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読書の森

オスカーワイルド『幸福な王子』

オスカーワイルドは19世紀の著名な文学者です。
戯曲『サロメ』で知られるように非常に耽美的な作品で未だファンが絶えません。

ただし、この『幸福な王子』は著者の繊細無垢な面が発揮された作品で、登場人物の殆どが子供です。献身的な愛情、優しさに溢れた短編メルヘン集です。
子供の頃、世界童話全集の何処かで読んで感動した事を覚えてます。

表題の『幸福な王子』は街のシンボル。
本物の金箔の身体、澄んだ本物のサファイアの目、本物のルビーの飾りがついた剣を纏って、いかにも美々しく立派でした。
街の人々は広場の中央に立つ王子をとても誇りに思ってました。
ところが、王子の心はもてはやされても全然嬉しくない、何故なら眼下に見渡す街の下層階級の人々の暮らしはいかにも貧しく哀れなだからです。そして、、、。

王子は自分の身につけた金箔宝石を救済の為に役立てたいと思った。
その結果、普通の人の目には何もつけて無い貧しい銅像と見えます。少しも綺麗じゃない。中身に関わりなくですね。

王子の無私の心は一般の人には届かず、全てを失った彼の銅像は粗大ゴミとして処分されたのでした。

童話とすると、かなりシビアな現実を著者はこの作品集でさりげなく露わにしています。

私的には、この中の『王女の誕生日』に一番ハッとする真実を感じました。

それは高貴で美しい12歳の王女様、気難しい彼女のお気に入りは喜劇子役のせむしの「こびと」でした。彼が出ると真実喜んで手を叩くのです。「こびと」は本気で王女様に幼い思慕を抱きます。
実は貧しい生まれの彼は自分の姿を鏡で写した事が無かったのです(昔のヨーロッパだから)。きっと王女は自分に好意を持っているんだろうと。そして王女と一緒に生まれ故郷の森で遊ぼうと夢見ます。
「何て醜い。あれだけ醜くければそれも見事だ」とお上品な人に陰口をきかれてる事など無邪気な彼は全然気がつかない。

その彼が真実の鏡を見た時、哀しい運命が待っていました、、。


ウクライナの戦乱が始まり、小麦粉の流通が停止した時、2キロ程小麦粉とホットケーキミックスを購入しました。

でも小麦粉は賞味期限がある。と言うより作りたてのケーキが食べたくて我慢出来ずに作ったパンケーキ擬きです。
きな粉とミルクと砂糖入りです。きな粉を入れると風味が出て美味しいです。

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