定時過ぎて、ちょっと休憩がてら、たまには流行にのってみよう!と一つの記事に着目。そしたら、意外な結末に。
<1>特許で炎上?
「ソニーが中古ゲームを排除する特許を取得…次世代機で採用か」(インサイド2013.1.12)
http://www.inside-games.jp/article/2013/01/12/62884.html
上記の記事によれば、ソニー・コンピュータエンタテインメントさんが中古ゲームをブロックする特許を取得したことが判明し、これが採用されたら色々大変だ、というお話。
この記事がyahooニュースでも取り上げられており、yahooコメント欄には2000以上ものコメントが寄せられ、中にはソニーさんにマイナスイメージをもった方のコメントがわんさか。ソニーさん大変でした。
<2>火消し?
「【PS Meeting 2013】PS4では中古ゲームもプレイ可能 ― SCE吉田氏がEurogamerに伝える」
(インサイド2013.2.21)
http://www.inside-games.jp/article/2013/02/21/64100.html
上記の記事によれば、ソニー・コンピュータエンタテインメント側はPS4で中古ゲームを利用可能と言ったということで。
中古ゲームの利用可能性について質問が出るほど騒ぎになっていたということでしょうね(特許だけの話じゃないかもしれませんけど)。
<3>特許権を取得する意味
特許権を取得する意味としては、自己が実施する製品について、他社が真似しないようにしっかり守っておきたい、という考え方が自然にみえるかもしれません(独占的実施・他社実施排除)。
ただ、ライセンス交渉のタマとして特許権を取得する場合(この場合は、自社製品が権利範囲にあることよりも他社製品が権利範囲にあることの方が嬉しい)もあります。
まぁ、実際問題として、将来の予測困難性という面もありますよね。現時点では実施予定はないけど、将来どうだろ?という面で不安なところもあります。
特許は今のためというより将来のためという位置付け(投資)が多いですから、全体的な方向性としてはそれなりに読めることもあるでしょうけれども、実際に個々の特許が実施品として登場するかどうかは別問題なわけです。
ちなみに、特許庁の少し古い調査によれば、特許権は以下の順で利用されているようです。
・自社実施に利用のみ
・防衛目的で保有(形式的には未利用)
・他社へのライセンス利用のみ
・自社実施しつつライセンス利用
<4>ソニーさんの今回の特許騒動
上記<3>を踏まえて、今回のソニー・コンピュータエンタテインメントさんのような特許取得活動というのは、多くの企業において普通に行われている知財活動の一環といえます。
ソニー・コンピュータエンタテインメントさん、しかもPSPのような実に多くの技術を複合的に組み合わせて実現する場合にあっては、どのようにがんばっても他社の特許権を全て回避することは不可能に近いことです。
PSP4が今回の特許を利用したものかどうかは憶測では語れませんけれども、中古ゲームソフト規制の特許をとったからといって、それが悪いと決め付けられてしまうのは、かなり「可哀想」だと思いました。
確かに、「ゲームメーカVS中古ゲーム流通業者」という構図はあるわけですけれども、「売れるゲーム機」でなければソニー・コンピュータエンタテインメントさんにとっては痛手なわけですから、1つの特許話に振り回されず、製品の良し悪しで評価してあげて欲しいものです。
<5>ついでにどんな特許?(野次馬根性)
で、どんな特許だろうか?と、野次馬根性で興味をもってしまったので(笑)、ソースを辿ってみました。
Sony patents tech to block second-hand games(Eurogamer)
http://www.eurogamer.net/articles/2013-01-03-sony-patents-tech-to-block-use-of-second-hand-games
そこにはpatent documentのリンクがあり、リンク先にあったのは、これ↓。
米国公開特許公報:US2013/0007892A1(米国出願番号:13/611,243)
あれれ?公開公報じゃん(前回のエントリー『マイナーな国の特許公報情報を知ったかぶり? 』でも触れたとおり、公報種別の記号Aはたいてい公開されただけのもの。特許済みはたいていBの記号がつきます。おさらいですw。昔の米国は出願公開制度がなかったのでAで特許済みって時代が長かったわけですが…)。
しかも、先月公開されたばかりの新鮮ピチピチ公開公報。
経過をみても、特許になった痕跡はないけど…
うむむ、もしかしてEPとかで登録されていたりするのか?
じゃぁ、パテントファミリーをみてみますかね。
基礎出願は、日本の特許出願(特願2010-093513)ですね。
特開2011-221966として、平成23年11月04日に公開され、平成25年01月18日、つまり、つい1ヶ月ほど前に出願審査請求書が提出されたばかりです。
これを基礎に、PCT出願(WO2010JP07066)をし、その後、米国と中国に国内移行したという形のようですね。
えーーーーーーーーーっ。どれもこれも特許になっておらんですぞぃ。。。
一連の騒ぎは、公開公報が発端でしたか。
公開公報をみて特許になったと思ってしまうのは万国共通なのかも。。。
◆知っておいて欲しいこと◆
特許出願をすると、多くの国では一定期間後(1年半とか)に強制的に出願公開されます。
公開されたからといって、特許になったとは限りません。
以上、スタートがあれで、結論がそれかい。になりました。
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