釣りもできなくなるのか、ＴＰＰ！

年内妥結に向けて、を合言葉のようにＴＰＰ交渉が進められていたが、ゴリ押しの多国籍企業（米国）の強要も、さすがに時間切れで来年へ持ち越される様相である。

交渉の内容や進捗状況が当事者の国民に殆ど開示されず、結果だけ問答無用で押し付けられるという奇怪な取り決め、しかも政と官がナゼか前のめりになっている現象は、一国の統治体制すでに末期現象、と言うしかない。交渉は難航している、と頑張ってるいるようだが、先の選挙期間に自民党ポスターには明確に、ＴＰＰ反対、と記載していたのだから、不平等条約は締結しない、と帰ってくればいいはず。

さて、山田正彦元農水相が手に入れた「投資」に関するリーク文書によれば、TPPで日本の海域内における漁に、外国企業が参入することになるという（水産庁も全漁連も知らなかった、とか）。http://iwj.co.jp/wj/open/archives/113840

昔から日本では、沿岸の集落の人々にその入江の漁業権が与えられ、何世代にもわたって受け継がれてきた。しかし、TPPでは、「沿岸の集落のみ漁獲許可を与え、外国船籍の操業を許可しない場合」は違反となり、日本政府は提訴の危険に晒される。つまり、昔から沿岸に住む人々に与えられていた漁業権が取り上げられ、入札にかけられる。と

なにしろ、「関税障壁はすべて撤廃」し多国籍企業の利益追求が、一国の法律や条例、規則よりも優先する、のがＴＰＰだから、漁業法をはじめ一地域（例えば日本、例えば相模湾）のルールなど、漁業権さえ買収すれば、他の漁師はじめ釣り人等も権利侵害者として締め出されることになるだろう。

大昔から「自然（海）はみんなのもの」が大前提でやってきた日本だが、どうやら、漁業者からは生計のもとを強引に買い上げ、釣り人から趣味を奪う強欲資本主義は、その本質を現わしつつある。

現状、確かに漁師と釣り師はそれほど仲がいい、とはいえない。サカナを獲る行為は同一だが本業と趣味、と立場が違うので「仲間」にはなれないようだ。しかし、試行錯誤の積み重ねで棲み分けはできている。また、県では、漁業者、遊漁船業者、釣り人の団体等が話し合い、「遊漁に関する申し合わせ事項」を定め、限りある水産資源と漁場環境を守るとともに、漁業と遊漁とのトラブル防止にも前向きである。http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f790/p8876.html

だが、カネにモノを言わせて漁業権を「専有」する多国籍企業には、ハナシアイやスミワケといった「共生」「相互発展」概念は、米国の訴訟社会を見るに、あり得ないことだろう（少しプロセスが異なるが、ハワイのシーフードは、本国から、大企業が漁獲した魚類が持ち込まれる流通が確立され、すでに現地の漁師は絶滅した）。

この荒波は今後、海だけでなく、農業、医療、保険等あらゆる分野に及び、実質、日本が叩き売られる（廉価で買い取られる）のではないだろうか？

分かったときは、あとのまつり、にならなければいいが・・