独り言雑記ブログ

将棋関係の一人言雑記帳

第33期棋王戦五番勝負第1局(2)

2008-02-19 21:57:55 | Weblog
開始日時:2008/02/13 9:00
終了日時:2008/02/13 20:25
棋戦:第33期棋王戦五番勝負 第1局
戦型:一手損角換わり
持ち時間:各4時間
消費時間:▲3時間59分△3時間59分
場所:京都府京都市「グランドプリンスホテル京都」
先手:羽生善治 二冠
後手:佐藤康光 棋王

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △8八角成
▲同 銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀 ▲1六歩 △1四歩
▲3六歩 △5二金 ▲7七銀 △6二銀 ▲6八玉 △6四歩
▲3七銀 △4四歩 ▲4六銀 △4三金右 ▲3五歩 △4五歩
▲同 銀 △3五歩 ▲4六歩 △4二玉 ▲5八金右 △5四歩
▲5六銀 △5三銀 ▲7九玉 △3一玉 ▲3七桂 △4四歩
▲4七銀 △3四金 ▲2六飛 △9四歩 ▲4五歩 △同 歩
▲1五歩 △同 歩 ▲7一角 △5二飛 ▲4六歩 △4二銀右
▲4五桂 △7二飛 ▲5三角成 △同 銀 ▲同桂成 △7四歩
▲4五歩 △3七角 ▲2九飛 △7五歩 ▲同 歩 △9三桂
▲4六銀打 △7三飛 ▲3七銀 △5三飛 ▲4六銀右 △7六歩
▲同 銀 △8四桂 ▲6五銀 △2二玉 ▲6四銀 △4三飛
▲5二角
73手目まで 残り時間は▲羽生二冠23分△佐藤棋王11分

秒読み
 対局開始から9時間・18時を過ぎた。
 ▲5二角に考慮中、佐藤棋王の残り時間は10分を切った。記録係の「秒読みはどうしますか?」の声に、最初は「50秒」と答えた佐藤棋王だったが、「残り9分です」の声に、今度は「普通に読んでください」。
 記録係の無機質な声が対局場に響く。残り6分まで考えて△4二銀右。このタイミングで、大盤解説会を覗くと、谷川九段が「佐藤さんの時間の使い方がおかしいですね」と解説していた。
佐藤棋王は、席を立つ時に何度か咳き込んだが、激しく咳き込むことはない。「情熱大陸」での佐藤棋王の話や朝日杯での局後の行方八段のインタビューから考えると、公開対局というのもあって、いつものように超集中モードとはいかないようだ。
 佐藤棋王の残り時間は、どんどん少なくなり、82手目△2五同歩で残り3分。△2五同歩に考慮中、羽生二冠は1点に集中しているようで、相変わらず動きはほとんどない。ここで羽生二冠も残り時間は10分を切った。記録係の「秒読みは?」という問いに羽生二冠は「5分から」。残り5分まで考えた羽生二冠は、記録係の「残り5分です。30秒」の声を聞いて▲1二歩。時間の使い方だけを見れば、読みきったようにも見える。
 羽生二冠は、1分使って▲1五香。この手をみた佐藤棋王は「いやー」と声を出して、頭に手をやった。佐藤棋王は、ここで最後の1分を使って、△1五同角。佐藤棋王は、ここからは1分将棋になった。

△4二銀 ▲4三角成 △同 金 ▲4四歩 △同金寄 ▲2四歩
△同 歩 ▲2五歩 △同 歩 ▲1二歩 △同 香 ▲1三歩
△同 桂 ▲1四歩 △3三角 ▲1五香 △同 角
90手目まで 残り時間は▲羽生二冠4分△佐藤棋王1分

