独り言雑記ブログ

将棋関係の一人言雑記帳

王将戦と棋王戦と女流名人位戦

2008-02-26 23:05:41 | Weblog
王将戦はここまで4局終了で羽生王将の3勝1敗。

明日箱根で第5局が行なわれますが、ここまで4局はいずれも封じ手前後で形勢が傾いてる将棋がほとんどだったので、2日目まで形勢不明の熱戦を期待。
可能なら箱根まで行きたかったけど、予定が入ってしまったので断念

動画はこちらへ
ためしに王将戦の動画を貼ってみました。この動画を選択した意味はとくにないです。

王将戦とは逆に2局連続終盤まで大熱戦だったのが、棋王戦。
いずれも終盤まで形勢不明の熱戦。第2局は、羽生二冠が勝ちを逃しての佐藤棋王の大逆転勝ち。

女流名人位戦は、矢内名人が3連勝で3連覇達成。なんというか、矢内名人が圧倒したというよりは斎田四段が勝手に転んだという印象がある今回のシリーズ。
若い世代も頭角を現してるので、女流棋界は、一気に世代交代が進みそうな気がしますが、どうなるんでしょうか。

第33期棋王戦五番勝負第1局(1)

2008-02-20 22:58:18 | Weblog
開始日時:2008/02/13 9:00
終了日時:2008/02/13 20:25
棋戦:第33期棋王戦五番勝負 第1局
戦型:一手損角換わり
持ち時間:各4時間
消費時間:▲3時間59分△3時間59分
場所:京都府京都市「グランドプリンスホテル京都」
先手:羽生善治 二冠
後手:佐藤康光 棋王

第33期棋王戦開幕
 二冠対決として注目の第33期棋王戦五番勝負、今期は雪の京都から開幕。午前中は、非公開で行なわれるが、午後からは例年通り公開対局が予定されている。
 京都は佐藤棋王の地元でもある。寒波の影響で、京都市内は大雪。会場の「グランドプリンスホテル京都」は、京都市の中心部からやや離れていることもあって、中心部と比べても積もっている雪の量も多い。

 羽生二冠が挑戦者として番勝負に登場するのは、2006年の棋聖戦以来。その時の相手も佐藤棋聖(当時)だった。羽生二冠-佐藤棋王(棋聖)の対戦は、これが129局目。番勝負でも多くの対戦があるが、この両者が番勝負で顔を合わせるのは、1年前の王将戦以来になる。

 佐藤棋王の今期の成績は、24勝25敗。昨年は、5棋戦連続挑戦の記録を作るなど絶好調だったが、今期はその反動もあってか、竜王戦で挑戦はしたものの、ここまでなかなか調子があがってこない。A級順位戦では、開幕からまさかの6連敗。2月1日の順位戦で久保八段に勝って2勝目をあげ、最大の危機は脱したもののいまだにA級陥落の危険性もある。
 棋王戦は、1日制4時間の5番勝負。同制度のタイトル戦は他に棋聖戦もあるが、いずれも佐藤棋王がタイトルを保持している。地元での開幕・得意の持ち時間。佐藤棋王としては、この棋王戦で調子をあげていきたいところだ。

 振り駒の結果、羽生二冠の先手に。ゴキゲン中飛車なども予想されたが、本譜は一手損角換わりに。佐藤棋王が、12手目に△1四歩と端を受けたことで、先手・羽生二冠の早繰り銀になりそうだ。

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △8八角成
▲同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀 ▲1六歩 △1四歩
▲3六歩 △5二金 ▲7七銀 △6二銀 ▲6八玉 △6四歩
18手目まで ここまでの消費時間は▲羽生二冠14分△佐藤棋王24分

2年ぶりの挑戦
 王将戦七番勝負と時期が重なっていることもあって、ここ最近の羽生二冠は過密日程。2月は1日の順位戦のあと、4日に竜王戦1組ランキング戦(対深浦王位●)、5日に移動日があって、6、7日と浜松で王将戦第3局(対久保八段●)、8日が移動日で、9日に今度は朝日杯将棋オープン戦の準決勝・決勝の公開対局(準決勝・対丸山九段●)と先週は連戦で深浦王位に敗れるまで7連勝中だったが、ここにきて3連敗。この対局のあとも、移動日が1日あって、その翌日には王位戦(対松尾六段戦)の対局が控えており、翌週は、王将戦第4局(島根)・棋王戦第2局(石川)と再び大きな勝負が続く。

