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動物支援センター NPO法人・アニマル ウィング

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犬猫の身体に合った食べ物の話(第3回)

2012-07-19 13:49:31 | 動物愛護
少しだけでも自然に帰って、犬猫の身体に合った、食べ物の話(第3回) 

第2回までの答えとして、ペットフードに欠けている、水分・酵素を簡単に補えるのがトッピングご飯である。
トッピングご飯だと、水分・酵素を補えるから、解毒力が高まる。
トッピングご飯は、手作りご飯よりは面倒でないし、トッピングご飯をちょっと応用したら手作りご飯にもなる。

トッピングご飯実践BOOK

私がとりわけ参考になったのが、上にリンクした本である。
この内容をかいつまむとともに、自分の経験なども含めて話そうと思う。
基本としては、トッピングご飯は、犬猫が食べられない食材(イカ・タコ・タマネギ・ネギ・チョコレート・魚の骨・レーズン・香辛料など)を除いて、新鮮な魚や肉、そして野菜を毎日1~2品ゆでて(猫にはとりわけ小さく刻むか、野菜はなくてもよい)、ゆで汁ごとぶっかける形で十分補えるものである。
人間が生で食べて危険のない肉・魚であれば生でもいい。最近は季節的にも心配であるというならば、さっと火を通すとよい。(ごんごん煮込む必要はない。)

ただ、鶏の骨については、食べてはいけない食材としてよく書かれているが、若鶏の手羽先ならば、小型犬でもキッチンハサミで切って与えると問題ない。栄養たっぷりであり、特に中身は生のほうが良い。鶏の骨の中身が空洞になって刺さりやすいのは、年をとって卵を産み終わった後にトリガラにされた鶏のことである。もともと、野犬は鶏を襲って食べていたりしたもので、私の実家でも鶏は骨ごと犬の常食であったが、犬は一度もケガも病気もすることなく、18年生きた。最近は、鶏の骨に関しては少し大げさにひっくるめて言いすぎでないか、情報は正確に伝えて欲しい、というのが私の経験からの考えである。

むしろ、牛のひづめなどのかたすぎるものは、歯が折れてしまう。犬は、あごの力ほど歯が強くなかったりする。これも私の経験であるが、実際に犬の専門歯科に連れて行くと「ひづめで歯が折れて歯髄が露出し、治療になった例が多い。野球のバットという例もあった。」と言われた。ひづめなどは普通に売ってあるが、食べさせないほうがよいと思う。

肉と魚

骨抜きのタラ・シャケ・サバ、鶏のササミ・ムネ・レバー、そして卵など。いちいち切るのも大変という場合はこんなものもある。犬猫用に、ミンチにしてあって、小分けまでしてあり、安全で新鮮という至れりつくせり。(店舗名・商品名はクリックすると飛べます。)

とり農園

Prime KS

(ちなみに私は、骨取りのされた白身の魚や、肉では主に「みつせ鶏」を使っている。ぎゅうぎゅうづめにされて、ストレス一杯で薬をたくさん投与されて育てられた鶏よりは、動物福祉を重んじて、せめて食料にされるまでは幸せに生きて欲しいということを考えれば、自然放牧され、休薬期間を多くとったものを使いたいという思いからのブランド鶏の使用である。)

野菜

犬は割と多くの野菜を好む。しかし、いちいち刻むのが面倒という人にはこういうものがお勧め。

みのるオンライン

産地まで書いてあって安心。

猫は割りと甘い野菜を好む。私の経験上では、猫が好みやすい野菜が、かぼちゃやブロッコリー。
肝臓病やガン予防になる野菜である。

↓うちの猫のうち1頭は、とりわけブロッコリーをゆでると飛んでくる。他の食材を置いても座って待っているが、ブロッコリーは大好物らしい。


猫の中には、小さい頃に食べたものを後々まで好むことが多く、小さい頃の食事はとりわけ大切である。成猫に新しい食材を食べてもらおうとするときは気長に。

水分

肉などのゆで汁ごとぶっかけるのが基本であるけれども、こういうのも併用すると便利。
何も食べられなくなったときに備えて、こういうものを好むようにしておくと、いつかくる病気も乗り越えられる確立が上がる。

