ2006年3月30日「生活保護行政を適正に運営するための手引」が出され、「地方公共団体がいわゆる不正受給について法(生活保護法)78条の発動を怠っている場合は、保護費の国庫負担に当たって当該地方公共団体に対し負担金返還措置がとられる場合がある」等の恫喝まがいの文言をところどころにちりばめながら、「告訴状」の書式まで示して、積極的に刑事手続をとるように政府・厚労省は促している。
そしてそれ以降、それこそ、従来であればこんな事案で逮捕されるのか、という「微罪逮捕」というべき事案も目立っていたところである(たとえば最近では
2008年5月に徳島で夫婦が逮捕された事案等)。
滝川市のような巨額な事案においては、厚労省が知らなかったということ事態不自然であり、これを口実にした通院移送費の打ち切りという通知は広範な市民の怒りを浴びているわけであるが、これにとどまらず厚労省は本年度の生活保護制度については「漏給防止・濫給防止」をおおきなスローガンに掲げ、それに少しでも説得力を持たせ、生活保護へのアクセスが相変わらず不全な状態にあることに対する批判を少しでもかわすために、ことさらに「不正受給」が巨大な社会問題であるというキャンペーンを張ろうとしているのである。
このようななかで、たとえば相談者のなかに協力者を紛れ込ませ、うっかり相談員が「うーん、それくらいなら黙っててもわかんないんじゃないの?」とか言おうものなら詐欺の共犯として弾圧されかねないところにきている、ということは繰り返し支援団体のなかで注意喚起されていたところである。
その意味では今回の事案がある程度の基礎事実にもとづいておこなわれたものであるとするならば、その「脇の甘さ」は指摘せざるをえない。
今後、この件に対してどのように対処していくのかというのは、支援者としてのわれわれ、というか自分も含めてなのだけど、考えていくべき課題、ということになる。
これは、当然「不正受給」が事実であるとすれば、ということを前提としているのであり、それ自体デッチ上げである可能性は現時点で排除されていないことはあらためてここで言及しておく。
そして、やはり、およそ逮捕するに値するような事案ではないにもかかわらず、「不正受給」を口実に逮捕されるというのは、絶対に容認できない事態であり、しかも、今回の弾圧の大きな狙いがG8サミットを目前に控えたなかでの明らかな政治弾圧であり、到底許されるものではない。
救援のためにはたらく仲間の支援の為に自分も全力を挙げて取り組んでいくことを表明しておく。みなさまもご支援よろしくお願いいたします。
(追記)
多分カンパ先はここでいいんじゃないかな?
郵便口座:00930-6-139747
(大阪キタ越冬実名義)
(以下、転送歓迎)
みなさま
6月12日(木)、釜ヶ崎パトロールの会のメンバー自宅にガサが入り、メンバーはそのまま逮捕されました。容疑は、新聞報道にあります通り、生活保護の不正受給です。本人は名前・住所含め一切を黙秘しておりますので、留置番号により「曽根崎3号」として報告します。
すでに10日間の勾留がついていますが、接見禁止措置はついていないので、面会はできます。しかしながら、公安デカの意地悪のせいで面会回数などが制限される場合もあります。あまりにも「曽根崎3号」への面会希望が殺到してしまえば、ハッピーどころか救援にあたっている者が大切な要件を伝えられない場合があるので、希望の方は下記までご連絡をよろしくお願い致します。
6月12日、13日には、サミット財務相会合が開かれている大阪で抗議集会・デモをやりぬきました。デモ後には、曾根崎警察署へ行き、「曽根崎3号ガンバレ!」「金持ちのためのサミット反対!」と声を届けました。
6月5日(木)にも野宿者運動活動家が逮捕され(6月13日に釈放)ましたし、6月10日(火)には洛南ユニオンの組合員が不当逮捕されています。デタラメな逮捕、刑事によるストーカー行為・盗聴、来日者の恣意的な入国妨害…、数多くの人権侵害を引き連れながら、批判や抗議を抑圧して強行されるG8サミットに抗議します。
「曽根崎3号」への激励のメッセージをよろしくお願いします。
釜ヶ崎パトロールの会
kamapat @ infoseek.jp
http://kamapat.seesaa.net/
090-8380-0269
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釜パトアピール
G8の支配に――「NO!」
ああ、もういいかげんにしてくれ!
また見たくもない顔を見ちまったよ。大阪府警公安三課の連中。つい一週間前にも、野宿者解放を闘うアクティビストがやられて、ガサ入れやられたとこだよ。
もっていかれたのは「曽根崎3号」。野宿者運動に取り組む釜ヶ崎パトロールの会のメンバーだ。「仲間と自身の権利と尊厳を守るため」、彼は完全黙秘を貫いている。
何も言うことはない。ほんとに何にもないんだ。そもそもG8サミットなんて、相手にしたくも世話になりたくもねえんだ。いちいち弾圧を受けて、いちいち声明書くヒマはねえんだ。は野宿の仲間や、日雇い労働者や、失業者や、生活保護利用者や、高齢者や、ガンの患者や、アル中やワーキングプア・・・。おれたちの周りの仲間は毎日生き抜くためにいそがしいんだ。やつらに、金持ち連中と、その犬どもに言ってやりたいことはただひとつだけ。――「NO!」
それなのに、世界のホンのひとにぎりのやつらが、世界中をコントロールするための密談を、おれたちがタバコや安酒をせっせと飲んで払った税金で、ワインをかたむけながらヤッてやがる。全てはやつらの金儲けのために。おれたちのことなんてハナから見向きもしてねえんだ。やつらの支配に――「NO!」
「曽根崎3号」がしでかしちまったのは、「生活保護の不正受給」。二年前に数ヶ月の間、派遣や日雇いで働いて得た収入を福祉事務所に申告しなかったってことだ。これをとがめるとしたら、福祉事務所の仕事だろう?大阪府警の、しかも公安三課の出る幕じゃない。それに、「今」やることじゃない!G8のためにやることじゃない!
G8とケーサツはセットでやってくる。つきまとい、盗聴し、デタラメな逮捕を繰り返す。「NO!」を叫ぶ口は実力でふさぎにかかる。街には機動隊といかついバスがうろつきまわって、まるで「有事」のための訓練をライブでやってるみたいだ。昨日の集会とデモにだって、おれたちのデモ隊列にも、倍以上の機動隊や公安デカがくっついて歩いて鬱陶しくてしょうがない。いつでもケーサツによる弾圧とG8はセットでやってくるんだ。
もういいかげんに、G8サミットなんて、新自由主義に未来をゆだねるなんて、終わりにしちまえ!世界中の「持たざる者」、野宿の仲間や、失業者、貧困者たちが同じ「NO!」を抱えてる。札幌で、洞爺湖で、仲間たちはきっとおれたちの未来を切り開く自由と自律の空間を作り出すだろう。おれたちの希望はそこにある。そして同じような空間をこの大阪でも作り出し、世界のあちこちで作る仲間とつなぎあわせることで、G8なんかいらない世界を描き出す。
ただ、ここで生き抜くために。世界中の仲間と、「曽根崎3号」とともに!
釜ヶ崎パトロールの会
kamapat @ infoseek.jp
http://kamapat.seesaa.net/
090-8380-0269
〒530-0025 大阪市北区扇町1-1
扇町公園内キタ越冬実現地本部
(以上)