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愛知心臓病の会「移行期医療交流会」(第1回・8月1日)の報告

2021-09-02 | 活動報告
愛知心臓病の会「移行期医療交流会」(第1回・8月1日)の報告

患者当事者7人、親4人、専門職1人の12人の参加をいただきました。
牛田会長から、「先天性心疾患の移行期医療に当事者意見を反映させる大きなチャンスです」と、国、愛知県の循環器病対策づくりの状況や、移行期を迎えた患者の最近の具体的な情報(移行先の情報としての「病院の方針」や「手術の可否はどうか」など)、患者側が考えるべきと思うことなどを簡単に報告し、「移行医療体制の整備ということについて不安・困っている事や要望を出してほしい」「循環器協議会の先生方や愛知県のパブリックコメントに当事者の意見を伝えていきましょう」とお願いし、交流しました。

当事者からの発言
・成人先天心受診のたびに違う医師が診察に当たられるのは、病院としての対応ということは理解できるが不安もあります。静岡では成人先天心専門の医師が担当してみえます。
・移行についての相談窓口もなく、担当小児科医からの説明しかありません。移行先病院の具体的な情報(病院の特徴,医師,手術実績など)がなかなか得られません。
・先天性心疾患患者、・小児科医師から移行先と紹介された病院について、当事者としては情報も少なく迷いますので、実際に通っている患者に話を聴くことが有効と思いますが、紹介先病院の強みとかも教えてもらえるとありがたい。
・女性患者にとって妊娠・出産は切実な要望ですが、愛知では産婦人科との連携が不十分です。
・病院によってはHPに、成人先天性心疾患対応方針や手術実績が公表されています。移行先を紹介されてからHPを見られる人もみえると思います。なかなか目的のサイトまでいけないかもしれませんが、会員同士情報交換しながら参照したら良いのではないでしょうか。
・実際に通っていないとわからない病院の情報もたくさんあります。ゆっくり診察してくれる先生が増えてほしいです。小児科ではエコーも主治医が行っていたのでその場で説明をしてくれていましたが、循環器科に移って小児の時と比べて診察時間が短く、さらっと終わる先生では症状をきちんと伝えられません。小児の時には親が先生にたくさんの質問をしてくれていました。
・移行先を考えるときに患者同士の交流・病院情報交換も有効です。会を通じて会員同士お互いに了解できれば個々の連絡先を交換するなど、いろんな形で横のつながりを強められれば良いと思います。
・東京にも通院していますが、医師が代わってサラッと終わる方もみえます。この先生とは合わないんじゃないかという悩みもあります。
・医師によって違いがあり、こんなちょっとした症状を伝えても良いのかと悩むときもあり、診断結果を聞くだけになってしまう時も多いです。
・これまで30年以上診てもらっていた先生から、自分と同じくらいの年齢の先生に変わって、なんでもOKという感じで、不安に感じるところもあります。やはり診察時間が短いと信頼関係をつくりにくいと思います。先生との相性もあります。成人先天性心疾患医療は新しい分野で、専門診療科を決める時に成人先天心医療は選択肢が少ないのではとも思います。
・成人先天心学会もでき、HPもあります。過渡期にある分野です。だからこそ医師も当事者意見が聞きたいと思ってみえます。患者側が「検査結果を見せてください。説明してください」など口に出して要望してはどうでしょうか。患者が「こんなことを考えている」ことを伝えてこそ医師もニーズがわかります。
・今使っている薬を止めてもよいかどうか、移行前の小児科医に問い合わせしていただきました。素朴な疑問も伝えるべきと思います。
・特殊な手術が必要なのが不安です。それができる他の病院を探さないとといけないけど、情報が得られていません。特殊でなくても情報が不足です。地域のかかりつけ医は細かくいろいろ聞いてくれて信頼できています。まずはそこからでとも考えています。
・自覚症状も少ない中で、「どうですか」と聞かれても、どういうことを伝えればよいのかわからない。いろいろ考えているうちに「次回の予約は」という話になってしまう。
・保護者です。来月カテーテル検査を受けて、その結果をみて移行先病院を紹介していただける予定になっています。病院として診ていただけるのは大きな力と思う面もあります。HP検索してもなかなか思う画面までは行きつけません。産婦人科のある大きな病院をと考えることもあります。
・保護者です。移行準備がまったくできていません。ちょっとした相談をしたいときは事前に伝え、相談できる場面を作る(医師がそのつもりで診療してくれる)事ができる当事者になってほしい。主治医が紹介してくれる先生なら大丈夫と思っていましたがいろいろと考えることがあると思いました。
・保護者ですが、子どもは今15歳で元気です。病院としてもきちんと聞いてくれています。小児科から変わった時にどうなるのかの不安が少しあるくらいです。
・中学校・高校はもっとも楽しい時期です。クラブ活動もして、健常者と同じように生活していました。小学校の時の心内膜炎が原因で、20歳になって心不全として表面化しました。
・高校時代は楽しい元気な生活でしたが、20歳代は1人暮らしすることも多くなり、親のリミッターも外れ、無理・不規則な生活をすることもあり、症状が出てくることもあります。自分の病気を他人に説明できるようになることが必要です。会社の面接でも結構きかれることです。30代後半からは合併症もあり、他診療科にかかっている人もみえます。
・東京通院するうえで、費用・時間のことはあまり考えていませんでしたが、最近考えるようになりました。いろんな診療科に行くようになり年に6回くらいです。先生との相性もあります。いい先生に合わせて通院するようにするかどうか考えています。
・障害者医療費の公費負担、JRの割引、県外通院の場合の医療費問題などもあります。
 (福祉制度の説明は別の機会にさせていただきます)
・医師に症状を伝えるうえで前回通院時からの間で症状が悪かった時のことを書いておき、書いたものを持って通院するようにしてはどうでしょうか。

牛田会長から
「愛知県のパブリックコメントにぜひ参加ください」「引き続き交流会していきますので引き続くご協力を」とお願いし、第一回交流会を終わりました。

【参考】日本成人先天性心疾患学会のHPによると、
成人先天性心疾患学会認定修練施設(2021.4.1更新)は以下のようです。
     総合修練施設 独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院
            名古屋第二赤十字病院
     連携修練施設 あいち小児保健医療総合センター
          国家公務員共済組合連合会名城病院
            藤田医科大学

パブリックコメントとは
・県民意見提出制度(パブリック・コメント制度)は、県の行政運営の公正の確保と透明性の向上を図ることを目的として、県民生活に密接に関連する計画、指針等の策定又は改定に当たり、幅広く県民に公表するとともに、参考となる意見を募集するものです。(県HPより)
・今回協力をお願いしているのは、愛知県循環器病対策推進協議会で検討されている「愛知県循環器病対策推進計画」が対象で、9月に実施が予定されています。
・具体的には、まとめられた愛知県の「計画案」についての意見をメールや手紙で提出することです。(実施・提出時期は県HPなどで示されます)