 羽生二冠の早繰り銀になった本譜は、35手目に「積極的にいくつもりでした」(1)と▲3七桂。ここで佐藤棋王が29分考えて、そのまま昼食休憩に入った(2)。午後からは、公開対局場に移っての戦いとなる。

 昼食休憩に入ったあと、盤・駒などが公開対局場に運ばれ、両対局者の飲物なども対局場に用意された。羽生二冠はボルヴィック、一方の佐藤棋王は、おなじみのペリエだ。
12時56分、佐藤棋王が、その直後に羽生二冠が公開対局場に入場。佐藤棋王が駒箱をあけ、ゆっくりと駒を再度並べ直し、村田女流初段の読み上げで午前中の棋譜が再現された。対局が再開されるまでの間は、写真撮影が解禁されていることもあって、公開対局場のファンの中には、両者にカメラを向けている人も多い。そして、13時4分。西川三段の「再開してください」の声がかかり、両者が一礼。午後の戦いが始まった。

(1)局後のインタビュー (2)週間将棋

▲3七銀 △4四歩 ▲4六銀 △4三金右 ▲3五歩 △4五歩
▲同 銀 △3五歩 ▲4六歩 △4二玉 ▲5八金右 △5四歩
▲5六銀 △5三銀 ▲7九玉 △3一玉 ▲3七桂
35手目まで 昼食休憩までの消費時間は▲羽生二冠1時間18分△佐藤棋王1時間25分

公開対局
 午後からの対局は公開対局。同じフロアにある別室では、谷川九段、村田女流初段らによる大盤解説会が予定されている。その他にも解説会場では、指導対局や谷川件のサイン会なども行なわれた。
 対局再開後、5分くらいで佐藤棋王が指した手は△4四歩。ここでは後手やや苦戦のようで「桂を飛ばれて歩を打つんじゃつまらない。お昼のところでは自信がないですね」(3)と佐藤棋王。
佐藤棋王は△4四歩を指してペリエをコップに注いだ。公開対局場から直接盤面をみることは出来ないが、ファンのために、隣の大盤で、局面が再現されている。

 大盤解説会が始まると、対局場にいるファンの数は減ったが、それでも、公式戦でトップ棋士の対局姿を見ることのできる数少ない機会ということもあって、30~40人ほどは両者の対局姿を観戦している。
 15時を過ぎて、対局場に両対局者におやつが運ばれた。佐藤棋王はフルーツ、羽生二冠はクッキーのようだ。おやつが、運ばれてきた直後に佐藤棋王は△4二銀右(48手目)と銀をひいた。局後のインタビューで羽生二冠が「桂を跳ねた後の指し手が相当変でしたね」(4)と言ったのは、このあたりのことだろう。5三の地点に成桂は出来たが、「角銀交換になるようではつまらなかったですね」(羽生二冠)(3)

 解説会場では、谷川九段と都成三段の師弟コンビで解説が行なわれており、16時を過ぎたところ(59手目の局面)で次の1手が出題された。候補手は、△5五角成、△7六歩、△9三桂、△4二歩など。

(3)公開感想戦 (4)局後のインタビュー

△4四歩 ▲4七銀 △3四金 ▲2六飛 △9四歩 ▲4五歩
△同 歩 ▲1五歩 △同 歩 ▲7一角 △5二飛 ▲4六歩
△4二銀右 ▲4五桂 △7二飛 ▲5三角成 △同 銀 ▲同桂成
△7四歩 ▲4五歩 △3七角 ▲2九飛 △7五歩 ▲同 歩
59手目まで ここまでの消費時間は▲羽生二冠2時間37分△佐藤棋王2時間44分

対局姿勢
 ここでの佐藤棋王の手は△9三桂だった。この手を指した佐藤棋王はしばらくしてから、席を外した。大盤解説会が休憩に入ったこともあって、再び対局場の人数が増えてきている。

 △9三桂には羽生二冠も長考。首をひねるシーンも多くなってきた。羽生二冠はあぐらに組み、おやのクッキーを口に運ぶ。一方の佐藤棋王は、正座を崩すことなく前傾姿勢で伸ばした背筋を前後に小刻みに揺れている。羽生二冠が、やや背を丸めて一点に集中しているのとは対照的だ。
 27分の考慮で▲4六銀打。これで羽生二冠の残り時間は1時間を切った。時刻はまもなく17時。今度は佐藤棋王が長考。佐藤棋王の残り時間も1時間を切り、両対局者の前に残り時間を示す紙が置かれている。長考中、羽生二冠は10分ほど席を外していた。羽生二冠が戻ってきて、しばらくして、今度は佐藤棋王が何度か首をひねる。佐藤棋王は、29分の考慮で△7三飛と指し、すぐに席を立った。

