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愛知と岐阜と弁理士と。あいぎ特許事務所の所長ブログ
岐阜県に住み続け、名古屋市で特許事務所を経営する、地元大好き弁理士。愛知県+岐阜県で『あいぎ』、地域密着の想いを込めて!




特許庁HPにおいて、「出願の手続」(平成25年度版)を掲載した旨のお知らせがありました。

「出願の手続」は手続面(方式面)のことがとても詳細に記載されていますので、所内でもよく参照されています。

ところが、「出願の手続」は年度毎に新規に編集する建前のため、審査基準等のように更新個所が明確ではありません。

うーん、実際のところ、出願・審査のところではさほど変更はないような気がしていたので、どこが変更になったのかすぐには分らず…。

ということで、特許庁の方式審査課に問合せをさせていただきました。
問合せからさほど時間をおくことなく迅速に返答いただきましたので、「おっ、やるね、特許庁!」と思いつつ、同じ疑問を持たれている方もいらっしゃると思いますので、ここに掲載しておきますね。
(回答内容を踏まえ、追加根拠等を加筆)

(1)第二章 特許出願の手続
『第十七節 手数料の軽減又は免除』
に、
『III  研究開発型中小企業に対する軽減措置(特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法10(2))』
を追加

※平成24年法律第55号、以下「アジア拠点化推進法」という)が平成24年11月1日に施行され、同法第10条第2項の規定により、特許法第195条第2項の規定により納付する出願審査請求料の軽減を受けられるようになったことに伴う追加。
※平成24年度版のIII以降が1ずつ繰り下がり

(2)第五章 商標登録出願の手続
『第九節 地域団体商標の手数料の軽減』
を追加

※平成24年3月31日に福島復興再生特別措置法(平成24年法律第25号)が公布され、福島の復興及び再生のための特別の措置の一つとして、商標法の特例を設けたことに伴う追加。

(3)第七章 出願手続Q&A
『問17 色彩写真(カラー写真)の提出について(特・実)』
を追加

※内容は、審査の参考になるような色彩写真(カラー写真)等は物件提出書(特許法施行規則様式第22)により提出可能である点と、願書に添付する図面は着色不可とされている(特許法施行規則様式第30備考4)ことから願書に添付する図面をカラーとすることはできない点
※平成24年度版の問17以降が1ずつ繰り下がり

(4)その他、誤記訂正・言い回しの変更、とのこと。


やはり、あまり大きな変更はなかったようで。

以上、備忘録もかねての情報提供でした。

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本日は、公開特許公報の『審査請求 未請求』のお話(若手特許実務者向け)。

 

公開特許公報をみますと、審査請求情報が掲載されています。

公報レイアウト形式のデータでは、
『審査請求 未請求』又は『審査請求 有』
と記載されています。

テキスト形式のデータでは、
『【審査請求】未請求』又は『【審査請求】有』
と記載されています。

あるとき、まだまだ修行中の若手弁理士君が、
今プリントアウトした公開特許公報に『審査請求 未請求』と書いてあるところを指差しながら、
「これは出願から3年以上経過しているけど、審査請求がされていないようです。なので、権利侵害のおそれはありませんね」
と。

似たような話が他の件でもありました。

「あー、そういう勘違いもあるんだなー」と思ったわけで、当時、事務所内で解説をしたことがありました。

◆公報の内容は随時更新されるのではなく、何年経っても発行時のデータのまま◆

つまり、公開特許公報に記載されている『審査請求 未請求』は、公報発行の準備完了のときにはまだ審査請求されていなかったんだね、という程度の意味です。

なので、「あーこれは出願審査請求されることなく取下擬制となっています!」なんて、公開公報だけみて判断してはダメですよ。

以上、公開特許公報だけで出願審査請求の有無は判断できない、だからちゃんと経過情報検索・審査書類情報照会などを利用して経過をしっかりチェックしようね!というお話でした。
(経過情報でも、タイムラグという大きな問題があるので、ちょうど昨日で3年過ぎたからもう取下擬制だね!と言ってしまうと大変なことに…)

 

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定時過ぎて、ちょっと休憩がてら、たまには流行にのってみよう!と一つの記事に着目。そしたら、意外な結末に。

<1>特許で炎上?

