読書の森

再びの道 その7



男は遠山和人と言い、透の幼馴染である。
次男の彼は、両親と不和だった。
両親から離れる為に大阪で働きながら大学に通っていた。

神戸市須磨区のアパートで一人暮らしをしていた。
「そこへ木下君が訪ねて来たのです」

実は和人と靖子は同じ様な境遇にあった。
靖子も不和な両親から離れ、自活していたのだ。



意地っ張りの靖子の気持ちをほぐすにはどうしたらいいか。
透は気の置けない和人に打ち明け、相談をする為に神戸に行ったのだ。

「そんな!それで透はどうしたんですか?」
「亡くなりました。二階建てのアパートの一階だったのですが、彼はグッスリ眠り込んでいたのです。逃げ遅れて建物の下敷きになったのです」

靖子は、目の前の男が何故それを直ぐに伝えなかったのか、分からない。
驚くことも泣くことも怒ることも忘れ、ただじっと目を見つめた。

男が嘘を言っているなら、分かるから。

読んでいただき心から感謝します。 宜しければポツンと押して下さいませ❣️

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