ブラッドレス・メアリー◇機動戦士ガンダム外伝◇第四話

ブラッドレス・メアリー

～冷鉄のメアリー～

機動戦士ガンダム外伝

第四話

[……クッ……。]

[キラービーが墜ちたか。]

私は首から掛ける隊で作ったペンダントを握り、小隊全員の無事を祈り、想定より上陸が遅れているシャア大佐率いるマッドアンクラー上陸隊を待った。

[やはり、難攻不落と言われたジャブロー、水中からの侵攻も容易ではないのか……。]

メアリーが、そう思った時であった対人センサーにチラチラと、反応が現れはじめた。

距離にして、およそ半径500メートルと、それは[じわりじわり]と、迫っていた。

[試作システム機だが、クローキングデバイス・システム=光学迷彩を使ってみるか。]

機体全体に蜃気楼が掛かったように[モワ～ン]と霧状の気体が取り巻く。

30秒後、ディアブロは周りの景色に同化した。

[ははぁ～ん。]

[近づく連邦兵らは私を捜索している訳ではなく、キラービーに搭乗していたクルーたちだ。]

あれだけの閃光は目立つが、追撃した事をパイロットなり、ベースのレーダーで確認出切れば、それ以上は戦況が落ち着いてから破片、遺体等の捜索が基本だ。

しかし、追撃と同時に捜索していると言うことは、脱出した搭乗者が居ると言う事だ。

私は再びペンダントを握り、神に感謝した。

[クルーたちは仲間は、生きている。]

そう思い感謝した。

だが、私はまだクローキングデバイス・システムを解除しなかった。

ディアブロのレーダーでも捉えた破片が近くに落下した事もあり、捜索の範囲が拡がったのだろう。

捜索する隊は、複数あるようだ。

ディアブロに近づく隊は今のところ2つだ。

100メートル以内に近づく隊に目掛け、ガトリング砲をぶっぱなした。

人間の大人以上は有る薬莢が飛び上がる。

密林のジャングルの大地を抉る弾痕。

銃口から飛び散る火花、土煙、火薬の香りが乱舞、怒号と悲鳴が交差する。

クローキングデバイス=光学迷彩の出来は、まずまずだが、やはり試作実験機、銃口から飛び散る火花に反応するのか、機体が見え隠れする。

対人兵器ではない火力だ。撃てばそれなりにデカイ音もまた、ディアブロの位置を特定されやすい。

密林のジャングルに散らばる捜索隊の大半が、ディアブロを目指して来る。

私は一度、クローキングデバイス=光学迷彩をわざと切り、その姿をさらけ出した。

[私は此処だ！ここに居るぞ！]

対シールド用35mmショットガンをぶっぱなした。

[はは～ん。いいね！]

[モビールスーツが、出てくる前に片付ける！]

　

対人間に私は容赦なく撃ち込んだ。

そう。私はあの日以来、冷血・冷鉄のメアリーの異名を持つ。

[応援呼んだのか。]

[連邦の陸戦タイプジムか。それも2機、お出ましだ。]

私は再び、クローキングデバイス=光学迷彩をONにし、本領を発揮する為、フライトモードに切り替え、ガトリングを乱射、弾幕を張った。

爆炎と土煙がモノアイを狂わせる。

[沈めッ！！]

[グガガガガガーーーーーッ！！]

間髪入れずに35mmショットガンをぶっぱなす。

[ビンゴ！！]

1機、ジャブローの大地に沈めた。

[シュルルルルルーーーーッ！！]

[チッ！弾切れか。]

ガトリングシールドを捨てた時だった、もう1機が射ち放ったロケット弾に右脚が吹き飛ばされた。

その衝撃でクローキングデバイス=光学迷彩システムも不具合が生じ、ディアブロは姿を現しながら、ジャブローの大地に墜ちてゆく。

ヒートサーベルを腹部手前に構え、姿勢制御スラスターを使い分け、もう1機の陸戦タイプジムの頭部、目掛け急降下した。

ロケット弾が、今度は左脚を吹き飛ばした。

[アアアアアアーーーーッ！！]

[くたばりやがれーーッ！！]

オイルが吹き出し、黒煙を撒き散らし、制御が効かないディアブロは大地に叩きつけられるように墜ちた。

[……生きてる。]

モノアイもセンサーも、何も使えない。

私は手動でコックピットのハッチを開け、ゆっくりと外に出た。

太陽の光が差し込む中、拳銃を構える連邦兵が視界に飛び込んだ。

だが、連邦兵は拳銃を構えたまま、膝から崩れるように倒れた。

まだ、息はあるようだった。

[相手に情けを掛けるなら細心の注意を払え。]
[次は死ぬぞ。]
私の脳裏に甦るあの日の言葉。

[タンタン！！]

