なんだか・・・見てはいけないものを見てしまった気持ちになってしまう映画。
人の心の裏側というか、とてつもない暗闇の中を、うっかり覗き込んでしまったような気持ち。
すでに何回か観た映画ですが、この釈然としないような、やりきれないような気持ちは、毎回鑑賞後に残ります。
でも、すごい映画ですね。やはり名作。
みどころが、一度の鑑賞じゃ、観きれない気がします。
何不自由ない幸せな生活をしているかに見えるセヴリーヌ。
優しくて物分りの良い夫、贅沢な生活、美貌。いいわ、うらやましい。
けれど、彼女の中には、どうしても満たされない欲求があって、それを求めるあまりに、ふとしたきっかけから、周囲には秘密で、時間限定の娼婦になります。昼だけ。
ゆえに、「昼顔」と名乗って、客をとるのですが、そうしておとしめられていく内に、彼女の内面のバランスは整っていき、心の充実を感じられるようになる。
しかし、秘密は破綻する。思いがけない悲劇がやってくる。・・・
今じゃ考えられないくらい、ほっそりした線のカトリーヌ・ドヌーヴ。
見事なブロンドと、大理石のような白い肌、ストイックなまなざし、物腰。
イヴサンローランの素敵な服が、よく似合います。
そこからかもし出される雰囲気は、大人の女性というより、どちらかというと少女で、なんとなく不安げな心もとない様子が、主人公の彼女自身にさえわからない、心の暗闇とのあつれきを表しているようです。
貞淑で高貴、そう人に見られたいと思っていながら、同時に激しくおとしめられたい(おとしめられるべきだ、という強迫観念)。
本人にはどうしてそうなのかわからない、そのぞっとするような落差が、彼女の「夢」として語られます。
その妄想の世界では、なぜかいつも鈴の音が響き渡り、音楽がそれ以外一切ないこの映画の中で、不気味なシュールさを感じさせます。
いつも夢の中に、普段は優しい夫が暴君として出てくるところに、そのひずみが実は夫のせいだと思わせるところが興味深いです。
あまりに完璧な夫。文句のつけようがない。どんなわがままを言っても、絶対優しく包み込んでくれる。
そこに、彼女はかえって不安とコンプレックスを感じていて、落ち着かない。
せめて、夢の中で責め苛まれることで、かろうじてつかの間の安心を得る。
でもこんな説明がつかない矛盾て、わかるような気がしてしまって、そこがまたこわい。
友達の男の子にも、「彼女が完璧で、なんでも受け入れてくれるってわかると、つい浮気したくなるんだ」という不心得者がいました。
が、良く出来た彼女の場合、そうやってちょこまかと不実を重ねる彼だけど、手間がかかる彼女を持った途端、「あいつ、ほっとくとバカばかりするから」と、誠実にいそいそと世話を焼く男に一変するのです。しかしそれにも疲れると、また出来が良い子とくっつき・・・。
「それはどうして?」と、何年もその彼女ローテ(◎→×→◎・・・)を見てきて、さすがに不思議になって聞くのだけれど、本人も、「なんでだろうね・・・。」
たぶんわかっていても、うまく説明がつかない。
劣等感を刺激される"分不相応"感、アンバランスを自覚するとかき立てられる不安感。
人によって表れ方こそ違うものの、実はよくある話かもしれません。
セヴリーヌも、夫が全身麻痺になった瞬間、心の呪縛から解き放たれます。
もう、相手は完璧ではない、立場は逆転したのだ。
自分でそうとはわからない内に、黒い力で、相手も自分と同じ暗闇に引き込もうとする。
愛があるから、憎しみもそれに比例して増す。
相手が弱く、自分より「低い」と感じられると、優しい愛情が湧くのを感じられる。
こんなのって、理屈じゃないエゴです。
そんなふうに、皮肉な「人間のバランス」を痛烈に描いた作品です。
主人公が輝くように美しいだけ、その内面の暗さが際立ち、
幸せが美しく見える分、不幸への転落が目も当てられない、といったように、対比も激しくて。
何度観ても、「うーん、まいった。。」です。。
人の心の裏側というか、とてつもない暗闇の中を、うっかり覗き込んでしまったような気持ち。
すでに何回か観た映画ですが、この釈然としないような、やりきれないような気持ちは、毎回鑑賞後に残ります。
でも、すごい映画ですね。やはり名作。
みどころが、一度の鑑賞じゃ、観きれない気がします。
何不自由ない幸せな生活をしているかに見えるセヴリーヌ。
優しくて物分りの良い夫、贅沢な生活、美貌。いいわ、うらやましい。
けれど、彼女の中には、どうしても満たされない欲求があって、それを求めるあまりに、ふとしたきっかけから、周囲には秘密で、時間限定の娼婦になります。昼だけ。
ゆえに、「昼顔」と名乗って、客をとるのですが、そうしておとしめられていく内に、彼女の内面のバランスは整っていき、心の充実を感じられるようになる。