栄養スープの素

ついでに、病気の話関連で、うちの子は消化器官が弱くて、という人のためにこちらも紹介。

消化酵素

それから、これはエエッと思う人も多いかもしれないけれど、

牛乳

このメーカーは乳糖を80パーセントカットしてあるものが売ってある。
これなら、乳糖不耐性で、牛乳だとおなかを壊しやすい子もよいと思う。
(うちの犬は、乳糖不耐性ではないから、普通の牛乳を飲む。牛乳に関しても、まるで犬猫にとって毒であるかのように言う情報もどうかと思う。私に言わせれば、牛乳そのものではなく、産地不明・牛の育て方や扱いが不明の牛乳の方が怖い。)

普段から水をたっぷり飲ませたいという人はこういう器も良い。購入者のレビューを見ると、かなり満足度が高いのが分かり、動物病院の先生に薦められたという話もある。私も満足した1人である。
猫は水分不足から発する疾患が多いから、特に水を飲む量には気をつけたいところ。

ヘルスウォーター

酵素

「今日は野菜をゆでるのも面倒だけれど、酵素は欲しいな」という方には。

発酵野菜

さらに、なんと、最近は酵素の入ったドライフードというのもあります!

ワイソン(ドッグフード・キャットフード共にある。これ、うちの連中は非常に好む。)

Now!(ドッグフード・キャットフード共にある。)

他に、ドライフードは何を与えていますか?という質問がありましたので、私が一番いいと思うものを。

オリジン(ドッグフード・キャットフード共にあり、サイズもいろいろある。)

私は、朝がドライ、夜が手作り(時間の無い日はトッピング)ということが多いです。
トッピングご飯の日の中でも、とりわけ時間がない日のトッピングご飯は、上で紹介したものを組み合わせて

こんな感じのものをドライフードと混ぜます。
まだ野菜類を食べなれない子には、左の写真のように、やわらかい白身の魚(骨抜き)などから。

ただ、ひとつ面倒なのは、プレミアム・フードは、ホームセンター、スーパーには売ってないということである。

日本ではフードは雑貨扱いのため、食べ物として扱われないのだ。

その扱いを利用して、プレミアムフードをも雑貨として輸入した、「並行輸入品」も安めにあったりするが、品質管理を考えると「正規輸入品」「正規品」を買ったほうがより安全である。
(ネットでは正規輸入・正規品など明記してあるものを選ぶ。)


さて、続いて、私が最も便利と思うものは、

デンタルサプリ

酵素の力で口の中が綺麗になり、口臭が減るだけでなく、プレミアムフードはまずい(味が薄い)という子も、チーズの香りを好むことは多く、ふりかけとしても重宝。

犬も猫も歯磨きが必要です。年をとるごとに歯石がたまり口臭がきつくなったり、歯周病で歯が抜けていきます。ドライフードでも歯は汚れます。人間も堅焼きせんべいを食べても歯磨きは必要なのと同じです。歯の健康は全身の健康に繋がるのは人間同様です。

ついでなので、おいしいフレーバーの酵素入り歯磨きペーストと使いやすい歯ブラシも紹介。

ビルバック・歯磨きペースト

ビルバック・歯ブラシ


さて、口ばかりではなく、以上のことを実践してきたうちの子の美しき姿を紹介します。
(他にもいますが一部)。現在、艶があり、毛はふわふわ、体は筋肉質でずっしりですが(実際確認したい方は、うちに見に来られて下さいね、里親募集中の子猫達もいます)、皆、保護っ子たちのため、出会ったときは皆ボロボロとか瀕死でした。



シェルターの多数の子のためには、ここまではしてあげれませんが、せめてうちの子達には、健康で美しくと最大限の努力をしています。

佐賀シェルター野口でした。

次回予告は、「化け猫伝説と動物愛護と猫の尻尾、尻尾と食事の関連性について」書こうかと思います。


追記・現在、里親様募集中の仔猫達「ピキーズ」茶トラ3(1匹は色が薄い)・黒1は、佐賀シェルターがいっぱいのために、私の家にいます。
ぜひ、佐賀シェルターに連絡後に見に来て下さい。
梅田さんのところの「きのこ組」(サビ1・キジ1・白×グレー1)も、里親様募集中です。
詳しい情報は、ブログトップから入れる、フェイスブックにて紹介中。


