ロシア留学中・脱力進行中

モスクワ留学滞在記、スポーツ(特にテニス)のこと。他に趣味(漫画や音楽)等いろいろ・・・

黄金の環の下に

2005-11-04 23:59:11 | モスクワ留学記
連休初日の4日朝9時、同期のI氏と寮の玄関で落ち合い出発。
黄金の環、セルギエフ・パッサートへいざ行かん。

まずは地下鉄でコムソモーリスカヤ広場へ。
ここは地球の歩き方にも書いてある通り3つの駅が集まる場所。
レニングラード駅、カザン駅、ヤロスラブリ駅が軒を並べる。
セルギエフ・パッサートへはヤロスラブリ駅発の電車で行ける。
(05年現在、片道64ルーブル)
ヤロスラブリ駅は5年前、初めてモスクワに降り立った場所。
シベリア鉄道で長駆モスクワに乗り込んだ際の感慨が甦ってくる。

電車はごく普通の郊外電車。3人掛けの席が向かい合わせに左右にズラッと並ぶ。
ロシアの鉄道は広軌を採用しているので、日本よりも横幅が広いのだ。
電車が発車すると、次々とやってくる売り子。これも日本にはない風景。
大きなかばんに自家製?のピロシキを詰めたおばさんや飲み物売り、
さらに靴下や文房具を売る人まで(中にはA4版くらいのガラスを売る人も!)、
車両に入ってきては大きな声で商品説明をして通り過ぎてゆく。
とりあえず朝飯に肉入りピロシキを買った。

電車が出発して15分もすると、窓からの景色は一変する。
それまで見えていたマンションや工場などの大きな建物は消え、
郊外のダーチャと呼ばれる別荘や小さな森、森が途切れれば地平線まで見渡せる草原。
モスクワ近郊にこれだけ広大な自然があるとは、さすが日本とはスケールが違うロシア。
でかい・・・
雄大な眺めに、早起きも手伝って眠気が押し寄せる。
気がつくと乗車して1時間、目的地についていた。
電車の窓から遠くに聖堂の青いクーポルが見える。
寺院に行く前にセルギエフ・パッサート駅前のサービスエリアで軽く朝食。
かなり粗末なスタローヴァヤ(大衆食堂)だが、モスクワよりも大分値段が安かった。

トロイツェ・セルギエフ修道院へは駅から北へ歩いて10分ほど。
途中、丘の上にある修道院を撮る絶好のポイントがある。
(地球の歩き方にも載ってる写真)
観光客がたくさん写真を撮っているので、気軽にシャッターを押してもらえる。
修道院前の広場には、青空市にマトリョーシカやグジェリの陶器などを売る
お土産屋が数多く並んでいる。
そう、ここセルギエフ・パッサートはマトリョーシカの産地なのだ。
途中、自家製マトリョーシカを売るおばさんにもつかまったし。(買わなかったけど)

修道院は入場無料(←これ素晴らしい)。
連休初日とあって多くの人が詰め掛けていた。
地球の歩き方にもカメラ撮影100ルーブルとあったので、入り口のカッサで払った。
しかし内部では全くチェックなし。入るときに見つかった人だけ払えばいいようだ。
まぁ、素晴らしい修道院への寄付だと思っておきましょう。
中に入り時計と反対周りに進んだら途中、入場禁止区域に入り警備の人に追い返された。
真ん中の大きな鐘楼は、上からの眺めがとても気持ち良さそう。
登ることが出来ないらしく非常に残念。
本当に登れないのかと裏に回ってみると入り口があった。おぉ!これはもしや。
近づいてみると立ち入り禁止というロシア語の下に英語で
「Danger for your Life」
これは大変だ!危険を感じたので即刻退散。
地球の歩き方にも書いてある通り、残念ながらメインのウスペンスキー大聖堂は見学不可。

