訃報を耳にする事が多くなってきた様に感じる

　誰しも連綿と続く営みのなかで年齢を重ねるにつれ、鬼籍に入る縁者も

多くなり、時として去来する思いに寂しさを重ねる事もあろうかと。


　最近は、自身も含め誰もが無漏路に帰る道すがらなのだと、石礫を

打てば水面に留まることもなく湖底へと沈むが如き必然不可避な事象に

必要以上に憂うも詮無き事と嘯くことも多いものの、やはり別れに際

して胸を抉る様な喪失感と、逢魔が時の街角に明滅する街灯を憂鬱そう

に見つめる、帰る所の無い野良猫の様な湿り気を含んだ感傷とが同期

して押寄せてくる感じは、寒々としていて酷く不快でもあり、酷く悲し

い。

OP「きこえるかしら」／TVアニメ「赤毛のアン」