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鹿嶋少将の航海日誌second

宇宙戦艦ヤマト新作情報・二次創作他、気になったものなどをお届け(^-^)

アマゾーヌ-朧世のワルツ-第七話

2022-01-02 13:25:00 | オリジナル作品

幸いな事に、その日の晩は魔霊体の強襲はなかった。
翌朝を迎え、姉のボルチャナはバーニャの隠れ部屋へ足を運んだ。

「伯母様。お加減は?
「お粥をお持ちしました。」

「ボルチャナか。済まないな。」
「熱は相変わらずだ。下痢は今のところ落ち着いている。」
バーニャは上半身を起き上がらせ、ボルチャナが作って来たお粥を軽く二、三回、息を吹き掛け冷ましなかまら、口に運んだ。
空っぽに近い胃袋に染みわってゆく。

「茶粥か。」
「これは体力回復には、もってこいだな。」バーニャに笑みが溢れた。

「確か、ヒビキ様がお立ち寄りにる東京が在る国から伝わったものとか。」

「そうだな。米を食する文化は、この街には無かったからな。」
「先人たちが見よう見まねで土から造りから始まり、肥料等までを一から造り、今にあるんだ。」

「伯母様。薬味のツケノザワナ=野沢菜漬け、振り掛けますか?」
※みじん切りにした野沢菜漬け。

「おおっ。これは旨い。」
「食が進むな。」


 茶粥(ちゃがゆ)米をほうじ茶または緑茶(粉茶)で炊いたもの。もとは奈良の僧坊で食べられていたものが民衆に広がり定着した。 茶は木綿などで作った茶袋に入れ、湯を沸かした鍋でさきに抽出し、そこに米を入れて炊き上げる。家庭では二度手間になるので先に粥を炊きはじめ、ひととおり湯が沸き米が踊りだす早めのタイミングで投入し一緒に炊いてしまう(渋みが立つので途中で引き上げる)。 茶袋を入れたり引き上げるタイミングや、茶の量・種類などにより甘みや渋みが変わり、各家庭の味となる。塩を入れると甘みが増すが、血圧を気にする家庭では入れないことも多い。文化としては「大和の茶粥」として奈良が発祥とみられるが西日本各地で見られる。とくに和歌山県内では常食となっている他、大阪府南部・奈良県・京都府の一部地域では郷土食として食べられている。北前船の影響か山口、能登、青森、仙台でも見られるとされる。 畿内では名物として朝食として提供する旅館もある。東大寺の「お水取り」は1200年間続く行事であるが、行のあとの夜食に「ごぼ」という茶粥が出され、大和では1200年間、茶粥が食べら続けてきた可能性を示唆している。江戸時代の「名飯部類」には利休飯なるものが登場し、茶を煮出してこれを炊水として普通に米を炊き、その飯に出し汁をかけて海苔や茗荷を添えて提供するというものがある。 


◇◆◇◆◇◆


【パイドラの幻影】

「手こずっているみたいだね!?」
「世界初の大統領……いや、皇帝にまでしてやったのになぁ。」
「お前たちが甘やかすから駄目なんじゃないのか?」
三体の魔霊体を呼び出したパイドラ。





