その流れを汲むかのように、民進党にも憲法の改正を主張する有力議員がいる。先に離党を表明して除名された長島昭久議員は、昨年の代表選立候補を検討した折、掲げた方針の一つが憲法改正であったと述べている。
また代表代行であった細野豪志氏は自衛隊について9条に書かなければならないという考えを持っていたようであり、現蓮舫代表の憲法改正「絶対反対」という頑迷固陋を嫌って代表代行を辞任したという。
前原誠司元外相も昨年の代表選に出馬した際、「9条1、2項は変えず、3項に自衛隊の位置づけを加える」ことを表明していた。
同様に、現在、党の憲法調査会長である枝野幸男議員も平成25(2013)年に、9条の1、2項に追加して、「自衛権の行使」を明文化した私案を発表している。
このように、今回安倍首相が自衛隊の憲法における位置づけに意欲を示した視点は、民主党の主要な幹部たちの思いとも一致している。日本国家の安全を真剣に考えるならば、憲法に記述がない方がおかしいという当然の帰結ではないだろうか。
PKOなどで海外派遣が頻繁になったが、憲法違反のレッテルを貼られる状況では海外に行きたくないという隊員も時折いると聞いたことがある。その心情を政治は我が事としてしっかり汲み取る必要がある。
5月3日、首相がビデオメッセージで打ち出した改正事項についても、蓮舫代表は「首相は『憲法を変える』というが、口を開くたびに、どこを変えるかを変えてくる。首相の、首相による、首相のための憲法改悪には絶対に反対しないといけない」と語っている。
その後で「未来志向の憲法を、国民の声を何よりも大事に構築していきたい」と願望を述べるが具体性がない。それもそのはずであろう。「国民の声」を真剣に聞けば、緊急事態対処や自衛隊の憲法での位置づけの必要性を求めていることがはっきりしている。
民主党時代は真っ当に聞こえてきた9条改正の必要性も、民進党には「必要なし」とでも聞こえてくるのであろうか。そうであるならば、我田引水もいいところである。
JBpressからの引用記事