angel stone

☆パワーストーンやスピリチュアルな出来事、森山直太朗さん、B'zの事など…自由気ままに綴ってます☆

「桜の木の下で」

2008年01月17日 | ☆ポエムなど…

あれから13年
まだ13年?もう13年?
まだ生々しく残る当時の記憶

このショートストーリーは去年載せたものだけど、
今日の方がふさわしいと思い、改めて載せます。
あの日を元に作ったショートストーリです。

私が体験したことなどを元に作ったストーリーです。
居なくなってしまった友達や友達の家、見慣れた公園やお気に入りの桜の木など。。
たくさんの思い出が詰まった街並みや大好きだった人達へのメッセージ

良かったら読んでやって下さい。




ショートストーリー 
     「桜の木の下で」



あの日、私の街は消えた
一瞬にして消えてしまった

思い出のたくさん詰まったあの場所も
あの子の屈託のない笑顔も
大好きだった大きな桜の木さえも

みんなみんな消えてしまった
もう二度と逢う事なんて出来ない

あの日全てを失った
私達から奪い去って行った

未来なんてもうないと思った
希望なんて・・・


―4月―
私は大きな桜の木があった場所に来ていた
今は人ひとり居ない静かな場所
なにもない・・・
跡形もなく消えていた

ここが私のお気に入りの場所だった
本当なら今頃は満開の桜

あの日から一度も涙を流していない
涙なんて出ない
もう何もない 
もう何も・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

私はしばらくそこに立っていた
どれぐらいの時間が流れただろう?

もう帰ろう…
歩き出そうとしたその瞬間
頭の上で何かがキラッと光るのが見えた
上を見上げると真っ白い風船が!

どんどんこっちに近づいてくる
まるで「取って」とでも言うように
目の前にふわりと浮かぶ風船に
私は思わず手を伸ばした

その時!「パン!!!」と風船が弾けた!

『何?』

すると「ここだよ」
どこからか声が聞こえてきた
辺りを見渡して見ても誰も居ない

「ここだよ」
声のもとをたどってみると
そこには小さな小さな
手の平サイズの女の子が
にっこり笑って立っていた

『これは一体なんだろう?』
キョトンとしてる私には構わず
女の子は話し始めた

「わたし“ノエル”っていうの
 クリスマスのようせい
 きせつはずれのクリスマスプレゼントを
 とどけにきたの」

ノエルはそう言うと上を指差した
『空?』
上を見上げると
空はすっきりと晴れていて
雲は穏やかに流れ
太陽はにっこりと微笑んでいるように
私をじっと暖かく見守っている

すると突然
辺りがパアーッと明るくなった
そして目の前に
大きな大きなクリスマスツリーが現れた!

よく見るとあの大きな桜の木だった
私の大好きな桜の木

ただ違うのは
目の前にある桜の木は
お洒落にライトアップされていて
上にはお星様までつけてもらってる
『可愛い
 本当のクリスマスツリーみたい』

でもあの時のままだった
大きな大きな桜の木のまま

そして
雪のように見えるのは満開の桜の花だった

『キレイ
桜の木との思わぬ再開に
嬉しさと懐かしさが込み上げてきて
いつもしていたように
桜の木にピタリとしがみつき
木の鼓動を感じていた

『生きてる』
確かに今生きているんだね

私はいつしか泣いていた
ずっとこらえていた涙が
あとからあとから流れ落ちた
それはなぜかとても暖かい涙だった

傍で優しく微笑んでいたノエルに
私は感謝の気持ちをたくさん込めて言った
『ノエル・・・ありがとう』

ノエルはつぶらな瞳でニッコリと微笑み
小さな包み紙を差し出した
「これあとであけてね」
そう言うと
小さな小さな手をめいいっぱい広げて
「バイバイ」

『ノエル?』

するとその時
辺り一面 真っ白い雪に覆われた
それは雪ではなく桜吹雪だった

手のひらに舞い落ちた桜の花びらは
ほんのりと可愛いピンク色をしていた

私は桜の花が本当に大好きだった
毎年桜の花が待ち遠しくて
咲くのを楽しみにしていたのに
あの日以来
そんな気持ちを忘れてしまっていた
こんな風に感動する気持ち
感謝する心 笑顔 そして涙

クリスマスの妖精
季節はずれのプレゼント
『ノエル!』

私はノエルを探した
でもノエルはもうそこには居なかった

ふと手に何か握ってる事に気付いた
左手にはさっきの桜の花びら
右手には・・・
そっか!ノエルからのプレゼント
手を広げると
そこには小さな木箱がちょこんと乗っていた

可愛い木箱を開けてみると
それは
桜の花びらの形をしたオルゴールだった

♪僕らはきっと待ってる
 君とまた逢える日々を
 桜並木の道の上で手を振り叫ぶよ
 どんなに苦しい時も
 君は笑っているから
 挫けそうになりかけても
 がんばれる気がしたよ ♪

『誰の声だろう?
 でもとってもあったかい』

そこから流れてくるメロディーは
なぜかとても暖かくて優しい
ふんわりと包み込んでくれるような
そんな感覚

あの日からもう何年も
大好きな音楽さえ
聞く事が出来なかったのに
心の奥深くに響き渡り
そして私の中にす~~っと入り込んで
暖かい明かりを灯した

気がつくと
桜吹雪はいつしかおさまっていて
辺り一面に桜のじゅうたん

大きな桜の木は
消えることなくそのままの状態で残っていた
まるで「生きてるよ」とでも言いたげに
楽しそうに木々を揺らしている

♪さくら さくら ただ舞い落ちる
 いつか生まれ変わる瞬間を信じ
 泣くな友よ 今惜別の時
 飾らないあの笑顔で さあ

 さくら さくら いざ舞いあがれ
 永遠にさんざめく光を浴びて
 さらば友よ またこの場所で会おう
 さくら舞い散る道の上で ♪

オルゴールから流れる心地の良い音楽
包み込むような暖かい声

まるで今日までの私の詩(うた)みたい
じっと聴き入ってしまう


「またここであえるよ」
遠くからノエルの声が聞こえてきた
「このさくらの木のしたで」

手のひらにまだ残っている
ノエルの小さな手の感触と
桜の花びらのオルゴールを
大切に握り締めながら
私は大きな声で言った
『ノエル!ありがと~~』

『ノエルっ!!
 またきっとここで逢えるよね』



『この桜の木の下で』






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