「……申し訳ございません。」

「これだけ時間を与えて、まだ六割強しか進んでおらぬではないか。」
「お前たちを復活させた意味が無いに等しい。」
「再び封印され、生き地獄の日々を送るか?」



「……そ、それだけは何卒、御勘弁下さいませ。」
「……イレギュラーが発生しまして。」

「イレギュラー?」
「何事にもイレギュラーは付きもの。」
「言い訳は要らん。」

「…………。」
「大統領の尻(ケツ)を蹴りあげ、事を急がせます!」
「あと一週間。一週間の猶予を。」

「ふん。」
「その言葉に嘘は無いだろうな!?」
「我が主は儂ほど寛大ではないからな。」
「儂の首が飛べば、解るな。」



「御意!!」



【パイドラ】


パイドラ クレータ島の王ミーノースとパーシパエーの娘として生まれた。
カトレウス、デウカリオーン(英語版)、グラウコス、アンドロゲオース、アカレー、クセノディケー、アリアドネー、の兄妹。 アテーナイ王テーセウスの妻。
テーセウスとの結婚の祝宴の席に嫉妬したアンティオペー(かつてテーセウスと結婚していたアマゾーンの女王)が、他の"アマゾーン"たちを引き連れて乱入し命を狙われるが、テーセウスに助けられ、アンティオペーは殺されてしまうが、テーセウスとの間に二子アカマースとデーモポーンとを生んだ後、テーセウスとアンティオペーの息子ヒッポリュトスへの恋をアプロディーテーに吹き込まれ、義理の息子を愛してしまう。しかし、その恋は実らず、恋文は焼き捨てられ、ヒッポリュトスに罵倒される。
彼がテーセウスに訴えることを恐れ、自分の寝室の扉を破り、衣を引き裂き、ヒッポリュトスが暴行を働いたと偽りの訴えをした。
これを信じたテーセウスは、ポセイドーンに祈り、ヒッポリュトスは戦車に引きずられて死んだ。しかしその後、自分の恋情が露見したため、自殺した。

アンティオペーは、アマゾーンの女王である。アレースとオトレーレーの娘で、ヒッポリュテーと姉妹。アテーナイ王テーセウスとの間にヒッポリュトスを生んだ。 アンティオペーはヘーラクレースがヒッポリュテーの帯を得るためにアマゾーンの国を訪れたとき、同行していたテーセウスにさらわれた。アマゾーンたちはアテーナイに遠征し、アンティオペーを助けようとしたがテーセウスに敗れた。アンティオペーはテーセウスの妻となり、ヒッポリュトスを生んだが、後にテーセウスはクレータ島の王ミーノースの娘パイドラーと結婚した。このためアンティオペーはアマゾーンを率いて結婚式を襲ったが、結婚式の出席者たちは扉を閉めてアンティオペーたちを殺したとも、テーセウスに殺されたとも、あるいはヘーラクレースに殺されたとも、またあるいはモルパディアーに殺されたともいう。 プルタルコスによればピロコロスなどの人々は、アンティオペーはヘーラクレースに同行した報酬としてテーセウスに与えられたが、アンティオペーはテーセウスに恋をして自らヘーラクレースに降伏したともいわれる。しかし、レーロスのペレキューデースやヘッラニコス、ヘーロドトスなどは、テーセウスはヘーラクレースの後にアマゾーンに遠征し、アンティオペーを捕虜にした。ビオンによれば、テーセウスは贈物を持って来たアンティオペーを騙して船に乗らせ、出航したという。メネクラテスによるとテーセウスとアンティオペーはビーテューニアのニカイアに一時滞在した。このときテーセウスの部下のソロエイスはアンティオペーに恋をしたが、そのことをソロエイスの友人がアンティオペーに伝えると、アンティオペーはこれを拒絶した。アンティオペーはそのことをテーセウスに告げなかったが、ソロエイスは絶望して河に身を投げた。プルタルコスによれば、アンティオペーをさらわれたアマゾーンはアテーナイ市内に攻め込んだため、テーセウスは神託に従い、ポボスに犠牲を捧げてアマゾーンと戦った。アンティオペーは密かに傷ついたアマゾーンたちをカルキスに運んで世話し、死んだ者たちをアマゾネイオンに葬った。



「クックックッ。」
「それでよい。」

第八話へ
つづく。


この物語りはオリジナル作品です。
登場する人物、企業等は全て架空です。
実在する人物、企業等は関係ありません。
使用している挿し絵的画像はイメージです。

アマゾーヌ-朧世のワルツ-第六話

2021-12-29 22:04:00 | オリジナル作品

列車は定刻通り、シンガポール駅に到着した。
三時間ほどの下車が認められている。
流石に三時間も停車すると有って、殆どの乗客は下車した。
私たちも下車する事に決めていたが、それに釣られるように下車した。
イレギュラーについては機関の一部で安全装置が働いた為、点検とパーツ交換の為と説明、陳謝された。
シンガポール駅に着くなり、バラライカさんが、シンガポールについて語りはじめた。
市中に出るまでには、その話も終わるかなと思ったが、市中に入っても、しばらく話は続いた。