 ▲7五同歩の局面は、角2枚を持った佐藤棋王が指せる展開だった。ここで△7六歩なら後手十分で、以下▲同銀△5五角成▲6六歩に△7三飛として5三成桂の処置が難しい。(5)実戦は▲4六銀打に△7三飛と成桂取りに飛車を浮いたが、「これでは変調かなという気がした」(6)と佐藤棋王。

 残り時間が1時間を切ってから、佐藤棋王は何度も残り時間を示す紙に目をやり、首をひねる。▲6五銀(69手目)に、再び佐藤棋王が長考。残り時間を示す数字がどんどん消されていく。取れば準王手飛車だが、取れなければおかしい(5)。「佐藤棋王、残り20分です」の声に、佐藤棋王は「いやー」とつぶやいた。

 ▲5二角に対する応手を考慮中、ついに佐藤棋王は残り10分をきった。

(5)週間将棋 (6)公開感想戦

△9三桂 ▲4六銀打 △7三飛 ▲3七銀 △5三飛 ▲4六銀右
△7六歩 ▲同 銀 △8四桂 ▲6五銀 △2二玉 ▲6四銀
△4三飛 ▲5二角
73手目まで ここまでの消費時間は▲羽生二冠3時間37分△佐藤棋王3時間49分

第33期棋王戦五番勝負第1局(2)

2008-02-19 21:57:55 | Weblog
開始日時:2008/02/13 9:00
終了日時:2008/02/13 20:25
棋戦:第33期棋王戦五番勝負 第1局
戦型:一手損角換わり
持ち時間:各4時間
消費時間:▲3時間59分△3時間59分
場所:京都府京都市「グランドプリンスホテル京都」
先手:羽生善治 二冠
後手:佐藤康光 棋王

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △8八角成
▲同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀 ▲1六歩 △1四歩
▲3六歩 △5二金 ▲7七銀 △6二銀 ▲6八玉 △6四歩
▲3七銀 △4四歩 ▲4六銀 △4三金右 ▲3五歩 △4五歩
▲同 銀 △3五歩 ▲4六歩 △4二玉 ▲5八金右 △5四歩
▲5六銀 △5三銀 ▲7九玉 △3一玉 ▲3七桂 △4四歩
▲4七銀 △3四金 ▲2六飛 △9四歩 ▲4五歩 △同 歩
▲1五歩 △同 歩 ▲7一角 △5二飛 ▲4六歩 △4二銀右
▲4五桂 △7二飛 ▲5三角成 △同 銀 ▲同桂成 △7四歩
▲4五歩 △3七角 ▲2九飛 △7五歩 ▲同 歩 △9三桂
▲4六銀打 △7三飛 ▲3七銀 △5三飛 ▲4六銀右 △7六歩
▲同 銀 △8四桂 ▲6五銀 △2二玉 ▲6四銀 △4三飛
▲5二角
73手目まで 残り時間は▲羽生二冠23分△佐藤棋王11分

秒読み
 対局開始から9時間・18時を過ぎた。
 ▲5二角に考慮中、佐藤棋王の残り時間は10分を切った。記録係の「秒読みはどうしますか?」の声に、最初は「50秒」と答えた佐藤棋王だったが、「残り9分です」の声に、今度は「普通に読んでください」。
 記録係の無機質な声が対局場に響く。残り6分まで考えて△4二銀右。このタイミングで、大盤解説会を覗くと、谷川九段が「佐藤さんの時間の使い方がおかしいですね」と解説していた。
佐藤棋王は、席を立つ時に何度か咳き込んだが、激しく咳き込むことはない。「情熱大陸」での佐藤棋王の話や朝日杯での局後の行方八段のインタビューから考えると、公開対局というのもあって、いつものように超集中モードとはいかないようだ。
 佐藤棋王の残り時間は、どんどん少なくなり、82手目△2五同歩で残り3分。△2五同歩に考慮中、羽生二冠は1点に集中しているようで、相変わらず動きはほとんどない。ここで羽生二冠も残り時間は10分を切った。記録係の「秒読みは?」という問いに羽生二冠は「5分から」。残り5分まで考えた羽生二冠は、記録係の「残り5分です。30秒」の声を聞いて▲1二歩。時間の使い方だけを見れば、読みきったようにも見える。
 羽生二冠は、1分使って▲1五香。この手をみた佐藤棋王は「いやー」と声を出して、頭に手をやった。佐藤棋王は、ここで最後の1分を使って、△1五同角。佐藤棋王は、ここからは1分将棋になった。

