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読書の森

夏目漱石 『夢十夜」

無情の雨の七夕でございます。
牽牛と織姫の一年に一度の逢瀬、雨で天の川が煙る時は鵲に乗って会いに行くと言いますが。

「別るるや 夢一筋の 天の川」
七夕に因んだ夏目漱石の句です。
綺麗ですね。
これを読むと、「漱石さんはホントにロマンチストなんだなぁ」という感じます。
と同時に「ペシミストなんだ」とも不遜な思いが湧くのです。



『夢十夜』を読むと漱石の想像力の豊かさ、辻褄の合わない夢の世界を見事に美しい物語にする「作家力(という言葉があればの話ですが)」に感心してしまいます。

描かれた江戸末期から明治に残る日本の情景が不思議な郷愁を誘う物語です。

ただ、一貫しているのが過去の何者かから逃れようとしている姿です。
非常に才能が有りかつ努力家の漱石ですが、背負う荷物が過重(具体的には家族を養う事のみならず養父母の借金で苦しんでいた)で、小説を書いてそこから逃れていた感があります。

『坊っちゃん』『吾輩は猫である』を読むとユーモアのセンスがあり、慕う弟子が絶えなかったのに、寂しい印象が有るのはそこからでしょうか?



独断と偏見に満ちた作家評はここまでにします。

小説は純粋にその小説の世界を楽しむのが本道ですよね。

七夕の夜、現実には見る事の出来ない、満天の星空で繰り広げられる壮大なランデブーの夢でも観たいな、と思ってます

コメント一覧

airport_201
@atelier-kawasemi そうですよね。突然良いアイデアが閃いても、放っておくと「何だったっけ」という事になってしまう。その度メモしといても後で読むくだらなく思えてしまいます。
創作はアイデアが湧いて直ぐに集中力出して浸り切って出来る様ですよ。
(高名な作家の言から)。
コツコツする勉強とは違うみたいです。
atelier-kawasemi
こんばんは(*^_^*)

私も夢十夜が好きです。
中学の頃に教科書で習いました。

第六夜だったか、仏師が木の中から
仏像を掘りだすシーンが印象的でした。
創作というのは、どこかそういう部分があるような
気がします(=゚ω゚)ノ

たまにビックリするようなアイデアが湧くのですが
連打にならず💦
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