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「太宰」で鍛える日本語力

2013-04-18 23:59:59 | 
『「太宰」で鍛える日本語力』(出口汪 著/祥伝社新書)

この本は、
「太宰はまさに言葉の魔術師である。読者の気持ちを鷲づかみにするのが何よりうまい。だから、太宰の文章を吸収することで、論理力、感性、豊かな語彙力、レトリックの力、あらゆるものが手に入る」と主張する著者が、
彼の小説で使われた接続詞、助動詞、助詞、重要漢字、キーワードなどを例に採って、
名文を読みながら日本語力が上達する問題集を作成し、
また、なぜ太宰治は面白いのかや、
謎めいた文体で読者を魅了するヒントはどこにあるのかにも迫ったものです。

著者は、現在も受験現代文カリスマ講師の一人ですが、
私が受験生だった頃、現代文は全て著者の講義を選択していました。
あれから20年近く経つのに、未だ受験現代文カリスマ講師なのですから、
凄いとしか言いようがありません。

その頃は、受験関連の本の執筆や事業が中心でしたが、
今は「論理」という言葉をキーワードに、様々な活動をされているようで、
また、小説の執筆や、作家としても多くの著作物を出されています。

この本もその一つ。

太宰治の話は、受験生だった頃に、著者から何度も聞いたのですが、
個人的なイメージは「生き残る自殺志願者」。
何度も自殺をしているのに、最後の自殺を除いて全て失敗していて、
どういう訳か、一緒に自殺した方は亡くなってしまうという、
何と言って良いやらわからない作家、というイメージでした。

太宰治のことは著者から聞いたものが殆どですから、
この本にも、聞いたもの以上のことは記されているものの、
その大きなものは一緒だと思うので、
そういう意味では驚きはありません。

となると、この本のもう一つの主題である日本語力のトレーニングは、
どんなものなのか、ということになる訳ですが、
受験現代文の講師という著者だけあって、
まさに受験問題風のトレーニングになっています。

ショックだったのは、語彙力の点が著しく低かったこと。
「日本語初級レベル」という採点結果は、情けない限りです…

一方、接続語や会話力は、かなり高くて、
最上位の「日本語博士レベル」という採点結果でした。

太宰治を詳しく知りたいという方にはお薦めしませんが、
少しでも太宰治の面白さなどを知りたい方や、
日本語のトレーニングをしたい方には、お勧めします。

今日は造幣局へ行ってきました。


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