佐賀シェルターにて、不足して困っていますどうか、ご支援お願いします。
猫砂(固まる・固まらない両方)・コロコロ・ペットシートレギュラー・猫トイレ容器・猫用ひんやりシート・ビニール袋・キッチンペーパー・猫水入れ・手洗い石鹸

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犬猫の身体に合った食べ物の話(第2回)

2012-07-12 14:25:40 | 動物愛護
少しだけでも自然に帰って、犬猫の身体に合った、食べ物の話

第2回 ペットフードが完全でない理由

1.ペットフードにはこういうものもかなりある

ペットフードには素敵な宣伝文句が書いてあるが、それを読む必要は全くない。売ろうとしているのに、悪いことを書くはずがない。見るのは、法で定められている裏の原材料表記(宣伝文句の10分の1くらいの文字サイズ)と人間の食べられるレベルの食材かが全てである。

・ペットフードの表記

日本のペットフードの原材料表記は80%以上という規約がある。つまり、全材料を表記しなくてよいということである。全ての材料を表記してあるフードを選ぶ方が安全である。

・ペットフードの添加物

人間の食べ物には禁止されている発がん性のある添加物が、ペットフードでは禁止されていない。合成着色料(タール系色素、赤色○号)など、色の識別が苦手な犬猫にとっては全く意味のないものである。無着色で、製造年月日からの品質保持期限が長すぎないもの(BHA・BHT・エトキシキンなどの危険な保存料が入っていないもの)で、品質保持期限が製造から1年以内までのものを選ぶほうが安全である。

・材料の中身は何か

原材料は多い順に表示しなければならないという規約がある。一番上に書かれているものは何であるかを見てみると、案外トウモロコシ・大豆などが多い。犬猫はもともとは肉食であり、トウモロコシや大豆の消化・吸収は苦手である。犬は人間との暮らしが長く、猫よりは雑食であるが、猫はとりわけ肉食である。過度の肥満も高炭水化物から起こりやすい。

・人間が食べられるレベルの食材か

「人間が食べてはいけません」と書かれているものもある。いったい何が入っているのだろう?「4Dミート」で検索してみて欲しい。野菜・穀物のほうも、いったいどういうのが使われているのか?栄養を搾り取ったカスが入っているという話もある。

・ウェットフード(缶詰)ならどうか

上記の人間が食べられないものが使われていることが多く、多くはタイ産であり、熱い国では魚は防腐剤が大量に使われる。缶詰の金属が溶けた成分も食べ続けると身体に良くないと言われている。


2.「人間も食べられる」という基準をクリアしてもペットフードに足りないもの

人間も食べられるもので作ったと明記してあるフードならば、そこそこ安心できるし、便利でバランスもいいかもしれない。
しかし、やはり完璧ではない。
ドライフードを人間の食べものに例えると一番近いのがカロリーメイトや、ビタミン添加シリアルではないかと思う。
人間は、あれを毎日毎日食べ続けて健康でいられるか?ということである。

足りない点を書き出せば、

・ドライフード(カリカリ)は高熱処理した加工食品である。まず、ドライフードには水分が足りない。特に猫の中には、水をあまり飲まない子もいる。犬猫の身体の70パーセントは水分で出来ている。これが不足すると、特に猫に多いのが、脱水が病気・死につながるということである。水分が少ないと身体に毒素がたまりやすい。でも水を飲みたがらないからどうしようもない、ということに対する解決は次回。

・ドライフード・ウェットフード共に加工食品である。高熱処理により、酵素が死んでいる。そのため、抗酸化力も足りない。
酵素って何?という方はこちらのページがお勧めです。
酵素の役割
ただ、酵素が必要ということから、生肉食を薦めている専門化もいるが、これには現在衛生面で危険視されてきていることもあって、実際に不安もあると思う。このジレンマの解決編は次回で。

・毎日、加工食品では愛犬・愛猫の楽しみが足りない。特に、残念ながら、安全なフードほど薄味でおいしくないのである。(豆腐とサラダより、カップめんとコーラを好む子供同様。)でも、毎日手作りとか大変、この解決法も次回。


