アモルの明窓浄几

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生活できる最低賃金を

2012年07月30日 | 万帳報
当月25日に厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会が、2012年度の最低賃金(時給)を全国平均で7円(目安額)引き上げることを決めました。
朝日新聞(7/26日付)には、見出しとして大きく『最低賃金 遠い1000円』――生活保護と逆転解消進まず――とあります。
皆さんもこの引き上げ額の低さに驚かれたのではないでしょうか。

現在の最低賃金(全国平均)が737円なので、+7円加算すると744円になります。
これはフルタイムで働いても年収130万円程度の水準にしかならないということです。
この引き上げ額が一けた台にとどまったのは昨年に引き続いてのことです。
一昨年までの数年間は二けた台でした。昨年の東日本大震災を口実に一けた台に引き下げたのをいいことに、二年連続の一けた台に留め置かれたのです。

これは全国平均なので地域により違いがありますが、兵庫県の場合は、現在の最低賃金(時給)が739円です。今回の引き上げの目安としては5~10円とされています。因みにお隣の大阪は、現在786円で引き上げ目安は8~15円です。
問題視されているのは、
1.最低賃金が引き上げられた後も生活保護以下の水準であること
2.政府が閣議決定している2020年に最低賃金(時給)1,000円とする目標も掛け声倒れになりそうだということです。

朝日新聞(7/11日付)によると、「賃金改定率は、全国の従業員30人未満の企業約4,000事業所で働く31,000人の6月の給料を調べた。今年の一時間当たりの平均賃金は1,352円で前年より3円増えた」としています。賃金は若干ですが昨年度より上がっているにも拘らず、最低賃金は震災以前の二ケタ台には回復されません。
年収200万円以下の労働者が1,000万人以上に上るといわれている貧困化の折に最低賃金を抑えられることは憲法に関わる問題です。

生活保護は、憲法25条の生存権に基づき「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するための必要最小限の現金を支給する制度です。その生活保護費より低い最低賃金は、あってはならないことです。兵庫県で見ると、引き上げ目安額が5~10円とされていますが、生活保護との差額が10円といわれています。二けた引き上げが実現されなければ憲法違反といえるでしょう。

最低賃金は、企業が労働者にこれ以上低い賃金で働かせてはいけないという最低ラインなのだから、最終決定する都道府県の審査会において、二けた引き上げが実現するよう私たちは注視する必要があります。

[ 表 ]生活保護と最低賃金(平成23年度) 厚生労働省hpより
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ga9b-att/2r9852000002gaas.pdf



最低賃金(時給)を一けた台に留め置くことの理由として、中小企業の経営への影響を懸念してなどといわれていますが、果たしてそうでしょうか。

「うちのお父さんは、町工場の社長だが、自分の給料は出なくても社員の皆さんにはきちんと毎月お給料を支払っています。この不景気な世の中でこれ以上に賃金を上げるなんて、工場を潰すことになる」と訴えられる家内工業や中小企業も多くあるでしょう。最もだと思います。
中小企業の社長さんにしてみれば、下請け単価は切り下げられるし、逆に私の彼氏は大企業に働きには行っているが、非正規だったりして結婚もままならない状態に心配ばかりの恋人たち。

従って、中小企業の社長さんも社員の皆さんもこのままで良いとは思っていないでしょう。
問題の本質が何処にあるのかをみなければ、何時まで経ってもこの状況から抜け出せないと感じているのではないでしょうか。

私は賃金の値上げと労働時間の短縮は、すべての問題の解決の糸口になると考えています。
賃金の値上げは生活基盤の安定を図ることであり、労働時間の短縮は、人としての尊厳の回復を意味します。


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