「ソニーが中古ゲームを排除する特許を取得…次世代機で採用か」(インサイド2013.1.12)
http://www.inside-games.jp/article/2013/01/12/62884.html

上記の記事によれば、ソニー・コンピュータエンタテインメントさんが中古ゲームをブロックする特許を取得したことが判明し、これが採用されたら色々大変だ、というお話。
この記事がyahooニュースでも取り上げられており、yahooコメント欄には2000以上ものコメントが寄せられ、中にはソニーさんにマイナスイメージをもった方のコメントがわんさか。ソニーさん大変でした。

<2>火消し?

「【PS Meeting 2013】PS4では中古ゲームもプレイ可能 ― SCE吉田氏がEurogamerに伝える」
(インサイド2013.2.21)
http://www.inside-games.jp/article/2013/02/21/64100.html

上記の記事によれば、ソニー・コンピュータエンタテインメント側はPS4で中古ゲームを利用可能と言ったということで。
中古ゲームの利用可能性について質問が出るほど騒ぎになっていたということでしょうね(特許だけの話じゃないかもしれませんけど)。

<3>特許権を取得する意味

特許権を取得する意味としては、自己が実施する製品について、他社が真似しないようにしっかり守っておきたい、という考え方が自然にみえるかもしれません(独占的実施・他社実施排除)。

ただ、ライセンス交渉のタマとして特許権を取得する場合(この場合は、自社製品が権利範囲にあることよりも他社製品が権利範囲にあることの方が嬉しい)もあります。

まぁ、実際問題として、将来の予測困難性という面もありますよね。現時点では実施予定はないけど、将来どうだろ?という面で不安なところもあります。
特許は今のためというより将来のためという位置付け(投資)が多いですから、全体的な方向性としてはそれなりに読めることもあるでしょうけれども、実際に個々の特許が実施品として登場するかどうかは別問題なわけです。

ちなみに、特許庁の少し古い調査によれば、特許権は以下の順で利用されているようです。
・自社実施に利用のみ
・防衛目的で保有(形式的には未利用)
・他社へのライセンス利用のみ
・自社実施しつつライセンス利用

<4>ソニーさんの今回の特許騒動

上記<3>を踏まえて、今回のソニー・コンピュータエンタテインメントさんのような特許取得活動というのは、多くの企業において普通に行われている知財活動の一環といえます。

ソニー・コンピュータエンタテインメントさん、しかもPSPのような実に多くの技術を複合的に組み合わせて実現する場合にあっては、どのようにがんばっても他社の特許権を全て回避することは不可能に近いことです。

PSP4が今回の特許を利用したものかどうかは憶測では語れませんけれども、中古ゲームソフト規制の特許をとったからといって、それが悪いと決め付けられてしまうのは、かなり「可哀想」だと思いました。

確かに、「ゲームメーカVS中古ゲーム流通業者」という構図はあるわけですけれども、「売れるゲーム機」でなければソニー・コンピュータエンタテインメントさんにとっては痛手なわけですから、1つの特許話に振り回されず、製品の良し悪しで評価してあげて欲しいものです。

<5>ついでにどんな特許?(野次馬根性)

で、どんな特許だろうか?と、野次馬根性で興味をもってしまったので(笑)、ソースを辿ってみました。
Sony patents tech to block second-hand games(Eurogamer)
http://www.eurogamer.net/articles/2013-01-03-sony-patents-tech-to-block-use-of-second-hand-games

そこにはpatent documentのリンクがあり、リンク先にあったのは、これ↓。

米国公開特許公報:US2013/0007892A1(米国出願番号:13/611,243)

あれれ?公開公報じゃん(前回のエントリー『マイナーな国の特許公報情報を知ったかぶり? 』でも触れたとおり、公報種別の記号Aはたいてい公開されただけのもの。特許済みはたいていBの記号がつきます。おさらいですw。昔の米国は出願公開制度がなかったのでAで特許済みって時代が長かったわけですが…)。
しかも、先月公開されたばかりの新鮮ピチピチ公開公報。
経過をみても、特許になった痕跡はないけど…

うむむ、もしかしてEPとかで登録されていたりするのか?