以上の点を踏まえて、ドライフードの利便性、水分や酵素や抗酸化力の必要性、この両方の長所を含みながら、安全で健康的、楽しい食事を愛犬や愛猫に与えるには。という実践編が次回のテーマです。理論ばかりの記事になることを避けるために、私が実際に使って良かったお勧め便利品の紹介や、口ばかりの記事にならないために証拠としてうちの保護っ子の美しい姿も掲載します。

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少しだけでも自然に帰って(犬猫の体に合った食べ物の話・第1回)

2012-07-05 14:28:45 | 動物愛護
こんにちは、佐賀シェルター野口です。
読んでますというお話だったり、送られてきた物資などで、記事を(それも毎度の長文を)読んでくださっている方がいることに大変嬉しく思っています。
私は、動物達が健康に、幸せに暮らしていければ、人間と共生していければそれでいいと思っています。
そのために、世間の商用のための情報に惑わされないで、本当のことを知って欲しい。ただ、それだけです。
ですから、特定のメーカーを中傷するために記事を書いているのではないことは理解して頂きたく思いますので、メーカー名などは伏せておきます。
さて、ここからが本文です。


【少しだけでも自然に帰って(犬猫の体に合った食べ物の話・第1回)】

現代日本において、犬猫の食事は、ドッグフード、キャットフードが多くなっている。
便利であると同時に、昔は主流だった「味噌汁ぶっかけご飯」や「ねこまんま」は良くないとされてきたからだ。「人間の食べ物を与えるのは良くない」と。

しかし、それは本当にそうだろうか?
私は、その言葉だけがひとり歩きしてしまっていて、あまりにもひっくるめて言われすぎていると思う。
ドッグフードやキャットフードも、人間も食べる食材(肉・魚・穀物・野菜)から作られているわけで、
犬猫が人間の食べない岩などを食べるというわけではない。
というわけで、実際どこまでが同じでどこからが違うのか、まとめてみたいと思う。

人間と犬猫の相違点、そして「犬猫に合った食べ物とされているフード」について

人間と犬猫の食事における主な相違点は、おおまかに分けて3つある。
それは、身体のつくりと本来の食性による違いである。

1.塩分について

まず、人間の食べ物は犬猫に良くないという理由の1つに「塩分」が理由としてあげられる。
確かに、人間の食事には塩分の多いものもある。
人間と比べて、犬猫の身体には汗腺が少なく、足の裏からしか汗をかかない。
そのため、犬猫に必要な塩分は人間の5分の1である。
よく、塩分はダメと言われることから、「塩分はゼロ」にしなければと思っている人がいるが、
塩分が少なすぎると心臓も上手く動かないし、全くのゼロだと死んでしまう。

では、ドッグフード、キャットフードの塩分量はどうだろう?
これは食べてみると分かることだが、実は非常に塩辛いものもある
そういうこともあるから、宣伝文句をやたらと信用せずに、自分で確認してみることが必要だと思う。


2.犬猫は本来肉食

人間と違うのは、犬猫は元肉食であり、野生動物を狩って何万年も生きてきたということだ。
人間は肉どころか動物性のものを全くとらないでも健康に生きていける(現に私がそうである)。
しかし、犬猫、特に猫は肉食である。
犬 肉3・野菜3・穀物3
猫 肉6・野菜3・穀物1
の割合で食べるのが本来の食性に近いという。
海外のフードには、穀物は本来はいらないとされ、グレインフリー(穀物不使用)のものもあるくらいだ。

しかし、ほとんどの国産のフードはそうではない、ウラの原材料を見てみよう。
ほとんどが、主となる原材料(原材料表記の一番トップに書かれてあるもの)は、穀物であり、それも、消化に悪いトウモロコシが多い。大豆・トウモロコシのカスは、人間の食材の残りとしてタダで手に入るのである。実際は、栄養素を搾り取った大豆やトウモロコシのカスはゴミであり、廃棄物の再利用として、ドッグフードやキャットフードに使われている。猫であれば特に、ゲリが多くなって当然である。
(犬と猫、両者の肉・野菜・穀物の必要割合の違いは、より人間の身近で暮らしてきたのが犬であることから、多少消化器官が変化しているという違いである。)