△4二銀 ▲4三角成 △同 金 ▲4四歩 △同金寄 ▲2四歩
△同 歩 ▲2五歩 △同 歩 ▲1二歩 △同 香 ▲1三歩
△同 桂 ▲1四歩 △3三角 ▲1五香 △同 角
90手目まで 残り時間は▲羽生二冠4分△佐藤棋王1分

逆王手
 対局終了後には、両対局者と谷川九段の3人で大盤解説場で公開感想戦が行なわれた。端を連打して決まったようにも見えたが、「桂馬で取って意外と粘りがありましたね」とは、局後の公開感想戦での谷川九段の感想。
羽生二冠は、さきほどまで1点集中といった感じだったが、今度は盤面全体を見回すようにして考える。残り2分まで考えて95手目▲1四歩。指した後、羽生二冠は何か一言つぶやいた。△1四同香には、今度はそっと置くようにして、▲2六桂と打った。
 102手目△3四金寄に対して、谷川九段は「角を取るような順かなと思いましたが」という指摘に対して、「そっちかもしれませんね」と羽生二冠は答えていたが、最後の1分を使って指されたのは▲3四同桂。羽生二冠は、何度か小さくうなずいた。
羽生二冠は、▲2三飛成と指したあと、3回ほどちょんちょんと竜を触る。▲2三飛成で部分的には詰みだが、△7六香▲8八玉の交換があったために、佐藤棋王が首をひねりながら打った△2二角が逆王手になっている。「逆手王手を食らっても大丈夫という読みは凄い」とは、公開感想戦での谷川九段のコメントだ。
「飛車を打つんでは負けのような気がしたんですが」といいながらでも、佐藤棋王は、高い駒音で△3二飛と打った。
 時刻は19時を過ぎ、両者既に1分将棋に入っている。「遅くなると午後7時を回るかも(1)と言われた本局。この熱戦は、まだまだ続くことになる。

(1)週間将棋

▲1三歩成 △同 香 ▲2五飛 △2三歩 ▲1四歩 △同 香
▲2六桂 △1三歩 ▲4五歩 △7六香 ▲8八玉 △3四金寄
▲同 桂 △同 金 ▲2一飛 △同 玉 ▲2三飛成 △2二角
▲4四歩 △3二飛
110手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分

1分将棋
「飛車打たれて大変なんですね」とは局後の羽生二冠のコメント。「1五の角がなにかのときにこっち(先手玉)が詰む筋があって、けっこう利いているんですよね。本譜でしょうがないですかね」(羽生二冠)ということで、羽生二冠は▲1二金と打った。△2二飛に羽生二冠は「9」まで読まれてスッと▲3四龍と引く。
 既に両者1分将棋。まだまだ難解な将棋だ。両対局者ともに時間いっぱいまで考えての指し手が続く。その中で、羽生二冠は、ときどき「9」を読まれることはあるが、一方の佐藤棋王は、52~56秒での指し手がほとんど。この後も含めて、佐藤棋王が「9」を読まれたことはなく、「8」まで読まれたのも数えるほど。佐藤棋王といえば、時間ぎりぎりまで考えて、出来る限りいい手を指すというイメージがあったが、昨年末に行なわれた朝日杯(郷田九段戦)での“時間切れ疑惑”を気にしてのことだろう。
 121手目▲4一角。佐藤棋王はここで、「ひょっとしたら面白い順が出てきたと思った」ようだが、△3一金は▲5二角成で「ここで寄せきる自信がなかったんで」(佐藤棋王)。△4二金も▲8二飛で先手がよさそうというこで、本譜は△3二桂。ここで「攻める手がないんで」(羽生二冠)と首をひねりながら▲9六歩。しかし、これが羽生二冠らしい手渡し。一分将棋で手を渡されて、佐藤棋王は「どうするのが正解なんでしょうね」。実戦は△2九飛と高い駒音で飛車を打ちつけた。
 佐藤棋王は130手目△4五歩を指して頭に手をやるが、▲同銀に△4四桂と跳ねた局面で「なんか勝ちになったような気がした(2)。しかし、ここで羽生二冠の妙手が出る。