なのでトロイツキー聖堂に行くと、そこには長蛇の列。
やはり連休初日、エクスカーションで小学生とかがやたら多く、見た目以上の待ち時間。
結局2時間近く待った気がする。しかしここは観光のメイン。
もし列が長いからといって、諦めて帰るなかれ。
ようやく中にたどり着くと、そこにはロシア正教の荘厳な精神世界が広がっていた。
薄暗い堂内にに灯るたくさんの蝋燭。修道女達がか細く唱える聖歌。
時折修道士が低い声で聖書の一節を読み、続けてまた修道女達の唱え。
堂内には壁から柱から天井一面に至るまでイコンで埋め尽くされている。
金色に装飾された正面の祭壇の上には、キリストや使途の姿。
その前を横切って、列は右奥の一際厳かに飾られた祭壇へ。
ロシア人の信者達は、十字を切り祭壇に置かれた何かに向かって口づけをしている。
後から分かったのだが、それは街の名称の元にもなった聖セルギウスの棺だった。
彼の遺体が今もその中に!
信者でなければ、列に並ばず簡単に堂内部を見学できる。
ただ、そこまで並んでしまった手前引き返すのも悔しいし、何より見たい。
最後まで並び、蝋燭に火を灯して燭台に指した後、聖セルギウスとご対面。
修道士や大勢の信者の目の前、決して失礼の無いように一礼して速やかに退散した。
並んでいる途中、真似して十字を切るかどうしようかと同行のI氏と相談したが、
信者じゃ無いものが形だけの行為をすることは逆に失礼だということで取り止め。
止めてよかった。修道士も特に咎める事も無く、観光客の好奇心を許容してくれた。
小さいがこれまで訪れた中で最も厳かな、素晴らしい聖堂だった。

もう一つのドゥホフスカヤ教会も長蛇の列が出来ていたがこれは止めた。
院内南西に位置する大食堂に行って見る。
最初のホールはアダムとイヴの楽園での生活と楽園からの追放を描いた大きな絵。
そこからメインホールに行く扉があるのだが、この時はミサがやっておるようで入れず。
後で再び行ったときに入れたが、こちらも素晴らしかった。
大食堂という名前(なぜこんな名称かは不明)から、全然違うものを想像していたが、
ホール内部は大きな聖堂といった感じで、そこ彼処に聖画が飾られて信者が接吻している。
奥には大きな祭壇があり、これが黄金のものすごい祭壇だった。さすが黄金の環。

ラスト、院内の小さな美術館(これは入場料40ルーブル)。
15時15分に入り口に来いと言われたので何故かと思ったら、
係りの人が20人ほどの見学者を連れて説明しながら回ってくれた。
特に目茶苦茶すごいというものは無かったが、キリスト教関係のものが数多くあった。
クリスタルや金で造られた十字架、古い聖書、イコンや修道士の着衣、肖像画など。
大体1時間くらい、説明たっぷりに10部屋程の館内を回って終了。
どれだけ詳しく聞かされても、説明が全く分からないのが痛い。

歴史が好きなら必ず見ておくべきものが一つある。
ここにはロシアの動乱(スムータ)時代を引き起こした、ボリス・ゴドゥノフの墓がある。
3メートル四方、高さ1メートルほどの簡素な墓に、家族4人で葬られている。
ウスペンスキー大聖堂のすぐ脇、鐘楼とトロイツキー聖堂の中間の側に位置していた。
これから訪れる人は是非見られたし。

帰り道、駅への道を間違えて遠回りをしてしまった。
線路に差し掛かったので駅まで線路をつたって行くことに。
災い転じて福となる、夕暮れ、院下の街に霧がかかる荘厳な景色を見ることが出来た。
写真がそれ、いまいち分かりづらいかもしれないが。
帰りの電車は5時19分発。さすが北国、この時間でかなり暗くなってきた。
車内からは外が真っ暗で何も見えず。日本と違いロシアには郊外は街灯が少ない。

今回面白かったのは、修道院内で偶然にも同じ寮の留学生仲間に会ったこと。
しかも2組も。やはり皆考えることは一緒なんだなぁ。

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「地平線まで見渡せる草原」。 (れふこ)
2005-11-06 19:57:12
「ロシア」の列車に乗ってみたいです。



ヒロキアイスさんの巧みな文章に

来年の夏辺り、行ってみようかなーと。



「・・・宿泊はトレチャコフ美術館近くの

「プレジデント」にして

開館~閉館まで絵を鑑賞。

夜はどこかのホールで舞踏会・・・」

あー、妄想が広がる~。



でも、その前に「露語」を何とかしなくては。

やっぱり「検定4級」は必要ですよね?。
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夏ですか (ヒロキアイス)
2005-11-07 20:48:36
ロシア行き決意ですか!?でも夏は・・・

景色などは素晴らしいと思うのですが、

お好きなボリショイがちょっと微妙です。

夏は海外巡業等で1軍メンバーがいないため、

公演がまばらになったり2軍のダンサーだったり、

と聞いたことが有ります。

6月~7月初旬なら大丈夫とは思いますが。

その辺少し調べてみますね。



露語は4級などなくても大丈夫ではないかと思います。

とりあえず買い物が出来る程度の数字を覚えて、

あとは決まりきった言葉で過ごせますよ。

もちろん、出来た方がより楽しくなるとは思いますが。
返信する
冬も行きます。(笑) (れふこ)
2005-11-08 20:24:41
まぁ、最初は「夏」がいいかな と。