3.犬猫と野菜

ドッグフード、キャットフードが普及したのは、ここ数十年のこと、それまで何万年かは、犬猫は自分で狩をし獲物を食べてきた。捕獲すると、まず食べたのが内臓。ここには生肉、内臓肉、草食動物の食べた消化しかけの植物が入っていた。
消化しかけの植物、それらもまた、犬猫の身体を支えてきたものである。

(個別の合わない食材などは、第3回にて書く予定です。)


以上の点を踏まえて、次回は、
ドッグフード・キャットフードが「完璧」でない理由


そして、最終回は
でも、上手にフードは利用したい、無理なく自然な食事に近づけてみる
の予定です。

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血統書は必要ですか?(後編)

2012-04-29 22:06:03 | 動物愛護
5.「原始犬」とそこからの進化

「原始犬」、それは、約1万5千年もしくはそれ以上の昔、オオカミからの遺伝子変化を経て分岐したばかりの犬達のことである。原始犬と言うと大昔に存在して、今は居ないかのような名称に聞こえるかもしれないが、それらの犬達は現在も存在する。なぜなら、犬が牧羊犬などの使役犬として使われたり、とりわけ狩猟文化の中で積極的に獲物を回収する能力やポイントする能力などの1部の能力を発達させたり、もしくは愛玩犬にされたりなどの文化がなかった国では、近年まで特に犬の品種改良が行われていなかったからである。

それらは、プリミティブ・ドッグというグループに分類される。元々農耕文化であり、犬が生活に必須というわけではなかった日本でよく見る日本犬達(柴犬、秋田犬、甲斐犬、日本スピッツなど)、中央アフリカのコンゴで、しかも相当の奥地の孤立した地域に生息していたバセンジー、5000年前のエジプトの墓に描かれたファラオ・ハウンドなどが、原始犬の形をした犬である。

プリミティブ・ドッグ達は、原産地の自然の中では野生化して生きる能力を持っていて、自立性の高さ、危機回避能力、食料獲得能力、状況判断力、エネルギーの節約など、野生動物が本来持っている性質をそのまま保持している。

彼らは、人類最大の敵であり脅威であったオオカミから進化して、人類最高の友である犬になった。プリミティブ・ドッグ達はその時その姿で私達の傍らにいると言える。その逆として、虐待繁殖の章で書いたように、あまりにも人間が極端な繁殖をやりすぎてしまったがために、生きるに困難な形になってしまったものも多々居る。

もし、犬達が人為的な繁殖をされなければどのように進化したかったのだろう?私は、プリミティブ・ドッグ達を見つめるとき、彼らに問いたくなってしまうことがある。「君達は、ここからどのように進化したい?」と。


6.犬の犬による犬のための進化とは

本来、犬の交配は雑多なものではない。メスの犬が拒否して座りこめば、オスは交尾が出来なくなる。絶対的な選択権はメスが持っているのだ。そして、犬が自然状態で群れになって暮らせば、序列が出来、その中のリーダーのオス・メスが子をつくり、その他のメンバーはその子育てに参加するということが、愛犬王と言われた平岩米吉氏の研究によっても明かされている。「ケダモノのように」近親相姦など馬鹿げたことをしたり、させたりするのは人間だけだ。

彼らには彼らの意思がある。犬達が自ら選択し、自らの未来のために進化してきた事を否定し、多様性等の否定にもなる、犬自身を退化させていると言える全ての人工繁殖は、犬自身にとって害があるものではないだろうか。


7.支配から共生へ

もちろん、だからと言って、平岩氏が昭和初期にやったように、犬を群れで生活させて時には繁殖もということは、犬を愛するものとして、現在の状況には合ってないと思う。もし、そのような自由と幸せが犬のために、そして、犬を愛する人々のためにあるとすれば、ずっと未来のことかもしれない。

現在の状況と言えば、平成22年度の全国データで、犬51,964、猫152,729という数が殺処分されている。全ての犬猫が幸せになりたくても、行ける家庭が少なすぎるのだ。希望者に比べ、犬猫は有り余っている。毎年2~3万ずつ殺処分数は減っているとはいえ、まだまだ殺されている犬猫がこんなにもいる状況だ。いくら助けても引き取ってもキリがなく、シェルターはパンクし、それでも、まだまだ人間の身勝手で殺される命がたくさん存在している。まずは、無責任に産まされた結果として殺される命をなくし(不妊手術)、そのままでは殺される・死んでしまう運命にある子達を生かす(出来る範囲の保護)、それが当分の課題なのだ。

