今年は天候不順、といいながらも、はや初夏の候、いい季節になった。相棒と今年初めての船釣りに行った。むかしのことは遠い彼方だが、厳寒の時期でも深場釣りに出漁し、一年中 釣りに明け暮れていた、その頃からすれば、すっかり「過去の趣味」、「往年の釣り師」である。
昨今は、「タイラバ」などという奇怪な形状の一種のルアーが隆盛を極めており、にわか釣り師でも冬場にも拘わらず60センチ、70センチの大鯛を何枚もあげている、そうだ。新しいことにあまり抵抗のない自分としては、昨年、早速入手し一度試用した記憶がある。この代物、要するに、派手な色彩の鉛重りにゴムラバーを手足の如く飾り立てたものだが、鯛には美味しそうに見えるのか、それとも闘争心、好奇心をかき立てるのか?相棒は当初「あんなものは・・」と冷淡だったが、いまでは自作して数種類持っている。工夫と創造の世界だから、釣果実績が出るものは無視するテはない。
しかし、これの釣り方が面白くもなんともない。タイラバが着底したら、ただひたすら一定速度で巻きあげる、それの繰り返しだという、だから退屈で 退屈で・・・それでも、鯛が ガッと食いつくイメージと希望を持って、粘り強く作業しなければいかんのだろう。が、小一時間もするうち飽きた。
で、かって知ったるコマセ釣りに変更。
「エサを使う釣りなど釣れるのが当然だから、・釣り・としては一番カンタンで 百姓のやることだ、誇り高き釣り師としては知恵を絞り、疑似バリを用い、サカナと互角に対するのだ、」とかなんとか開高大兄は言っとったが、自分は現役の百姓だ~・・
相棒はイワシの生き餌でヒラメ狙いと鯛ラバの両刀使い。ほどなく自分もヒラメ竿を出す。濁りの入った汐は緩やかに流れ、波も穏やか。程良い風でヨットの操作も快調の様子。
春霞で遠望の景色が柔らかくぼやける。
やがてコマセが効いてきたのか、40m底近くで結構なアタリー! 3号ハリスだから慎重にやりとり。
相棒がネットを持ってランディングの構えをしてくれる。
やりとりのすえ 上がってきた獲物は 「サバだ~!」。 サバも鯛の引きも区別がつかなくなってしまった、のかいなー・・
このあと、底たちのとり方が悪くうみへびが来たり、結局、サバ数尾 マアジ一尾の釣果で納竿。でも一応、準備運動は順調、ということにしておこう。
サバは〆サバに、船上で干したイワシは生臭くなく酒の肴にことのほか美味しかった。