アモルの明窓浄几

芦屋・仕舞屋・三輪宝…生噛りの話題を机上で整理します。

再度「後期高齢者医療制度」について思うこと-12

2008年01月30日 | 万帳報
引き続き、2007年9月定例会議事録より
●木野下章 議員
 まず最初に、高齢者医療制度についてお伺いします。
 八王子市がですね、その東京都の広域連合の数字をもとに試算した資料があるんですが、その資料ではですね例えば、年金額が200万円の方は、八王子ですから芦屋とは違うと思いますけども、単身の場合に4万5,000円の国保税だったのに今度、保険料は11万4,000円に最高の場合でなる。
年金額が260万円の方は、8万4,000円だった国保税が17万2,000円になる。そうした見通しを出しています。東京都の広域連合はこうした形で各自治体が出しているんですね。

 兵庫県も、まだ国からデータ来てませんけれども、9月の頭には本当は数字が来てて今ごろだったら、本来ならば芦屋の数字が幾らになるのか、概算はわかっていたのではないかと思いますが、それにしても高いんですよね。高いからこそ今、全国的にこんなことでええのかという声が上がってきて先ほど紹介しましたように自民党の総裁候補がですね、凍結せざるを得ないんじゃないかというようなことまで言い始めているという状況なんです。

 75歳以上の方だけを一つにまとめて制度をつくる。今回の場合は、2年ごとにその保険料を見直しするというんですよね。後期高齢者の人口がふえていけばふえていくほど保険料を上げるというのが今回の仕組みなんです。ですから、もう2年ごとに確実に保険料がどんどんどんどん上がっていく。ここにたくさんいらっしゃいます団塊の世代がですね、どっとそういう世代になったときに、そのびっくりするような高額な保険料で、ある意味では、どんどんどんどん抑制していこうという、その医療費を賄っていくという、そういう仕組みだろうと私は思うんですね。

払えない保険料で今度、高齢者の方がどういうことになるかといったら、資格証明書や短期保険証をもらうことになる。さっき、市長はやむを得ないとおっしゃいましたけれども、80とかですね90になった方がですよ、本来なら大切に大切にされていいような方ですね保険証がないために、資格証明書しかないためにね病院に行けないなんて余りにもひどいことになるんじゃないかと思うんですね。
100歳のお祝いをされてますが100歳の方、回っていかれてですよ101歳とか、102歳の方でも保険証持てないような人が出てこないとも限らないわけですね、市長。そういう制度に今回なっているんですね。だから、いかに今回の制度が冷たいか。

 横浜で日本高齢者大会というの開かれてまして、そこでもね中止を求める決議が上がってるんですよ。全国至るところでそうした動きが出てくると、これから思うんですが、やっぱり兵庫県もね、その一翼を担ってですね国に対して言うべきことを言わないと、芦屋の高齢者の方が大変な思いをされるということになるんです。
その辺について、市長はどのような御認識でしょうか。改めてお伺いしたいと思うんですね。

 東京都の広域連合も、それから隣県の神奈川とか、たしか4つぐらいあったと思いますが、国に申し入れを行ってますよね。その中では、やはりちゃんと国が負担をふやせということを言ってるんですね。そうしないと、えらい高齢者の負担増が大変なことになってしまうということを言っているわけです。

 岡山県でもね、今度は減免制度を検討するって言ってますし、埼玉県では保険料を上げないようにするためにも広域連合の職員を県費から出す、そこの職員の給料を県費から出すと、そういうようなことを広域連合の方が県に申し入れるというようなことを言ってるんですよ。県費から出してくれというふうに。そのように高過ぎる保険料についてね、動きが出てきてますので、市長も今度行って11月、その広域連合の議会で保険料が決まるわけでしょう。決まる前には、当然幾らにしますよという案が出されると思いますが、案が出たら速やかにですね市民に示していただいて、市民の意見を聞いてね、臨んでいただきたいと思うんですよ。広域連合として懇話会をつくったというのは私も知ってます。
しかし、芦屋の高齢者の方々がどういう思いを持っているかというのは、やはり市長でないと言えないことだと私は思いますから、集会所トークとか、いろいろ市民との直接の対話をやられている市長だからこそ、あと、この問題で、75歳以上の方に絞ってね、意見聞かせてくれと、そういうことをされてもいいのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

 今回は、医療の内容も大幅に変わるんですよね。包括医療あるいは定額医療と言われていますけれども要するに、1カ月幾らですよと決めちゃうわけですね。今までの医療というのはね、私たちが受けている医療というのは出来高払いですね。注射を1本打つ、それから薬を投与される全部が上乗せされていきます。ところが、もう1カ月、あなた入院しても幾らですよって決めちゃうと、それ以上の保険が出ないということになりますとね、それ以上、診療報酬が出ないということになりますと、高齢者に対する医療は悪くなっていかざるを得んでしょう。
一つの病名ごとに一定の金額を決めていく、そんな形になるわけですよね。高齢者に対する差別的な医療だと私たちは思います。年をとったらもうそんなにね薬やっても、注射しても、しょうがないじゃないかというふうなことを国が言っているんだと思うんですよね。厚生労働省のある役員はね、何かもう露骨にそういうことを説明会の後で言っているようです。

 定額医療という問題はね今はその高齢者を対象にやられようとしてますけども、数年後には全国民的なレベルでやってくることは間違いないです。今の医療構造改革路線は。そうなりますと、私たちも一定のところでやられる治療が打ちどめになる。そして、その次に待っているのが多分それ以上の治療を受けたい人はどうぞお金を払ってくださいという、そういうことだろうと思うんです。