けれども、いつか、犬猫にも、自分で世話が出来る範囲で、家族を持たせてあげられたらいいなと考える。本当は、私だって、大好きな愛犬の子供達を見たいと思う。それは、愛犬が”我が子”ならば、愛犬と愛犬が愛した犬の子は”我が孫”という私だけの血統書なのかもしれない。けれども、たくさんの殺される命を思うとそれが出来ない、ただ殺される運命にある子を一匹でも助けたいと願い頑張るのが現状である。でも、いつの日か犬は犬の意思で、猫は猫の意思で相手を選び、生まれてくる命は、彼らからだけでなく、彼らを愛する家族である人間から、そして人間社会からも祝福される。いつか、そんなふうに互いが共生できる幸せな日が来ることを願って、保護活動を続ける日々である。


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血統書は必要ですか?(中編)

2012-04-21 12:54:18 | 動物愛護
3.虐待繁殖

愛玩犬の中には、見た目にこだわるがために、犬にとって生きづらい形になってしまったものも多い。それは、近年になるほど顕著である。例えば、パグは極度に鼻を短くされてきてしまっているために呼吸がしにくく、暑さに弱い。コーギーやダックスは足が短くされすぎているがために股関節に負担がかかってしまう。超小型犬のチワワやヨークシャテリアは特に水頭症が多い。超大型犬もまた、短命になってしまっている。最近も、「小さい可愛いもの」を好む日本人の流行に合わせて、「ティーカップ・プードル」という、トイ・プードルをさらに小型化するように繁殖させたものが売られていたりしたが、そのような個体は、虚弱体質であることが多い。小さい頃に食事制限をさせて無理やり小さく育てたものもあるという。

また、血統書には、断尾・断耳された形をスタンダードとしているものもある。コーギーは実は生まれたときはしっぽがあるが、それを切り取っている、などである。悪いブリーダーの中には、麻酔なしで切り取っているものもある。なぜなら、現在の日本では規制がなく、誰でもブリーダーになれるからである。イギリスではすでに、断尾・断耳が禁止され、守ってないものは、競技会に出られなくなっている。

4.血統書の利点

血統書は確かに、親犬から「遺伝病」を受け継いでいないかどうかを知ることが出来ると思う。その点に関しては評価できると思う。

また、ある程度大きさの目安がつくという利点もあるかもしれない。しかし、実際はこれにもかなりの誤差がある。通常の2倍以上の体格に生まれてしまったブリーダーのポメラニアンがアニマルウイングに「売れない」という理由で持ち込まれたこともあった。全てのブリーダーが、スタンダード外に生まれたものを処分しているというわけではないが、ブリーダーは商売であるため、「規格外の商品」は自分の腕に関わるものだと判断されかねないと危惧し、隠す傾向にあるのは確かだ。スタンダード外は必ず生まれる。人間でも、親に似てない子供が生まれるのと同様であり、遺伝子の神秘である。また、そのようなスタンダード外だけでなく、遺伝的疾患を持って生まれる子もまた間引きされるだけでなく、処分されているということも忘れてはならないことである。とりわけ、無理な繁殖をさせられた血統書犬猫には遺伝的疾患が多い。

それから、血統書は、ある程度の性質・性格が分かるという利点がある。何が目的で作られた犬種であるかを知って、自分の目的に沿って選ぶことが出来る。しかし、これも生き物であるから例外もあるというということは忘れてはならない。兄弟でも、全く性格が違うことは人間でも当然あるように、犬猫でも同様である。

これら、血統書の利点は皆、「人間側の都合」であると思うし、実際に血統書の犬自体が人間側の都合によって繁殖をコントロールされて生まれてきたものである。もちろん、誰にも、どっちの側にも都合はあるから、それが全ていけないという意味ではない。ただ、それが偏りすぎた・行き過ぎた場合は「虐待」になってしまうと思う。

さて、次回は、「犬側の都合」について書きたいと思う。


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