(2)週間将棋

▲1二金 △3一玉 ▲2二金 △同 飛 ▲3四龍 △3三銀
▲2三歩 △3四銀 ▲2二歩成 △同 玉 ▲4一角 △3二桂
▲9六歩 △2九飛 ▲6八金寄 △4二金 ▲7四角成 △3三角
▲5六馬 △4五歩 ▲同 銀 △4四桂
132手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分

第33期棋王戦五番勝負第1局(3)

2008-02-18 20:18:57 | Weblog
開始日時:2008/02/13 9:00
終了日時:2008/02/13 20:25
棋戦:第33期棋王戦五番勝負 第1局
戦型:一手損角換わり
持ち時間:各4時間
消費時間:▲3時間59分△3時間59分
場所:京都府京都市「グランドプリンスホテル京都」
先手:羽生善治 二冠
後手:佐藤康光 棋王

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △8八角成
▲同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀 ▲1六歩 △1四歩
▲3六歩 △5二金 ▲7七銀 △6二銀 ▲6八玉 △6四歩
▲3七銀 △4四歩 ▲4六銀 △4三金右 ▲3五歩 △4五歩
▲同 銀 △3五歩 ▲4六歩 △4二玉 ▲5八金右 △5四歩
▲5六銀 △5三銀 ▲7九玉 △3一玉 ▲3七桂 △4四歩
▲4七銀 △3四金 ▲2六飛 △9四歩 ▲4五歩 △同 歩
▲1五歩 △同 歩 ▲7一角 △5二飛 ▲4六歩 △4二銀右
▲4五桂 △7二飛 ▲5三角成 △同 銀 ▲同桂成 △7四歩
▲4五歩 △3七角 ▲2九飛 △7五歩 ▲同 歩 △9三桂
▲4六銀打 △7三飛 ▲3七銀 △5三飛 ▲4六銀右 △7六歩
▲同 銀 △8四桂 ▲6五銀 △2二玉 ▲6四銀 △4三飛
▲5二角 △4二銀 ▲4三角成 △同 金 ▲4四歩 △同金寄
▲2四歩 △同 歩 ▲2五歩 △同 歩 ▲1二歩 △同 香
▲1三歩 △同 桂 ▲1四歩 △3三角 ▲1五香 △同 角
▲1三歩成 △同 香 ▲2五飛 △2三歩 ▲1四歩 △同 香
▲2六桂 △1三歩 ▲4五歩 △7六香 ▲8八玉 △3四金寄
▲同 桂 △同 金 ▲2一飛 △同 玉 ▲2三飛成 △2二角
▲4四歩 △3二飛 ▲1二金 △3一玉 ▲2二金 △同 飛
▲3四龍 △3三銀 ▲2三歩 △3四銀 ▲2二歩成 △同 玉
▲4一角 △3二桂 ▲9六歩 △2九飛 ▲6八金寄 △4二金
▲7四角成 △3三角 ▲5六馬 △4五歩 ▲同 銀 △4四桂
132手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分


歩頭の馬

▲5五馬 △同 歩 ▲3四銀 △8五桂 ▲2三歩 △同飛成
▲3一銀 △1二玉 ▲2三銀不成△同 玉 ▲2六飛 △2四歩
▲4二銀不成△同 角 ▲6三飛 △3三銀 ▲4三飛成
149手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分

 この局面、局後の公開感想戦で、佐藤棋王は「なんかうまくいったかなと思った」と語っていた。直前の△4五歩▲同銀△4四桂が好手順。「(打った)桂馬をすぐに使うのは凄いなと思った」と解説の谷川九段も感心。しかし、「それを上回る手」(谷川九段)が羽生二冠に飛び出す。

 ▲5五馬(!)。けして力強く打ちつけたような手つきではなかったが、これが歩の頭に馬を出る妙手。
「▲5五馬をちょっとうっかりしました」という佐藤棋王に対して、谷川九段も「それはうっかりするでしょう、普通」と呼応。「これで分からなくなっちゃいましたね」というのは、やはり局後の公開感想戦での佐藤のコメント。