 先日、「シッコ」という映画を見てきたんですね。マイケル・ムーア監督の映画ですが、皆さんもぜひ見ていただきたいと思うんですけれども、アメリカの医療の状況を描きながら、カナダやイギリスやフランスやキューバ、こうした国々との対比を見せているんですよ。
アメリカには国民皆保険制度がありませんから、ですから、みんな民間の保険を買うわけですよね。民間の保険を買って医療を受ける。しかし、ちゃんと民間の保険に入ってても夫婦二人ががんになったり何かしたら、もうそれだけでは間に合わなくなって結局、自分が住んでいる家まで手放さなくてはならない。
そういう実態とかですね、それから、非常に医療費全体が高額になりますから、指1本落としても多額の医療で、もうつけることさえできない。そういうアメリカの実態と、カナダやフランスや、そしてイギリスが国民皆保険で、助け合いの精神で医療費無料を維持している。この対比を見せてくれるんですね。
非常に日本が無料化をやめてですよ今、どんどんどんどんアメリカのようになっていっている。そのことを思えばですね、来るべき社会が医療をめぐる社会がどんな社会かわかるし、やはりそういう方向に日本が進んではいけないと私は思うんですね。市長はごらんになりましたでしょうか。ぜひ見てください。本当に、何て言いますかね、いい映画だと私は思いました。
 今、テレビでね、入れます、入れますとか言って宣伝してますよね。アメリカの民間保険会社が。結局、そこをねらっているんだと思うんですね。

 きょうの夜ですか、日本ではね、沢内村という岩手県の村のその医療費無料化を始めた村のことが、「その時歴史が動いた」というNHKの番組でやられるそうですけど、日本にもそういう歴史がしっかりあって、そのかち得たですね、ある意味では、その医療費の無料化が今、どんどん崩されてきているという過程だろうと思います。
ぜひ見ていただくとともにですね、そういうね、医療の状況になっていっていいのかということについて、やはり今度、議員として広域連合に行かれる市長のお考えをお伺いしたいと思います。

 今回の改悪は、そのほかにもいろいろ入っています。70歳から74歳までの方の負担が1割から2割に上がりますし、それから、65歳から74歳までですね、前期高齢者は国保料が年金から天引きされます。今までも、この世代でもね、年金が毎年下がる中で払えない人がふえてきていると思うんですけども年金から天引きされるということは、何と言いますかね、分納とかね、支払猶予とか、そういうことを受けられないことになるんですよ。もう頭から引かれていく。
私たちもそう遠くない時期にその世代にもうなるわけですけども、そういうことが一体何を意味しているのかね、ぜひ考えていただきたいし、それに対してどうするのかを、やはり市長ならではできることがたくさんあるだろうと思いますから、ぜひやっていただきたいと思うんです。

 今、国はどんどん病院から追い出す、そして、ベッドを減らす、そして、在宅に終末期を迎える人たちを送り込もうとしています。今、在宅で死ぬ方が、たしか2割、それを4割にすれば、相当な医療費が浮くと考えているようです。そのために、これからは在宅みとり率、その自治体でどれだけ在宅で最期、死を迎えた人がいるか、そういうことまでデータにしてですね、いわゆる効率化の一つの目標指針としてあげて、競わせようとしています。そのことが保険料に絡んでくる、そんな仕組みさえつくろうとしているんですよ。
 さっき、厚生労働省の医療課長のことをちょっと言いましたけど、その方はね、終末期の患者は家で死ねということ、病院に連れてくるなということだと語ったそうです。そんなことでいいのかと思いますね。今、単身の高齢者、夫婦二人だけの高齢者がどれだけたくさんいらっしゃるでしょうか。ぜひ、そういうこともね、言っていただける場が広域連合の場だと思いますし、しっかり発言していただいて芦屋の思いをね、議会でこういうこと言うやつがおったと、ぜひ言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。……
 以上で終わります。2回目を終わります。

○山中健市長
高齢者につきまして、木野下議員の再度の御質問でございますが、保険料につきまして、高齢者の方、とりわけ各制度の改正によって、より生活が厳しくなられる高齢者がおられるということも十分承知しておりますが、この保険料率、後期高齢者の医療保険の保険料につきましても、均等割の法定軽減の制度がありますので、ぜひその辺も御利用いただけるのではないかと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
 そうした声が芦屋の議会であるから後期高齢者の会議で言えということでございますが、議会の総意であるとかですね、議決されれば、もちろんその声を持ってあがりますけども、議員お一人、お二人の声を芦屋の声だと申し上げることはいたしません。

以上です。

山中健市長は、市議会において、県広域連合議員に指名推薦された方でもあります。
市長は、制度の改正によって、より生活が厳しくなることは十分承知している。
しかし、制度内の法定軽減以上のことは一切考えていないという冷たい回答です。

奥池にお住まいの年金生活をされている高齢者の方ですが、足も不自由なため、ノンステップバス以外は乗り難く、しばしば芦屋市民病院へ行くのにやむなくタクシーを利用されるそうです。片道2,000円近く掛かるとの事でした。医療費や保険料以外にも見えないところでの出費があります。

市政に携わる者は、理解するだけでなく、弱い立場の人々のために行動するのではなかったのか。
芦屋の高齢者の方々がどういう思いを持っているかということを県広域連合の場で、しっかり発言して頂きたいという木野下章議員の訴えに対しても、「議員お一人、お二人の声を芦屋の声だと申し上げることはいたしません。」とキッパリ拒否しています。
議員一人といいますが、千票を超える得票を得て議員になっているのであり、一人の議員の発言は、多くの市民の代弁だということは、説明するまでもないでしょう。
制度だから仕方がない、制度の枠内で何が出来るのか、必要あらば制度を見直す勇気も必要でしょう。
山中健市長の発言には、気概もなければ、苦悩も見えない冷めた答弁に終始しています。
残念なことです。


最新の画像もっと見る