一人シニアの漫遊記

国内外のトレッキング紀行と家庭菜園、ダンス等徒然なるままに

山紀行(欧州 ピレネー、ドロミテ、チロル その3-2(ドロミテ ブレンタ山群2/2 2013.6.27~7.1)

2014-09-15 17:18:07 | 山紀行(海外:ヨーロッパ)

6月27日:今日はRifugio Brenteiへ向かいます。 途中、Stefano氏が天候が崩れ始めており、明日はBad Weatherな状況となる。 天気次第でルート選択を相談しようとのことでした。
 
Brenta Alta(2962m)が顔を覗かせてきました。 気持ち良い雪渓を順調に登高しています。 雪渓を越えると岩稜帯に入りました。
 
いろいろな形の山々が姿を現してきます。 右はマッターホルンに似た山並みです。
 
氷河が流れ落ちているように見えますが20年前に消失したようです。 それにしても絶景です。

こんなK2でのネームレスタワーのようなタワーもありました。 ロッククライマーにはこたえれれないでしょうね。
 
ようやく、次のRifugio Brentei近くになりました。 Stefano氏は左の写真の一番高く見える山(Cima Crozzon di Brenta 3135m)の右手の雪渓を明日、登ると言っていました。 お前はどう思うと聞くので、勿論、面白そうだしチャレンジしたいと答えました。 順調なら明日の雪渓登攀とそれに続く向こう側のFerrataが今回の核心部となります。
 
6月28日:前夜からの降雪で一面、真っ白です。 朝、Stefano氏は、「結論は簡単だ。 今朝、向こうの山小屋の同僚に電話で確認したところ、降雪量が多く無理とのこと。 残念だが1日、待機し明日、予定ルートでなくショートカットしてRifugio Pedrotiへ向かうことする」、とのこと。 残念! この夕食、山小屋のご好意で私達に特別な料理を作ってくれるとか。 これが、とても食べられない量でしたが、台所から気の良いコックさんがしきりにわれわれの様子をニコニコしながら覗くので、親指を立て美味いとの合図を送ることに(親指と人差し指で丸を書くのは海外ではタブーです。 念のため)。 ご好意に応えるべく何とか完食しました。 それにしても、スペイン、イタリアの山小屋の全てが、それぞれの工夫を凝らして食事を用意していただきました。 ホテルよりよほど良質なのに驚きました。 その理由は、勿論、お客様に如何に満足いただくかを常に考えていることにもよりますが、山小屋にはすべて麓から荷揚げ用のロープウェイが設備されていました。 山奥でも同じです。 このような工夫は日本の山小屋には皆無ですね。

6月29日:今日は昨日までの天気から一変し快晴。 左写真の左からCima Margherita(2839m)、Cima Tosa(3136m)とCrozzon Di Brenta(3135m)のBrenta山群主峰です。 予定ルートでなんとかと希望しましたが、1日の停滞を取り戻すのは困難なことと降雪が多いことからCima Margheritaの左サイドの雪渓を登りRifugio Pedrotiへ出るショートカットコースを行くこととなりました。
 
Cima Margheritaを目指してひたすら歩きます。

いよいよ、雪渓に入り途端に歩きにくくなりましたが、寒さは感じません。

こんなタワーも顔を覗かせて疲れが癒されます。 これから登る急登の雪渓が迫ってきました。
 
雪渓も急となりいよいよザイルで3人をつなぎました。 勿論Stefano氏がトップ、次が家内でラストが私です。

急斜度の雪渓を12本歯のアイゼンで確実に登攀していましたが、家内のアイゼンが緩んできました。 後ろの私は気が気でないのですが、この急傾斜で付け直しはもっと危険。 なんとか外れないことを祈って後ろから注意深く監視しました。 後でStefano氏から、直ぐにアラームを上げなくてはいけない。 今後は必ずそうするようにとのキツイ注意をいただきました。 レッドカードですね。 雪国育ちの私はこの程度なら大丈夫と思ったのですが、アクシデントは存外、こんな状況で起こるのでしょうね。 注意!!!!!!

行けども行けどもなかなかコルに着かないと思っていると、突然、犬が姿を現し次いで若い女性がアイゼンもつけずにスノーシューズでスタスタと降りてきました。 天から天女が舞降りてきたのかと思いましたが、聞くとイタリアのスキーチャンピオンだとか。 こんなところを散歩代わりにしているんですね。 右写真でコルに無事、到着し緊張が解けてホットしている様子がお分かりでしょうか。 只、ここから山小屋に向けた急斜面の下降を私がトップで降りなければなりません。
 
この先は私がトップでStefano氏がラストになります。 先ほどのチャンピオンがつけてくれたルートに沿って慎重に降りましたが、スキーで滑ったシュプールもありました。
 
