笑顔を忘れたぶっちょ面の少女は、
今日も何かを求めて歩き続けている。
まるでどこかに落し物をしたかのように。
突然の風に煽られた少女の帽子が、
フワフワと空中を彷徨いはじめた。
行き交う人々は、そんな少女に目もくれず、
まるで存在すらしていないようだった。
少女はますますぶっちょ面になり、
帽子を追いかける。
気が付くと、ひと気のない公園に来ていた。
『ここどこ?こんな公園あったっけ?』
辺りを見渡してみても、帽子は見当たらない。
諦めて帰ろうとした瞬間、背後から声がした。
『お嬢さん、探し物は見つかりましたか?』
振り向くと、ピエロが笑って立っていた。
あの帽子を被って・・・。
『探し物は見つかりましたか?』
『あっ、その帽子・・・』
『いえ、帽子の事ではありませんよ!
お嬢さんが求めている探し物の事です』
そう言って、いきなりパントマイムを始めた。
あっけに取られていた少女に帽子を手渡し、
色々なショーを繰り広げ、おどけてみせる。
少女は気が付かないうちに笑っていた。
『お嬢さん、その笑顔ですよ!』
ピエロがニコニコ笑顔でそう言うと、
少女は再びぶっちょ面に戻り、こう言った。
『なんでそんなに笑えるの?
なにがそんなに楽しいの?
哀しい事とかあるでしょう?
馬鹿みたいだよ!!』
ピエロはパントマイムをしながら、
『哀しいから笑うんですよ!
泣きそうだから笑うんです。
私はみなさんに笑って欲しいから、
だからこうして笑ってるんです。
これが私の生き方なのです。
人はそうして一人一人、
自分の足で歩いていくものですよ。
けれど、本当は・・・
さんざん泣いたから笑えるんです!
そうしてる内に哀しい事も忘れていきます。
ずっと泣いていてはいけないのです。
前を向かなければ!
お嬢さんはもう、探し物を見つけましたね!
もう分かってるのでしょう?
決して忘れてはいけません!
笑顔は大切な宝物ですから。』
そうだった!ピエロの顔はいつも泣いている。
泣いているのに、おどけて見せるのがピエロだった。
哀しいから笑ってみせる。
だから、そんなピエロが少女は大嫌いだった。
でも、今、何かを見つけた気がする。
失くした宝物を見つけた感じ。
その時、又、突風が吹き荒れた。
そして気が付くと、ピエロの姿はどこにも無かった。
『お嬢さん、その笑顔ですよ!』
ピエロの声が、耳元で聞こえた気がした。
『ピエロか~!嫌いじゃないかも♪』
少女は〝くすっ〟と笑うと、元気良く歩き始めた。
前へ前へと真っ直ぐに。
その足取りはとてもとても軽やかだった。
今日も何かを求めて歩き続けている。
まるでどこかに落し物をしたかのように。
突然の風に煽られた少女の帽子が、
フワフワと空中を彷徨いはじめた。
行き交う人々は、そんな少女に目もくれず、
まるで存在すらしていないようだった。
少女はますますぶっちょ面になり、
帽子を追いかける。
気が付くと、ひと気のない公園に来ていた。
『ここどこ?こんな公園あったっけ?』
辺りを見渡してみても、帽子は見当たらない。
諦めて帰ろうとした瞬間、背後から声がした。
『お嬢さん、探し物は見つかりましたか?』
振り向くと、ピエロが笑って立っていた。
あの帽子を被って・・・。
『探し物は見つかりましたか?』
『あっ、その帽子・・・』
『いえ、帽子の事ではありませんよ!
お嬢さんが求めている探し物の事です』
そう言って、いきなりパントマイムを始めた。
あっけに取られていた少女に帽子を手渡し、
色々なショーを繰り広げ、おどけてみせる。
少女は気が付かないうちに笑っていた。
『お嬢さん、その笑顔ですよ!』
ピエロがニコニコ笑顔でそう言うと、
少女は再びぶっちょ面に戻り、こう言った。
『なんでそんなに笑えるの?
なにがそんなに楽しいの?
哀しい事とかあるでしょう?
馬鹿みたいだよ!!』
ピエロはパントマイムをしながら、
『哀しいから笑うんですよ!
泣きそうだから笑うんです。
私はみなさんに笑って欲しいから、
だからこうして笑ってるんです。
これが私の生き方なのです。
人はそうして一人一人、
自分の足で歩いていくものですよ。
けれど、本当は・・・
さんざん泣いたから笑えるんです!
そうしてる内に哀しい事も忘れていきます。
ずっと泣いていてはいけないのです。
前を向かなければ!
お嬢さんはもう、探し物を見つけましたね!
もう分かってるのでしょう?
決して忘れてはいけません!
笑顔は大切な宝物ですから。』
そうだった!ピエロの顔はいつも泣いている。
泣いているのに、おどけて見せるのがピエロだった。
哀しいから笑ってみせる。
だから、そんなピエロが少女は大嫌いだった。
でも、今、何かを見つけた気がする。
失くした宝物を見つけた感じ。
その時、又、突風が吹き荒れた。
そして気が付くと、ピエロの姿はどこにも無かった。
『お嬢さん、その笑顔ですよ!』
ピエロの声が、耳元で聞こえた気がした。
『ピエロか~!嫌いじゃないかも♪』
少女は〝くすっ〟と笑うと、元気良く歩き始めた。
前へ前へと真っ直ぐに。
その足取りはとてもとても軽やかだった。