しかし・・、「歩き方」を見ていると

「空港」はもちろん「ホテル内」も

物騒か。ここは安全第一で

「日本語ガイド」が必要かなー。

(もう、行くつもり・笑)



一応仕事してるし、子供もいるし

3、4日だなー。

その前にみんなの「許可」が。

はぁ、やっぱり「ツアー」か・・・。



「ロシア」に「ペンパル」だ!。

これが一番良いかも。



ヒロキアイスさんは「留学実行」に

どれ位、時間を掛けましたか?。
返信する
旅行 (ヒロキアイス)
2005-11-09 08:42:11
確かに最初はツアーが一番安心ですね。

自由時間の多いツアーなら良いのではないでしょうか?

見所は連れて行ってくれるし解説もあるし。

危険度は、正直言って分かりません。

ただ並以上のホテル内とか普通の街中は、特に問題ありませんよ。

空港は、街までの送迎ガイドさえあれば問題無しです。

歩き方もたぶん注意を喚起する立場で書いてありますから・・・

もし僕がいる時期だったら、もしよろしければご案内致しますよ。

まぁ、ガイドほどテキパキ出来ませんが。



あと留学準備はほんと短かったです。

行くと決めてたのは1~2年前からですが、

このタイミングで、と決定したのは申込締め切り直前の6月。

仕事は出発の2週間前までしてましたし。

過去の2度の旅行でも、旅行者に言ったのが出発5週間前。

ビザ発給とかを考えると目茶苦茶ギリギリでした。
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ありがとう。 (れふこ)
2005-11-09 21:16:07
「寛大なお心遣い」、感謝感激です。



今一番行きたい所は「トレチャコフ美術館」です。

ヒロキアイスさんが「イワン雷帝とその子イワン」に

感動されたように

私も同じ「レーピン」の描いた

「クールスク県の十字架行進」が

最も見たいです。



当時のロシア専制政治に対する民衆の

そして、レーピンの「怒りの叫び」

それをこの目で見てみたいのです。



何だか、どこに行くのも

「勢い」だけで参上して「恥」をかきますが

同じ事を繰り返す「懲りない性分」です。



この辺、少し似てるかな?。(あ、失礼・笑)
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ぐ・・・ (ヒロキアイス)
2005-11-10 07:40:41
>「勢い」だけで参上して「恥」をかきますが

同じ事を繰り返す「懲りない性分」です。

この辺、少し似てるかな?。(あ、失礼・笑)



当たってる・・・。どうして分かったのですか!?

文章に滲み出てたりとか?
返信する
あはは。 (れふこ)
2005-11-10 20:01:20
「図星」でしたか。



私がその通りなので

「もしかして、同じかな?」

と思いました。



来月「JIC」のフェアーに

「大阪」へ行きたいです。

「ロシア大使館」も

デビューしたいし。



嬉しくて眠れない・・・。
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フェアー (ヒロキアイス)
2005-11-11 12:31:41
クリスマスのやつですね?去年同じく大阪に行きました。

でも知り合いいなかったので、残念ながらあんまり喋れませんでしたが。



ロシア大使館は東京ですか?

一度も行ったことないので行ってみたいですねぇ。
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えっ?。 (れふこ)
2005-11-11 20:06:28
「大阪フェアー」

参加されていたのですか!。



どんな感じだったのだろう・・・。



「東京」は、去年「ロシア大使館」で

あったようです。今年はまだ、

日にちが決まっていません。

(私はいつでも!、スタンバイなのに・笑)



そうそう、今日「JIC」の格安ツアーで

「モスクワフリー5日間・関空発・76,000~!」

なんてありました。「上海経由」で「中華航空」かな。



何だかあまりに安くて、怖い(笑)。

友人も「ロシア逃避」願望があって、

「行くなら「アエロフロート」がいいなぁ」

と言ってたけど・・・。



こちら平地も「落葉・紅葉」が進んできました。

モスクワはもう「底冷え」かな・・・。
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フェアー (ヒロキアイス)
2005-11-13 04:17:44
う~ん、ロシア人はそれぞれ結構知り合いみたいな感じで固まっていて、

自分から話しかけないと輪に入るのは難しいかもですね。

2人位と話しましたが、向こうはかなり日本語話せるので、

その辺は問題ないかと。



アエロフロートはいいですよ。機内食にスモークサーモンがつきます。

でも値段考えたらその安さは捨てがたいんじゃないでしょうか。

5日あればモスクワもかなり楽しめるだろうし、

色んなところに忙しく連れ回られるツアーよりも

じっくり町並みが堪能できるかも。

クレムリンも丸1日かけて見ないと回りきれませんからね。
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