ようやく、Rifugio Pedrotiへ到着。 ホットしました。 それにしてもきれいで清潔な山小屋です。 素晴らしいですね。 ここでの暖かいコーヒーは美味かった。 Stefano氏は何時ものようにビールを飲んでいました。 トレッキング中はほとんど水を飲まず、山小屋につけばワインとビールが水代わり。 私達が頻繁に水を飲むので、あきれた顔をしていました。 この山小屋で小休止後、今夜の山小屋に向けて出発です。 でも、このRifugio Pedrotiはとても清潔、オーナー達も親切でここに泊まりたいなと思う程でした。

Rifugio Pedrotiに別れ大きな岩山を巻くように雪原地帯を進みます。 ここでも、突然に片足がすっぽりはまることが多々ありStefeno氏を悩ませていました。
 
残雪の上を歩くのは、踏み抜いたりでなかなか困難です。 こんな岩と残雪の間をぬうこともあります。

もくもくと歩を進めています。
 

16:45、ようやくRifugio Agostiniへ到着しました。 右写真の稜線の右サイドのコルを越え、斜面に沿った長い雪道を歩いてきました。 明日朝、このルートを戻るとかでStefano氏はきちんとステップを刻んでいました。 明朝は凍結するので、時間がかかってもやっておく必要があると言っていました。 流石、ベテランガイドです。 
雪道を一日歩いたことから、家内の登山靴が中までビッショリ。 今回のためにScarpaを新調したのですが、、、、。 私のLa Sportivaは5年近く履いていますが、何ともない。 幸い、山小屋に乾燥室があり、そのうえ山小屋の方が食堂のストーブの下に一晩、置かせてくれ翌朝には乾き事なきをえましたが、一流品のScarpaと言えどもやはりスエードはいけませんね。 その後、家内の下りでのテンポが格段に落ちました。 屋久島で同じようなケースがあり(登山靴はキャラバン製)、その後、膝の痛みで半年、スポーツ外科に通う事態になり、この再発を懸念したようです。 それにしても、長い1日でした。 後日談ですが、Scarpaに漏水のチェックをしてもらったところ、やはり漏水するとのことで交換してもらいました。
 
6月30日:この日は朝から快晴で山小屋の近くに氷河があり、そこでスキーをする人が朝早くからスキーを担いで出かけていました。 氷河は固いバーンになっているとのことで、1年中、滑れるとのこと。 この日は、前日来た路を三分の一ほど、引き返す予定でしたがStefano氏の意向で地元の人しか入らないコースで行くことにしました。 下はドロミテ特有の朝焼けの色“ドロマイト”に彩られた岩壁です。

山小屋からは遠くCortina Dolomitiが望めました。 さあ、快晴の中で出発です。
 

快晴の中、昨日、越えて来たコルを目指して凍結した雪道を戻ります。
 
 
全く踏み跡がない地元の人しか入っていないルートに降ります。 Stefano氏も私達に待つように指示し、しばらく慎重にルートを探った後に下降を開始しました。
 
コルを越えてから全く踏み跡の無い沢へ降りて行きました。 途中から右手に大岩壁が見えてきました。 1000m以上はあります。

大岩壁に沿って歩いているShamois(シャモア)の家族です。 この辺りになると暖かく残雪も無くなりStefano氏も少し緊張が解けてきたようです。
 
いよいよ、下山するLago di Molvenoが見えてきました。 いよいよ最終章です。 こんな場面でエーデルワイズの群生を見つけました。 Stefano氏もそうだと言ってくれました。 地元の人しか入っていないとかで未だ、自然が残っているのですね。 ラッキー!!!!
 

気持ちの良いトレールです。 Brenta山群も段々、遠くなります。
 

Rifugio Selvata近くでワイヤーでの岩場がありましたが、なんてことない。 15時に山小屋に到着しました。
 
7月1日:いよいよ最終日です。 朝、山小屋のオーナーが高山植物の穴場をそっと教えてくれました。 珍しいオーキットの一種のScrapetta Della Madonnaです。 その後、8時に出発です。 この日はなんてことない路ですが、断崖に沿って歩いていることからStefano氏から、足を滑らせれば1000mは滑落するので、気を緩めないようにとの注意喚起がありました。
 
最後の最後まで難所がありましたが、それほどの怖さはもうありません。 右下の大岩壁は1300mあるとのこと。 Stefano氏はこの2日後にこの岩壁を登るとか。 その後、1日おいてトレチーメの岩壁でのロッククライミングのガイドをするとのこと。 流石、タフです。

 
こんなきれいな花を咲かせている木がありました。 里ももう少しです。
 
歩き始めて2時間半の10:30に登山口に出ました。 二人のどこかホットした表情がお分かりいただけますでしょうか。 この後、Lago di Molvenoに出てバスでMezzocoronaの一つ手前の駅まで行き、そこから電車でClesへ戻りました。
 

その3-3でDolomiti Brenta Trekで見かけた高山植物を特集します。 これもお楽しみに。



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