本年もやって参りました。7月1日は「弁理士の日」です。
弁理士の日を勝手に盛り上げよう!と、ドクガクさんこと弁理士の内田さんが毎年ブログ企画をされています。
ドクガクさんから与えられた「弁理士の日記念ブログ企画2021」のお題は、「知財業界での夢と希望」。
コロナ禍にあって、なかなか明るいテーマですね!
さて、私は、「特許事務所」に長らく生息しておりますので、今回は、知財業界を少し絞って「特許事務所の弁理士」を目指す人にとっての夢や希望について書くことにします。
私がこの業界に入ったのは、1990年(平成2年)、なんと22歳のときでした。
こんなに若いときに特許事務所に入る人間は、当時も今も圧倒的に少ないです。
私は学生のとき、「理系の変わった仕事」「自分次第、結果次第の仕事」を探していたため、「特許」というコトバにグラッときて(理系の仕事に違いない。特許というからには変わった仕事に違いない)、「事務所」というコトバに小規模感(これは自分次第の実力主義の世界に違いない)を想像したという程度の理由で就職しました。
当時はインターネットも普及しておらず、岐阜の田舎者だったため、情報が全くありませんでしたので、特許事務所の仕事を具体的に知ることもなく、安易な理由でこの世界に入った次第です。
気づけば既に30年以上もこの業界にいるわけですが、入口は偶然だったにしても、この業界に入れてとても良かったと思っています。
私が特許事務所で働いていて良かったと思う事項を列挙することで、これから「特許事務所で働く弁理士」を目指す方の夢や希望につながれば幸いです。
<特許事務所で良かったと思うこと>
※印のコメントは、裏返しの話として、特許事務所という職場が夢も希望もない世界になっちゃうかも?というタイプということで(汗)
【1】年齢関係なし
経験は大切だけど、年齢は大切ではない。若いことで不利になるようなことは全くありません。
※自分は何歳なので、(実力と無関係に)年齢相応のポジション・年収が欲しいという方には全くむいていません。
【2】理系の知識を存分に使うことができる。勉強をしていることが仕事に直結する。
世の中、学生時代の勉強が役立つ場面がほとんどない職種が多いですが、知財業界、特に特許事務所では学生時代に勉強してきた知識をすごく活用します(微分、積分、行列、電気回路、力学、英語……)。学校でのよくわからない勉強がこんなに役立つんだなと実感できる面白い仕事です。仕事をはじめても、更に勉強を積み重ねる必要がありますので、ほんの少し学生の延長という側面もあります。
※理系アレルギーの人には、特許事務所で特許を扱うのにはむいていません。
【3】英語を使いたいなら、バンバン使える環境。
技術・法律・語学、全てを使う変わった仕事ともいえます。
外国特許関係は英語が得意な弁理士にお願いしてしまっているので、最近、私自身は全然使いませんが…(汗)
【4】自分次第、結果次第の仕事。ストレートに評価・収入として反映される。
上記【1】と近い話ですが、年齢・性別その他に全く関係なく、「結果」がストレートに評価されます。
自分のスキルアップが即評価につながる感じです。
※結果をだせない人には大変厳しい世界なので、結果が出せずにリタイアしたり、転々としたりしている人もいます。転々としても評価が変わることはほとんどないため、結構大変そうです。
【5】他人からの干渉がほぼなく、自分のペースで事を進められる。
会議、報告書、稟議書、上司の付き合いなど、そういったものはあまりなく、実務に集中でき、個人のペースで仕事を進めることができます。
時間の使い方もほぼ個人の裁量に委ねられていることが多いです。
なので、仕事の早い人のワークライフバランスは、全て個人の裁量のもとに置かれているという感じです。
また特許事務所ですと、他人に過度に干渉する人はほとんどいませんし、自分の評価は自分の結果でしか示せない世界ですので、誰も足を引っ張ることはありません。そういった快適さはあります。
※会議が大好きな人や自己管理のできない人にはむいていません。ペースを自分で管理できない人が特許事務所にくると悲惨です。自分のペースを優先しすぎる人の傾向として、仕事ができていないという面もあるので注意が必要かも。
【6】普通以上のコミュ力があれば、すごくコミュ力が高い扱いになる。
特許事務所では企業からの転職者が多いのですが、企業でコミュ力が低いことでうまくいっていなかった人も少なからずいるようです。
ただ、特許事務所はお客様商売という側面がありますし、コミュニケーションを通じて発明者等から色々な情報を引き出す必要がありますので、コミュ力は重要な要素になります。
そうはいっても、普通以上のコミュ力があれば、特許事務所の中ではコミュ力の高い人の扱いになりますので、これも武器になります。私自身、普通程度プラスαくらいかな?と思っていますが、さてどうでしょうか。
※企業でコミュ力不足だった方でも特許事務所でやっていけるか?といえばYESになりますが、かといって夢や希望をもてるほどではなさそうです。以前よりもコミュ力は重要になっていると感じます。
【7】外部評価も割と直接的。
お客様からの「ありがとう」を直接的に感じやすいです。
お客様と直接コミュニケーションをとって、結果のフィードバックも得られますので、良い仕事を褒めてもらえた日はビールも美味い!そんな小さくも大切な幸福感が得られます。(マイナスのフィードバックも当然あり得ますので、そうならないためには、良い仕事を続けることが大切)
※技術系の人だとメーカで設計や開発に携わる方も多いですが、なかなかユーザから「ありがとう」と言われる機会はないかなと思いますので、自分の仕事の結果がみえにくいということはあるのでは?(想像…
【8】色んな企業さんの色んな発明品に接することができる。
これは特許事務所ならではの楽しみでもあります。色んな発明品に接していくうちに技術知識にも自然と幅がでてきますし、なんといっても飽きがきません。よくもこんな斬新な発想ができたものだと感動することもあります。ちょっとした一工夫の発明でも、興味深いです。
※特許事務所はあくまでサポーターですので、サポーターとしての喜びがもてない方、例えば自分でモノづくりをしたいという方にはむいていないです。
以上、パッと思いついたことを、つらつらと書きましたので、まとまりがない点はご容赦下さい。
このように列挙した点は、30年前も今もあまり変わらないように思います。
特許事務所の世界に興味をもてましたでしょうか?
あいぎ特許事務所では、現在、人材募集中ですので、是非、特許事務所に夢や希望をもたれた方のご応募をお待ちしています!
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