独り言雑記ブログ

将棋関係の一人言雑記帳

第33期棋王戦五番勝負第1局(3)

2008-02-18 20:18:57 | Weblog
開始日時:2008/02/13 9:00
終了日時:2008/02/13 20:25
棋戦:第33期棋王戦五番勝負 第1局
戦型:一手損角換わり
持ち時間:各4時間
消費時間:▲3時間59分△3時間59分
場所:京都府京都市「グランドプリンスホテル京都」
先手:羽生善治 二冠
後手:佐藤康光 棋王

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △8八角成
▲同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀 ▲1六歩 △1四歩
▲3六歩 △5二金 ▲7七銀 △6二銀 ▲6八玉 △6四歩
▲3七銀 △4四歩 ▲4六銀 △4三金右 ▲3五歩 △4五歩
▲同 銀 △3五歩 ▲4六歩 △4二玉 ▲5八金右 △5四歩
▲5六銀 △5三銀 ▲7九玉 △3一玉 ▲3七桂 △4四歩
▲4七銀 △3四金 ▲2六飛 △9四歩 ▲4五歩 △同 歩
▲1五歩 △同 歩 ▲7一角 △5二飛 ▲4六歩 △4二銀右
▲4五桂 △7二飛 ▲5三角成 △同 銀 ▲同桂成 △7四歩
▲4五歩 △3七角 ▲2九飛 △7五歩 ▲同 歩 △9三桂
▲4六銀打 △7三飛 ▲3七銀 △5三飛 ▲4六銀右 △7六歩
▲同 銀 △8四桂 ▲6五銀 △2二玉 ▲6四銀 △4三飛
▲5二角 △4二銀 ▲4三角成 △同 金 ▲4四歩 △同金寄
▲2四歩 △同 歩 ▲2五歩 △同 歩 ▲1二歩 △同 香
▲1三歩 △同 桂 ▲1四歩 △3三角 ▲1五香 △同 角
▲1三歩成 △同 香 ▲2五飛 △2三歩 ▲1四歩 △同 香
▲2六桂 △1三歩 ▲4五歩 △7六香 ▲8八玉 △3四金寄
▲同 桂 △同 金 ▲2一飛 △同 玉 ▲2三飛成 △2二角
▲4四歩 △3二飛 ▲1二金 △3一玉 ▲2二金 △同 飛
▲3四龍 △3三銀 ▲2三歩 △3四銀 ▲2二歩成 △同 玉
▲4一角 △3二桂 ▲9六歩 △2九飛 ▲6八金寄 △4二金
▲7四角成 △3三角 ▲5六馬 △4五歩 ▲同 銀 △4四桂
132手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分


歩頭の馬

▲5五馬 △同 歩 ▲3四銀 △8五桂 ▲2三歩 △同飛成
▲3一銀 △1二玉 ▲2三銀不成△同 玉 ▲2六飛 △2四歩
▲4二銀不成△同 角 ▲6三飛 △3三銀 ▲4三飛成
149手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分

 この局面、局後の公開感想戦で、佐藤棋王は「なんかうまくいったかなと思った」と語っていた。直前の△4五歩▲同銀△4四桂が好手順。「(打った)桂馬をすぐに使うのは凄いなと思った」と解説の谷川九段も感心。しかし、「それを上回る手」(谷川九段)が羽生二冠に飛び出す。

 ▲5五馬(!)。けして力強く打ちつけたような手つきではなかったが、これが歩の頭に馬を出る妙手。
「▲5五馬をちょっとうっかりしました」という佐藤棋王に対して、谷川九段も「それはうっかりするでしょう、普通」と呼応。「これで分からなくなっちゃいましたね」というのは、やはり局後の公開感想戦での佐藤のコメント。

 143手目▲2六飛。少し前の局面について問われた羽生二冠は「正確にやればですけど…」とこのあたりではまだ勝ちを確信していなかったようだ。このあたりは、飛車を受けにも利かせて「このあたりは少しずつ羽生さんのほうが厚いような」(谷川九段)。飛車を打たれて、「これでどうも困ったですかね」と佐藤二冠。ここでは、△2五歩と先手を取りたいとこだが、その瞬間▲2一飛と打たれて困る。ここからは、少し後手が足りないようだ。

