このブログの検索ワードは「頸部リンパの郭清」「頸部リンパ覚醒の後遺症」が多いようですので、以前にも書いているかもしれませんが思い出しながら記してみます。
センチネルリンパ(見張りリンパ)の1つに微少転移があると知らされた時点で僕には
①既に終えている広汎切除と皮膚移植のみで治療を終える。
②万全を期して所属リンパである頸部のリンパ節を全郭清する。
という二つの選択肢が医師から提示されました。
この時点での僕の悪性黒色腫のステージはステージⅢa
国立がん研究センターの2002~2007年の症例ではステージⅢaの5年生存率は61%になっています。10人に6人は5年後生存していますが、残念ながら4人の方は5年以内に亡くなってしまうということです。
更にショックな事に僕のように頭頸部に原発がありリンパ転移があった場合の5年生存率は一般的に61%よりもかなり低くなると知らされました。それはいったい何故なのか。どうやら手術の難易度が他のリンパより高いからということらしく。頸部の場合複雑に走っているリンパをきれいに完全に取りきることが難しいのだそう。逆に熟練した医師が丁寧に完璧なオペを行えば61%に限りなく近付けることが可能だということなのだろうと思います。
転移告知を受けた時、このまま治療を終えてしまっても根治している可能性もあるということ。悪性黒色腫というがんの悪性度からして念のために郭清手術をするのが推奨されるという説明を受けたわけですが、もう自分の頸部のリンパ節には他にも転移が広がっているというイメージが頭から離れなくなっていました。
頸部リンパの郭清により考えられる短期的な後遺症にリンパの液漏れや手術による切開で細かな神経も切れてしまうので麻痺が残るということ。恒久的には特に後遺症は心配がないだろうということでした。麻痺という単語に多少のショックはありましたがそれが短期的なもので徐々にある程度は回復していくとのことでしたので、熟考するまでもなく全郭清を受けることに決断したのでした。
がんセンターの医師が百戦錬磨のオペマイスターであるということは理解できるのですが、がんセンターのような大病院でも皮膚腫瘍科に限った数字ですが僕が手術を受けた2012年度の頸部リンパ節郭清術件数はたったの6例(この内に1例は僕の手術がカウントされているのだろうと思います)で他の所属リンパよりかなり少ない印象。慣れている手術とは言い切れません。兎にも角にも他の所属リンパより厄介な手術なのは間違いないのかなとも思います。
手術は頭部・頸部・肩まで。僧帽筋の下のリンパ節やリンパ管の切除、原発と転移のあったリンパの間の皮膚組織の切除にまで及び痛みは相当きつかったです。気管が腫れで圧迫され呼吸が止まって目覚めることが何度もありました。術前の説明通り、耳や首、頬の一部には痺れがあり感覚は麻痺していました。処方されたビタミン剤の一種でその範囲は小さくはなりましたが現在に至っても麻痺は完全には治ってはいません。例えば蚊に刺されても気がつかないし、痒みも感じません。それに汗のコントロールができません。経験者が痛い痛いというインターフェロンの注射も幸いと言うべきか僕の場合殆ど痛みはありません。
恒久的な後遺症は無いどころか僕の場合とても重度に残っています。頭・首・肩の張りや痛みは四六時中続く厄介なものです。マッサージや揉むことによって改善できそうなものですが揉むと行場のないリンパが悪さするのか首などにおできのような吹き出物が沢山出てきてしまいます。
場所が脳に近いからか、意識から無くなることがなく思考が次第にネガティブになり何事に於いても消極的になってしまいます。
リンパをとらなければ今頃快適だったのに…。
時々そう思ったりもします。
でも、取ってなかったら今頃再発していたかもしれません。結果は神のみぞ知る。今更どうにもなるわけではないので諦めていますが、郭清手術は人にもよりますがとても辛い後遺症があるかもしれないと覚悟した方がいいのかもしれません。
命と引き換えにとなると郭清は止めておくという選択は事実上無いに等しいのですが…。