

仲間は人間にしては大胆な発想を実行させた。
この未開発エリアにネメシス号を強行突入させたのだ。
しかも、娘メサイアが落とし穴に落ちる前に。
[ジャミングはOK。]
[クローキングデバイスはそのまま。]
[テイルト・ツイン・イオンエンジン点火、亜光速に切り替え、大気圏突入開始。]
狩猟士ハンターキラー・アマネスク
◇プレデター外伝◇
第十一話(最終話)
[ガギィィィィーーーン!!]火花を散らし、メサイアの狩猟の剣と私のエイリアンの槍が交差する。
私はすかさずレイザーディスク・ブーメランを投げつけた。
後退し、上下左右、縦横無尽に動き回るメサイア。
建物から建物へと飛び移り、ホーミングをかわした。
私の手元に収まるレイザーディスク・ブーメラン。
私もメサイアも、肩で息をするように成っていた。
風を感じた。
生暖かい風を感じた。
日の出まではあと一時間。
自然の風とは違う。
私には[ピン!]と来た。
これは私の宇宙船=ネメシス号の排気熱の風。
[そうか。仲間はアルミスを呼び寄せたのか。]私は左の口角をあげた。
落とし穴まであと僅かだ。
私は槍を地面に突き刺し、レイザーディスク・ブーメランを再び、メサイアに目掛け投げつけた。
[クローキングデバイス作動!]私はメサイアの懐に飛び込む為、レイザーディスク・ブーメランのあとを追うように走り出した。
どのくらいでホーミング効果が消えるかをメサイアは、どうやら学習したようだった。
鼻歌混じりに、縦横無尽に飛び回りレイザーディスク・ブーメランが私の手元に戻るのを待ち、私の位置を探った。
私が走りを止めると、逆に今度はメサイアがクローキングデバイスを作動させ、私が潜む場所(ポイント)まで詰め寄った。
私はクローキングデバイスを解除し、格闘戦に持ち込んだ。
[メサイア!これだけ近ければ、得意とする自慢の大剣技も使えまい!]
私はメサイアの右手首を掴み、力を加えた。
歯ぎしりが聞こえる。
右手首の痛みがメサイアのクローキングデバイスを解除させた。
[キャアアアアア!]


[よし。あと一息!]と思った時だったメサイアは苦し紛れに私の腰に腕を回し、褌=アンダーアーマーを引き千切った。
[なっ!何!?]
メサイアは不適な笑みを浮かべ[急所が丸見えだぞ!]と言い放った。
私は思わずメサイアの右手首を放し、突き飛ばした。
[だから何だ!アンダーアーマーなど飾りに過ぎん!]
[お前の敗けだ!メサイア!]
[お前は、わたしを仕留めるチャンスを苦しさから逃れる為に褌を引き千切った。]
[……ウグググ。]
私はアルミスに合図を送る為、右腕を頭上高く上げた。
[これでゲームセットだ。]頭上に上げた右腕を振り下ろした。
[ギュン!ギュン!ギュン!ギュン!]メサイアの真後ろに連射される中間子粒子プラズマ速射砲。
土ホコリが舞い上がり、複数の弾痕がリズム良く並んだ。
後退り出来ないメサイアはわたしを目掛け、突進して来た。
すかさずハイジャンプでメサイアを交わしたと同時に、メサイアは身体を前のめりするように、仕掛けた深さ3メートルの落とし穴に落ちた。
私は間髪入れずにネットランチャーを撃ち込んだ。
投網のように拡がり、落下、メサイアに絡み付いた。
双眼鏡で確認した仲間はアルミスに打診、アルミスによるメサイアのハッキングが開始された。


これで任務は終了と私も仲間もチームメイトも誰しもが思ったが、そうではなかった__。
[……。]
[仲間サン!直ぐにヘルメットをアマネスクに届ケテ!]
[えっ!?何!?]
[考える暇ハ無いワ!早くヘルメットをアマネスクに!]
[わ、解った!]走り出す仲間に、そこに居た皆の視線が集中した。
[ピンッ!!]と一条の閃光が走り抜けた。
次の瞬間、凄まじい爆風が私たちを襲った。
土ぼこり、破壊されたアスファルトの塵まみれの中、転がるヘルメットを見つけた。
その数メートル先に倒れた仲間が確認出来た。
落とし穴の周りには仲間の上司、天海が倒れていた。
頭上がゆっくりと黒く覆われてゆく。
わたしは空を見上げた。
[……ん!?]
[あれは……あれはメサイアの宇宙船。]
私はヘルメットを拾いに走り、ヘルメットを拾いに上げ、装着した。
[アマネスク!結論から言うワネ!]
[メサイアは操られていたワ!]
[黒幕はメサイアの宇宙船の中身ヨ!]


[……中身?]
[そう。中身。コンピュータ・ウイルスに支配されたA.Iヨ!]
[これを破壊しなければ、ワタクシたちに勝ち目は無くってヨ!]
[時間が無いワ!]
[アマネスク!メサイアを未来を守って!]その会話を最後にアルミスは通信を遮断した、同時にネメシス号のクローキングデバイスを解き、量子魚雷を発射した。
辺りが真っ白な光に包まれるのと入れ替わるように朝陽(あさひ)が射し込んで来た。

[お待たせ。アマネスク。]
通信はほんの僅かだけ回復した。
◆
息を吹き返した仲間とチームメイトたち。
私はなりふり構わず、ボロボロの身体を引きずり、歩み寄った。

[仲間。それとチームメイトよ。メサイアは無事に保護する事が、出来た。]
[感謝する。]私は右手を差しのべ、握手を交わした。
[任務は完了した。]
[お別れだ。]
私は左手のコンピュータ・ガントレットを外し、仲間に渡した。
[お前の戦利品だ。戦士の鎧(アーマー)とセットで使えば、役に立つだろう。]
◆
◆

こうして、今年の暑い夏は終わった__。
十数年後・・・
メサイアは子を産み育て、新たな部族長候補を排出した・・・



私は長老として、この娘の行く末を見届ける。

~END~
~あとがき~
この物語りは、【プレデター】シリーズをベースにしたオリジナル作品です。 舞台となる地球や一部の地名を除き、登場する人物・メカ等は架空です。※挿し絵的画像や設定文の一部は公式より引用。
挿し絵的画像はイメージです。
※印の設定は私の設定が混ざっています。