私は二発撃ち込み、密林のジャングルに姿を消した＿＿。

◆

◆

この戦闘から15分後、シャア大佐率いる工作部隊は水陸両用モビールスーツ(MS)を使って潜入に成功するものの爆破工作に失敗し、ホワイトベース隊の活躍もあり、部隊はシャアを除いて全滅する。

また、ガウにより空輸されたMS部隊も、降下前に輸送機ごとまたは降下中に対空砲火の餌食となったり、着地したところを砲撃されたため侵入前から相当数を損耗。

地上に降下できた戦力も大規模な侵入口は確保できなかった。

地下施設に突入できた一部MSも、洞窟内ではMSの優位性を発揮できず、連邦軍防衛隊の必死の抵抗にジオン軍は攻略の見通しが立たないままMSの半数を損耗し、撤退を余儀なくされた。

この作戦で地上戦力を損耗したジオン軍は戦力の立て直しと守勢に回らざるを得なくなり、連邦軍の本格的な反撃が始まるきっかけとなる。

連邦軍にほとんどMSが無かったにもかかわらず、ジオン軍の総力を挙げた猛攻撃に耐え抜いたことからも、ジャブローの堅牢さと戦力の充実ぶりがうかがえる。

◆エピローグ◆

その後、私は軍を抜けた＿＿。

そして、風の便りで私が奪取するはずだったニュータイプ対応モビールスーツ:ガンダムアストライアは、開発が凍結されたと聞く。

だが・・・

 ガンダム開発計画

モビルスーツ (MS) であるガンダムのさらなる高性能化を目指し、宇宙世紀0080年代初頭における「最強のMS」を開発する計画であり、「ガンダム・プロジェクト」とも呼ばれる。

試作0号機から試作4号機と計五種類(5機)の機体が開発された。

コード・ネームの「ガーベラ」は、この試作4号機にあたる。

キク科のハナグルマの意で、花言葉は「神秘」。

本計画ではアナハイム社から複数の設計案が提出され、それを検討する形を採っており、そのため机上のプランとして設計段階まで進められていた機体もいくつか存在する。

計画初期の段階で、格闘・白兵・突撃・強襲といった戦術に対応する宇宙用の機体も提案され、開発が開始されるが、コンセプトが試作1号機と一部重複するため早い時期にペンディングとなり、制式に型式番号は与えられずに終わる（現在知られる型式番号は、一時非公式に呼ばれていたものである）。

本機のコンセプトは対MS戦闘における「最強」性であり、白兵戦に主眼を置いている。

その一方で、フルバーニアン以上の機動性と航続性能の延長を目指すため、バックパックにはオプションで宇宙戦用高機動ユニットであるシュツルム・ブースター・ユニット3基が装着可能となっている。

両肩には試作2号機と同様に大推力のスラスターが装備されるが、2号機と異なり単発式でいくぶん小型のものとなっている。フレーム・ユニットだけは完成していたという一部関係者の証言もある。

武装ロングレンジ・ライフル「ロング・ビーム・ライフル」とも呼ばれる。

試作1号機用のビーム・ライフルの基部を利用し長砲身のバレルに換装、集束率を高めることにより射程距離の延長と威力の強化を図っている。

※そして皮肉にも、改良された"アストライア"は深紅に塗られ、エルラン中将の前に現れた"青年実業家"を名乗った青年の手に渡る事はなく、"デラーズ・フリート"シーマ中佐機乗[ガーベラ・テトラ]として、戦場に送り出された。　

その後、アナハイム社で保管されていた設計図が、紛失した。

一部の噂では何者かに盗み出されたとも。

◆

ニュータイプ対応試作実験機

ガンダム・アストライア

全高:18.5m

本体重量:46.1t

全装備重量:73.6t

装甲材質:ルナ・チタニウム合金

出力:1.730Kw

推力:224.000kg

武装

ロングレンジ・ビームライフル

(試作メガ粒子カノン)

ビームマシンガン

ビームサーベル×2

シールド

◆

陸戦型ジム

全高:18.0m

本体重量機53.8t

全装備重量:66.0t

装甲材質:ルナチタニウム合金

出力:1.150Kw

推力:49.000Kg

センサー:6.000m

武装

100mmマシンガン

ロケットランチャー

ミサイルランチャー

ビームサーベル×2

ショートシールド

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使用している画像はイメージです。

この物語りは架空です。機動戦士ガンダムの二次創作です。
物語りに登場する人物、団体、兵器類などは架空です。
実在の人物、団体、兵器類とは関係ありません。