読書の森

松本清張と林芙美子 最終章



40代で突然亡くなった林芙美子、心臓を酷使したと言う。
一方80代で大往生を遂げた松本清張である。
両者は死ぬ直前まで書き続けた。

最初は生活の為に書いた小説、いつしか書く為の生活に変わったのだ。



貧しく、虐げられた生活の中で、傷ついた魂は途轍もない力を発揮する事がある。

松本清張の『砂の城』の主人公が過去を隠す為に殺人をする。
この暗い情念の展開は、なみなみでない。

林芙美子の『浮雲』のヒロインの死はまさに芙美子自身の死の光景と繋がる。
冷静に彼女は自分の身体の不調を見抜いていたのだと思う。

この二人の作家が交わる事はあり得なかった。
あまりにも異なる作風であるから。

ただ、なぜか私には生まれたばかりの芙美子が遊ぶ海近くの町で、暗い目をした松本清張が暮らしていた気がしてならない。

小倉は、門司は、どんな町だろう?
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