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映画 シリアスマン A serious man (Coen Bros)

2011-03-06 00:05:47 | 映画
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11世紀のRabbi(ラバイ) Rashiの言葉が映画冒頭に掲げられます

実はこれが、この映画全体を支配するキーワードなのでした

これをよく呑みこんでいると、ブラックジョークを楽しめたかもしれないけど
ユダヤの習慣そのものを知らないから、途中まで、よくわからない世界でした・・・

冒頭のイディッシュ語のエピソードは、19世紀の東欧あたりのシュテートル(Shtetl)と
言われるユダヤ人居住区での伝承らしく

dybbuckという悪霊が生きた人間にとり憑くという伝承により、アイスピックが
訪ねてきた老人の胸につきささるのです びっくり

一瞬、こののりは、サムライミのホラーかなとも思うような、ギャグともとれる
幻想的なシーンでしたが、

予告編で主人公が男に壁に打ち付けられるシーンがあって、
これを先に見ると、いつものコーエン的に残酷な描写があるのかなと思いきや
本当に残酷なシーンは一つもなく、それが主人公の夢の中だけで
あったりする

コーエン兄弟は、この映画で、ユダヤ教徒は誰も傷つかないと話していて、
実はまったくその通りでした

ラバイ(ラビ)という指導者も、なかなか捕らえにくかったけど
最後まで見ると、そのカルチャーが少しわかった感じがしました

アメリカでのユダヤ教徒の割合は2%程度だそうで
だけど、アメリカで働いていたときは、ロサンゼルスだったためも
あって、知り合いには結構、ユダヤ教徒がいました

ハリウッド映画産業とはユダヤ人のコミュニティというのは本当で
彼らはずっと、信仰とカルチャーを継承しているんだなぁとも理解しました
この作品でも親と子が、似たもの同士で、その部分もコミカルでした

この作品は宗教という枠を超えて、人生という不条理を
受け入れよう、楽しもうではないかというコメディなんだなぁと
あらためてコーエン兄弟の落ち着いた視線を感じました

しかし、隣の奥さん(Amy Landecker)の顔のアップがヒッピー的で
たまんなかったなぁ

撮影監督のディーキンスがやはり、うまいです