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読書の森

三浦展『下流社会』

古本屋さんで購入した『下流社会』、最近の世情について書かれたもの、と早合点していたましたが、確認すると2005年に発行した本です。
著者、三浦展は1958年生まれ、マーケティング関係に詳しい識者です。

ここで言う「下流社会」とは当時の若者で、人生への意欲が少なく、学び働く意欲に乏しく、結果的に収入が平均以下の層をさしてます。親に経済的余裕がある若者も含むので一概に貧乏な若者を指している訳ではありません。

で、ここで言う若者層は、団塊ジュニア、及び新人類世代を指してます。

統計やインタビューを通して、言わば当時の意欲の無い若者層の実態を明らかにしようとした本ですね。
「こうあらねばならぬ」とかの主張は一切されてません。

本の書かれた21世紀の初め、団塊世代の成功者は、会社経営者、大学教授、政治家、つまり指導者層がダントツでした。

私なりに内容解釈しますと、

戦後間もない時代は一億総「貧乏」でしたから、伸びしろがいっぱいあった。一億総上昇指向の時代と言っても良い。
この時期成長した団塊世代は横並びで、努力すれば中流になれた訳(1960年代位まで)。
又、今は貧乏でも将来の希望がありお見合いが普及していた為に結婚するのが当たり前の時代だった。
一方、団塊ジュニア世代(1970年代〜1980年代生まれ)となると、打って変わって豊かで便利な時代、努力しなくても充分飢えずには済む。そこに不況が舞い込む、不況でも飢えない、という事で努力の必要がない為、上昇指向者が限定されて、結果格差が広がる。
又、核家族化が進み将来的な経済不安が増すと結婚しない若者が増加した。

という事です。実際統計をとっても、若者の所得格差は団塊世代に比べてかなり広がってます。

何も汗水垂らして働かなくても、「自分らしく生きたい」という若者(その頃の10代〜30代)が増えてるのです。
さらに所得格差が出ると、未婚者が極端に増加してきます。
又女子の間に上流階級男性(エリート)との「お嫁指向」が見えてます。

1946年生まれの自分には想像つかないです。
婆に限らず「平等主義」「理想主義」を良しとされた世代にとって、ちょっと理解出来ない感じ、言わば「勝ち組、負け組」の時代なんですね。

と言ってもこの時代の若者は、出世の為か上司に逆らわず、従順かつ自己主張しない人が圧倒的に多いと感じます。
一体に抑えたトーンで発言してるみたい。


実は、これは17年前の若者で、バブル崩壊はあっても、東日本大震災もコロナもウクライナの戦乱も貧乏も殆ど知らない人たちです。

今、いくつの世代かと言えば、30代40代50代、そう今の社会の現役、社会を支える大事な世代なのです。

これは非常に問題だと私は思います。働く意欲の無いニートも所得の不足で心ならずも独身という人と、高学歴高収入のエリート層の格差が甚だしい、言わば「格差の著しい広がり」という問題を抱えてるのが、今の日本だと思います。

もはや親を頼って生きてはいけない。そうかと言って、意欲減退のままでは非常に生きにくい時代となってしまったのです。
「下流社会」という言葉がかなり残酷に聴こえてきます。

ここに大きな社会のひずみが出てきてるのかな、と団塊婆さんは思うのです。

なんて若い人のことなんて言っておれません。厚生年金こそ貰っておりますが独身で低年金、頼みの持ち家も失って、高齢者の貧困が我が問題であります。

どうしましょう!

という話とは全く別に、若者にお薦めの文学コーナーを設けた本屋さの写真。

今も昔も傾向は変わって無いのです。ただ文学好きの若者はグンと減ってしまいましたがね。

頑張っても頑張っても痛めつけられる時代ですが、心のお薬に読書は効くと思います、、。

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