 とはいえ、1分将棋。両対局者からも勝負が決したような雰囲気はまったくない。佐藤棋王は145手目▲4二銀不成に力強く△同角と応じる。それに対して羽生二冠の指し手は▲6三飛。佐藤棋王は、△3三銀と銀を打ち、天を仰いだ。

佐藤棋王、羽生二冠、谷川九段のコメントはいずれも公開感想戦でのもの

大熱戦

△3四銀打 ▲4二龍 △同 銀 ▲4一角 △3二角 ▲8五角成
△2五歩 ▲5二馬 △3三銀 ▲2五飛 △同 銀 ▲同 馬
△2四歩 ▲3五馬 △3四歩 ▲4五馬 △2五飛 ▲3五歩
△1七香成 ▲1五歩 △7七歩
170手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分

△3四銀の局面。時刻はいつの間にか20時をすぎていた。手数もこれが150手目。150手を超え、棋譜用紙は2枚目に突入した。羽生二冠・佐藤棋王両者のタイトル戦で「2枚目」に突入したのは、昨年の王将戦第5局以来。矢倉・先手森下システムから相入玉模様の将棋になり、最後は佐藤棋聖(当時)が羽生王将の玉を寄せきった将棋。本局も、その将棋に勝るとも劣らない熱戦だ。

依然として、両者の指し手は50~56秒での着手がほとんどだ。60秒いっぱいを使っての指し手が続いており、ノータイムの手はほとんどない。局後の公開感想戦でのやり取りからすると、この局面は既に先手が優勢だったようだ。しかし、対局者の表情からは盤面の優劣を伺うことはできなかった。
 羽生二冠は、必死に盤面を見渡し読んでいる。一方の佐藤二冠も頬をひくひくさせている。両者1分将棋になってから、1時間から1時間半はたっただろう。かなりの時間が経過したが、両者の様子にはまったく変化がない。公開対局場で対局を観戦しているファンの数ももちろん減る気配はない。

 △7七歩で手数はついに170手。今まで時間いっぱい使っていた両者の指して手がここから少しずつ早くなる。大熱戦もいよいよ終わりが見えてきたか。

羽生二冠 先勝

▲4二銀 △7八歩成 ▲同金上 △同香成 ▲同 金 △2二金
▲3三銀不成△同 金 ▲4二銀 △2二銀 ▲3八香 △7七歩
▲3三銀成 △同 銀 ▲3四馬 △同 銀 ▲3三金
まで187手で先手の勝ち

 佐藤棋王は175手目▲7八同金に取ったばかりの金を△2二金と受けに使う。▲3三銀不成に△同金。

ここで、少し対局場がざわめいた。▲4二銀△2二銀に▲3三銀不成△同銀…となれば千日手コース。
ここにきて「千日手か?」ということだ。局面は、羽生二冠が優勢。もちろん金銀を入れ替えるためのテクニック。千日手にはせず、△2二銀には▲3八香。
局後のインタビューで「勝利を確信したのは?」という質問に羽生二冠は、「▲3八香打って、それが詰めろなので、やっとはっきりしたと思ったんですけど、最後までよく分からなかったですね」と答えているが、読みきっていたのだろう。ほとんど時間を使わずに▲3八香と打ちつけた。

 佐藤棋王は、187手目▲3三金を見て、「んー」と小さな声を出した。記録係の秒読みの声が対局場に響く中、佐藤は姿勢を正し、一呼吸いれてから、「負けました」とはっきりとした声で投了を告げた。
公開対局で行なわれた第1局は、両者1分将棋が延々と続いたまさに大熱戦。手数は187手。終局時間は、20時25分。千日手指し直しなどを除けば、棋王戦史上、もっとも遅い終局時間だそうだ。
これで羽生二冠が五番勝負を先勝。棋王奪取・三冠復帰に大きな1勝をあげた。

最新の画像もっと見る