災害とは人の心に狂気をもたらす。
普段は穏やかに振舞っている透も例に漏れない。
彼は公に出来ない不始末をして姿を消したのか。
どちらにしても、透は神戸のどこで被災したのか?
何故神戸に行こうとしたのか。
靖子は透の友人を探し、思い出話を聞く事にした。
その内の誰かが、事情を知っているかも知れない。
はかばかしい結果は得られなかった。
と言うのは、いわゆる秀才の友人は透の本質を知らなかった。
透は率直に友人と歓談はするが、肝心な事は黙っている男だった。
透の過去は、真っ白な豆腐の様につるりとして掴めない。
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