逆王手
 対局終了後には、両対局者と谷川九段の3人で大盤解説場で公開感想戦が行なわれた。端を連打して決まったようにも見えたが、「桂馬で取って意外と粘りがありましたね」とは、局後の公開感想戦での谷川九段の感想。
羽生二冠は、さきほどまで1点集中といった感じだったが、今度は盤面全体を見回すようにして考える。残り2分まで考えて95手目▲1四歩。指した後、羽生二冠は何か一言つぶやいた。△1四同香には、今度はそっと置くようにして、▲2六桂と打った。
 102手目△3四金寄に対して、谷川九段は「角を取るような順かなと思いましたが」という指摘に対して、「そっちかもしれませんね」と羽生二冠は答えていたが、最後の1分を使って指されたのは▲3四同桂。羽生二冠は、何度か小さくうなずいた。
羽生二冠は、▲2三飛成と指したあと、3回ほどちょんちょんと竜を触る。▲2三飛成で部分的には詰みだが、△7六香▲8八玉の交換があったために、佐藤棋王が首をひねりながら打った△2二角が逆王手になっている。「逆手王手を食らっても大丈夫という読みは凄い」とは、公開感想戦での谷川九段のコメントだ。
「飛車を打つんでは負けのような気がしたんですが」といいながらでも、佐藤棋王は、高い駒音で△3二飛と打った。
 時刻は19時を過ぎ、両者既に1分将棋に入っている。「遅くなると午後7時を回るかも(1)と言われた本局。この熱戦は、まだまだ続くことになる。

(1)週間将棋

▲1三歩成 △同 香 ▲2五飛 △2三歩 ▲1四歩 △同 香
▲2六桂 △1三歩 ▲4五歩 △7六香 ▲8八玉 △3四金寄
▲同 桂 △同 金 ▲2一飛 △同 玉 ▲2三飛成 △2二角
▲4四歩 △3二飛
110手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分

1分将棋
「飛車打たれて大変なんですね」とは局後の羽生二冠のコメント。「1五の角がなにかのときにこっち(先手玉)が詰む筋があって、けっこう利いているんですよね。本譜でしょうがないですかね」(羽生二冠)ということで、羽生二冠は▲1二金と打った。△2二飛に羽生二冠は「9」まで読まれてスッと▲3四龍と引く。
 既に両者1分将棋。まだまだ難解な将棋だ。両対局者ともに時間いっぱいまで考えての指し手が続く。その中で、羽生二冠は、ときどき「9」を読まれることはあるが、一方の佐藤棋王は、52~56秒での指し手がほとんど。この後も含めて、佐藤棋王が「9」を読まれたことはなく、「8」まで読まれたのも数えるほど。佐藤棋王といえば、時間ぎりぎりまで考えて、出来る限りいい手を指すというイメージがあったが、昨年末に行なわれた朝日杯(郷田九段戦)での“時間切れ疑惑”を気にしてのことだろう。
 121手目▲4一角。佐藤棋王はここで、「ひょっとしたら面白い順が出てきたと思った」ようだが、△3一金は▲5二角成で「ここで寄せきる自信がなかったんで」(佐藤棋王)。△4二金も▲8二飛で先手がよさそうというこで、本譜は△3二桂。ここで「攻める手がないんで」(羽生二冠)と首をひねりながら▲9六歩。しかし、これが羽生二冠らしい手渡し。一分将棋で手を渡されて、佐藤棋王は「どうするのが正解なんでしょうね」。実戦は△2九飛と高い駒音で飛車を打ちつけた。
 佐藤棋王は130手目△4五歩を指して頭に手をやるが、▲同銀に△4四桂と跳ねた局面で「なんか勝ちになったような気がした(2)。しかし、ここで羽生二冠の妙手が出る。

(2)週間将棋

▲1二金 △3一玉 ▲2二金 △同 飛 ▲3四龍 △3三銀
▲2三歩 △3四銀 ▲2二歩成 △同 玉 ▲4一角 △3二桂
▲9六歩 △2九飛 ▲6八金寄 △4二金 ▲7四角成 △3三角
▲5六馬 △4五歩 ▲同 銀 △4四桂
132手目まで 残り時間は▲羽生二冠1分△佐藤棋王1分