 143手目▲2六飛。少し前の局面について問われた羽生二冠は「正確にやればですけど…」とこのあたりではまだ勝ちを確信していなかったようだ。このあたりは、飛車を受けにも利かせて「このあたりは少しずつ羽生さんのほうが厚いような」(谷川九段)。飛車を打たれて、「これでどうも困ったですかね」と佐藤二冠。ここでは、△2五歩と先手を取りたいとこだが、その瞬間▲2一飛と打たれて困る。ここからは、少し後手が足りないようだ。

 とはいえ、1分将棋。両対局者からも勝負が決したような雰囲気はまったくない。佐藤棋王は145手目▲4二銀不成に力強く△同角と応じる。それに対して羽生二冠の指し手は▲6三飛。佐藤棋王は、△3三銀と銀を打ち、天を仰いだ。

佐藤棋王、羽生二冠、谷川九段のコメントはいずれも公開感想戦でのもの

大熱戦

△3四銀打 ▲4二龍 △同 銀 ▲4一角 △3二角 ▲8五角成
△2五歩 ▲5二馬 △3三銀 ▲2五飛 △同 銀 ▲同 馬
△2四歩 ▲3五馬 △3四歩 ▲4五馬 △2五飛 ▲3五歩
△1七香成 ▲1五歩 △7七歩
170手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分

△3四銀の局面。時刻はいつの間にか20時をすぎていた。手数もこれが150手目。150手を超え、棋譜用紙は2枚目に突入した。羽生二冠・佐藤棋王両者のタイトル戦で「2枚目」に突入したのは、昨年の王将戦第5局以来。矢倉・先手森下システムから相入玉模様の将棋になり、最後は佐藤棋聖(当時)が羽生王将の玉を寄せきった将棋。本局も、その将棋に勝るとも劣らない熱戦だ。

依然として、両者の指し手は50~56秒での着手がほとんどだ。60秒いっぱいを使っての指し手が続いており、ノータイムの手はほとんどない。局後の公開感想戦でのやり取りからすると、この局面は既に先手が優勢だったようだ。しかし、対局者の表情からは盤面の優劣を伺うことはできなかった。
 羽生二冠は、必死に盤面を見渡し読んでいる。一方の佐藤二冠も頬をひくひくさせている。両者1分将棋になってから、1時間から1時間半はたっただろう。かなりの時間が経過したが、両者の様子にはまったく変化がない。公開対局場で対局を観戦しているファンの数ももちろん減る気配はない。

 △7七歩で手数はついに170手。今まで時間いっぱい使っていた両者の指して手がここから少しずつ早くなる。大熱戦もいよいよ終わりが見えてきたか。

羽生二冠 先勝

▲4二銀 △7八歩成 ▲同金上 △同香成 ▲同 金 △2二金
▲3三銀不成△同 金 ▲4二銀 △2二銀 ▲3八香 △7七歩
▲3三銀成 △同 銀 ▲3四馬 △同 銀 ▲3三金
まで187手で先手の勝ち

 佐藤棋王は175手目▲7八同金に取ったばかりの金を△2二金と受けに使う。▲3三銀不成に△同金。

ここで、少し対局場がざわめいた。▲4二銀△2二銀に▲3三銀不成△同銀…となれば千日手コース。
ここにきて「千日手か?」ということだ。局面は、羽生二冠が優勢。もちろん金銀を入れ替えるためのテクニック。千日手にはせず、△2二銀には▲3八香。
局後のインタビューで「勝利を確信したのは?」という質問に羽生二冠は、「▲3八香打って、それが詰めろなので、やっとはっきりしたと思ったんですけど、最後までよく分からなかったですね」と答えているが、読みきっていたのだろう。ほとんど時間を使わずに▲3八香と打ちつけた。

 佐藤棋王は、187手目▲3三金を見て、「んー」と小さな声を出した。記録係の秒読みの声が対局場に響く中、佐藤は姿勢を正し、一呼吸いれてから、「負けました」とはっきりとした声で投了を告げた。
公開対局で行なわれた第1局は、両者1分将棋が延々と続いたまさに大熱戦。手数は187手。終局時間は、20時25分。千日手指し直しなどを除けば、棋王戦史上、もっとも遅い終局時間だそうだ。
これで羽生二冠が五番勝負を先勝。棋王奪取・三冠復帰に大きな1勝をあげた。