しかし、秘密は破綻する。思いがけない悲劇がやってくる。・・・
今じゃ考えられないくらい、ほっそりした線のカトリーヌ・ドヌーヴ。
見事なブロンドと、大理石のような白い肌、ストイックなまなざし、物腰。
イヴサンローランの素敵な服が、よく似合います。
そこからかもし出される雰囲気は、大人の女性というより、どちらかというと少女で、なんとなく不安げな心もとない様子が、主人公の彼女自身にさえわからない、心の暗闇とのあつれきを表しているようです。
貞淑で高貴、そう人に見られたいと思っていながら、同時に激しくおとしめられたい(おとしめられるべきだ、という強迫観念)。
本人にはどうしてそうなのかわからない、そのぞっとするような落差が、彼女の「夢」として語られます。
その妄想の世界では、なぜかいつも鈴の音が響き渡り、音楽がそれ以外一切ないこの映画の中で、不気味なシュールさを感じさせます。
いつも夢の中に、普段は優しい夫が暴君として出てくるところに、そのひずみが実は夫のせいだと思わせるところが興味深いです。
あまりに完璧な夫。文句のつけようがない。どんなわがままを言っても、絶対優しく包み込んでくれる。
そこに、彼女はかえって不安とコンプレックスを感じていて、落ち着かない。
せめて、夢の中で責め苛まれることで、かろうじてつかの間の安心を得る。
でもこんな説明がつかない矛盾て、わかるような気がしてしまって、そこがまたこわい。
友達の男の子にも、「彼女が完璧で、なんでも受け入れてくれるってわかると、つい浮気したくなるんだ」という不心得者がいました。
が、良く出来た彼女の場合、そうやってちょこまかと不実を重ねる彼だけど、手間がかかる彼女を持った途端、「あいつ、ほっとくとバカばかりするから」と、誠実にいそいそと世話を焼く男に一変するのです。しかしそれにも疲れると、また出来が良い子とくっつき・・・。
「それはどうして?」と、何年もその彼女ローテ(◎→×→◎・・・)を見てきて、さすがに不思議になって聞くのだけれど、本人も、「なんでだろうね・・・。」
たぶんわかっていても、うまく説明がつかない。
劣等感を刺激される"分不相応"感、アンバランスを自覚するとかき立てられる不安感。
人によって表れ方こそ違うものの、実はよくある話かもしれません。
セヴリーヌも、夫が全身麻痺になった瞬間、心の呪縛から解き放たれます。
もう、相手は完璧ではない、立場は逆転したのだ。
自分でそうとはわからない内に、黒い力で、相手も自分と同じ暗闇に引き込もうとする。
愛があるから、憎しみもそれに比例して増す。
相手が弱く、自分より「低い」と感じられると、優しい愛情が湧くのを感じられる。
こんなのって、理屈じゃないエゴです。
そんなふうに、皮肉な「人間のバランス」を痛烈に描いた作品です。
主人公が輝くように美しいだけ、その内面の暗さが際立ち、
幸せが美しく見える分、不幸への転落が目も当てられない、といったように、対比も激しくて。
何度観ても、「うーん、まいった。。」です。。
長らくお返事せず、ごめんなさい~~~
キャパを超える多忙さに、PC立ち上げてもおらず・・・最近。
当然映画もサッパリ。
いけない、こんなんじゃ!
余裕を取り戻したいです
アジア映画も気になってます。
みたいみたい
いつもビデオ店で手に取りつつ....。近々絶対借りてきます!
去年はかなり頑張ってフィルム見てたんですが、今年はさっぱり。
パリでは「誰も知らない」「2046」「ラヴァーズ」など、
アジア映画が旺盛でした。
(って自分まだどれも見てないんですけど...汗)
くせになるツボ満載、ってことなのでしょうか
そうそう、感情移入は出来ないのです。だから想像力をやたらに必要とさせられるのですよね。
そこがツボの秘密なのでしょうか。。
insomnia_1980さま、いい経験をお持ちですねいろんなタイプの女性をお勉強してみてください
昔似た様な性格の女性に惑わされた事があったな~
登場人物の心理が難しくて、私は必ずしも感情移入
できないのですが、ついつい観てしまいます。
今年買ったDVDですと『小間使いの日記』『昼顔』
『哀しみのトリスターナ』。どれも監督の趣味に貫
かれています。倒錯した話なのに不潔な感じがしな
いのは、監督の美意識と女優選びの趣味のよさ故で
しょう...
どの映画も十年以上前に観て、再び観る事になって
しまいました。既にクセになっているようで、う~
む恐ろしい...
そちらのムービーリストにあるもの、私もまだ観てないものばかりで、たいへん参考になりました♪
昼顔、おしゃれも素敵です
そういう矛盾をかかえた女性の物語なのですね。
近々借りて観てみます。
ピックアップありがとうございました。