じゃぁ、パテントファミリーをみてみますかね。

基礎出願は、日本の特許出願(特願2010-093513)ですね。
特開2011-221966として、平成23年11月04日に公開され、平成25年01月18日、つまり、つい1ヶ月ほど前に出願審査請求書が提出されたばかりです。

これを基礎に、PCT出願(WO2010JP07066)をし、その後、米国と中国に国内移行したという形のようですね。

えーーーーーーーーーっ。どれもこれも特許になっておらんですぞぃ。。。


一連の騒ぎは、公開公報が発端でしたか。

公開公報をみて特許になったと思ってしまうのは万国共通なのかも。。。

◆知っておいて欲しいこと◆
特許出願をすると、多くの国では一定期間後(1年半とか)に強制的に出願公開されます。
公開されたからといって、特許になったとは限りません。

以上、スタートがあれで、結論がそれかい。になりました。

 

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特許公報類をみていると、(A)や(71)のように、各所にカッコ付き英数字が付されています。
これはなんだろう?と思った方もいらっしゃるかも?

これは、WIPO標準に従って各国の知財関連公報で付されているものでして、例えば、日本国特許庁の特許関連公報では以下のようになっています。

【日本国特許庁が発行する公報の識別コード(WIPO ST.16)(特許のみ)】

公開特許公報(A)
公表特許公報(A)
再公表特許(A1)
特許公報掲載後の公開公報(A)
特許公開系各種公報の補正公報(公開(公表)後の補正)(A5)
特許公開系各種公報の訂正公報(A6)
特許公報(公開公報未発行)(B1)
特許公報(公開公報発行済み)(B2)
特許登録系各種公報の訂正公報(B6)

【日本国特許庁が発行する公報の掲載内容に関係するINIDコード(WIPO ST.9)(特許のみ)】

文献番号(公開番号、登録番号) 11
公報種別 12
文献発行国19
出願番号 21
出願日 22
登録日 24
優先権主張番号31
優先日 32
優先権主張国又は機関 33
公開日 43
文献発行日45
国際分類(IPC) 51
発明の名称54
参考文献 56
要約及び請求の範囲57
分割の表示62
出願人 71
発明者 72
特許権者 73
代理人 74
指定国 81
翻訳文提出日(国際出願の国内移行日) 85
PCT国際出願情報(番号・可能であれば日付) 86
PCT国際公開情報(番号・可能であれば日付) 87

※WIPO ST(standards) 原文は以下のURLです。
http://www.wipo.int/standards/en/part_03_standards.html

※各国事情等は、INPITの以下のURLが参考になります。
http://www.inpit.go.jp/data/koho/kaidai/kami_gai.html

 

これが便利なのは、(71)が振ってあるところが特許出願人、(22)だから出願日だね、というように、馴染みのない言語の公報についても、それは発明者なのか出願人なのか、出願番号なのか公開番号なのかなど、紛らわしいものを簡単に識別できることにあります。

普段馴染みがないという前提ですので、英語圏以外の公報、例えば「ロシア語、無理やわー」みたいな状況など?

ただ、普段馴染みのないという状況に備えてコードを暗記するのも馬鹿馬鹿しいですよね。

そんなときには、とりあえず「日本の特許公報を横に置いて、コード番号を見比べる。」

これだけで、日付や番号の意味などは簡単に把握できます。

以上、海外の知財関係公報類の書誌情報をちょっと知ったかぶりできる?プチ情報でした。

注意!:公報識別コード(AとかBとか)は、公表順序(Aが第一公表レベル、Bが第二公表レベル、…と規定されています)を示しているため、公開制度がない場合には特許(済)公報がAとなっているなど、国毎にかなり違いがあるので、上記INPITのページをご参照下さいませ。

ポチッ↓と、打倒、名古屋の商標亭!w(一度も、ランキング逆転したことなしorz)

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