棋王(二冠)の言葉

2008-02-16 22:52:47 | Weblog
棋王戦見に雪の京都まで行ってきました。

棋王戦の第1局は、例年通り公開対局。早指しとは違う長時間の将棋ならでは緊張感を感じることが出来る数少ない機会(他には彦根開催の王将戦第2局だけ)。
公開対局を中心に見ていたので、大盤解説会はほとんどいけなかったんですが、次の一手で色紙があったたりかなり楽しめました。
ネット中継はいまいちだったみたいですが、現地に行った人はかなり楽しめたと思います。

公開対局で感じたのが佐藤棋王(棋聖)のこの言葉

佐藤二冠「時間が切れていたかどうかについては正直、分りません。というか手を読んでいた記憶しかないので。いつもぎりぎりで指す癖が染みついているのですがいつも時間内に着手している自信はありました。研究会とかでも時間切れは記憶が悪いのですが少なくとも30代になってからはないです。ただギリギリで指すことが今回のようなことを起こす可能性がある、プロ棋士として良くない、恥ずべき行為だということが今回のトラブルで身をもって痛感しました。対局者、記録係など皆に迷惑をかけてしまいました。
郷田-久保の時も自分は関係のない1件かと思っていたのでかなりショックはあります。エチケット、マナーが私はかなり悪い棋士だったんですね。今頃になって気が付きました。25年染み付いていますし、対局中は無我夢中ですのですぐには治らないような気もします。ただ意識して、2度と起こさぬよう少しずつでも改善していきたいと思います」
朝日杯の観戦記より引用)

ぎりぎりまで考えて出来る限り最善の手を指すのが佐藤棋王の特徴の1つだと思ったんですが、かなりこの件を気にしていたのが、秒読みの時に「9」まで読まれることは一度もなかったと思います。
それが結果にどの程度影響したかとかは分かりませんが、佐藤棋王の”ショック”を感じました。
7時間近く対局者のそばから将棋をみるのは始めての機会で、いろいろ感じたことなどあるので、時間があったら、マイナビみたいのときみたいに書きたいと思いますが、そんな時間があるかどうか。

観戦記 2話(朝日杯Web観戦記・マイナビ自戦記)

2008-02-03 11:43:49 | Weblog
自分の観戦記の考え方はここで
渡辺竜王の著書「頭脳勝負」の中にある自戦記も個人的には、けっこう面白かったんですが、人によっては物足りない人も多いんでしょう。
人によって求めてるものは違うし、自分とは逆に解説が多いほうがという人も多いだろうから難しいんでしょうが。

(1)朝日杯Web観戦記
朝日杯のプロアマ一斉対局の一部の対局と本戦の対局の観戦記がここに週1ペースで更新されてます。
朝日杯の場合は、中継記者さんが、中継した対局の観戦記も書くというパターンみたいです。中継記者の方にもいろいろ特徴があると思いますが、その特徴がそのまま観戦記でも出てるような気がします。
ここまで10局ちょっと掲載されてる中で、個人的に一番面白かったのは、この観戦記でしょうか。
「対局室の熱気が…」ということは、その場にいなければ分からない感覚なんでしょうね。
来週は、いろいろあった郷田-佐藤戦のようなので、楽しみにしています。

(2)マイナビ杯1回戦自戦記
週間将棋に連載されている1回戦の自戦記。自戦記を書いてるのは、上田初段、貞升1級、村田初段&鈴木初段(ダブル自戦記)、中村真初段、船戸二段、早水二段。
早水二段の自戦記はまだ読んでませんが、面白かったのは、貞升1級と船戸二段の自戦記。
貞升1級は、指導対局のときに何度か話したことがありますが、「勝負」にかなりこだわっていたのに、ギャップを感じましたが、対局中の心理がよく伝わってきて面白かったです。船戸二段のは「らしい」表現の多い自戦記でしたが、やはり対局中の心理が伝わってきたし読みやすかったです。
マイナビではこの後、笠井アマ、片上五段が観戦記者デビューするらしいので、楽しみにしています。

ところで、船戸二段のブログに
>いまって、上位者が駒かたす、って教えない・・・?の?
ということが書いてありましたが、将棋の礼儀教えるのにこれってけっこう使えるような気がしますが。どうなんでしょう。


最初は、単なるメイド企画と思ってたんですが、予想以上に将棋の企画としていいものになってるんじゃないでしょうか。この話は、最終回(今週が最終回じゃなかったのね)見てから書くかもしれません