※シンガポール・シンガポールは東南アジアの都市国家。シンガポール共和国:Republic of Singapore、マレー語: Republik Singapura、簡体字中国語: 新加坡共和国、繁体字中国語: 新加坡共和國、タミル語: சிங்கப்பூர் குடியரசு)、通称シンガポールと呼ばれる。
東南アジアに位置し、シンガポール島及び60以上の小規模な島々からなる島国、都市国家で、政体は共和制。
同国は、北はジョホール海峡により半島マレーシアから、南はシンガポール海峡によりインドネシアのリアウ諸島州から各々切り離されている。同国は高度に都市化され、原初の現存植生はほとんどない。シンガポールの領土は、一貫して埋立てにより拡大してきた。
教育、娯楽、金融、ヘルスケア、人的資本、イノベーション、物流、製造・技術、観光、貿易・輸送の世界的な中心でもあるわ。多くの国際ランキングで上位に格付けされており、最も「テクノロジー対応」国家(WEF)、国際会議のトップ都市(UIA)、世界で最もスマートな都市で、「投資の可能性が最も高い」都市(BERI)、世界で最も安全な国、世界で最も競争力のある経済、3番目に腐敗の少ない国、3番目に大きい外国為替市場、3番目に大きい金融センター、3番目に大きい石油精製貿易センター、そして5番目に革新的な国、更に2番目に混雑するコンテナ港湾。
2013年以来『エコノミスト』は、シンガポールを「最も住みやすい都市」として格付けしているのよ。
全ての主要な格付け機関からAAAソブリン格付けを持つ、アジアで唯一の国家であり、世界11か国のうちの1つである。
シンガポール航空は2018年の「世界最高の航空会社」であり、世界的にはシンガポール港とチャンギ国際空港がそれぞれ「マリタイムキャピタル」と「ベスト空港」のタイトルを連続して獲得しているわね。
そして1人当たり国内総生産(GDP)が世界で2番目に高く、国連人間開発指数で9位である。これはアジア諸国の最高値で、教育、医療、平均余命、生活の質、個人の安全、住宅などの主要な社会的指標が上位にランクインし、人口の90%が家を所有していることに由来するわ。
シンガポール島嶼には2世紀に定住が始まり、それ以降は一連の現地の帝国に属した。現代のシンガポールは、1819年にトーマス・ラッフルズがジョホール王国からの許可を得て、イギリス東インド会社の交易所として設立した。1824年、イギリス帝国は同島の主権を取得し、1826年にはシンガポールは英国の海峡植民地の1つになり、人口が加速度的に増大し、第二次世界大戦の頃は"大日本帝国"により占領されたの。
1963年にシンガポールはイギリスからの独立を宣言し、マレーシアを形成するため、他のかつてのイギリス領と結合した。この2年後、シンガポールは全会一致の議会制定法により、マレーシアから追放された。それ以来、シンガポールは急速に発展し、大韓民国や中華民国、香港とともに「アジア四小龍」の一角として認知されるようになったわ。
貿易・交通・金融の中心地の一つであり、世界第5位。それがシンガポールよ。




「そうだ。折角だから国際ショッピングモールに行かないか?」
「世界最大級のショッピングモールで、参加国の民芸品から食べ物、ファッション、スポーツ、劇場や文化、娯楽等が24時間眠る事の無い。」

「行きた~い。」
「私、一度、カジノで遊んでみたかったんだよね。」

「そうね。ショッピングモールなら治安も良いだろうし、持て余す時間も潰せるわね。」

カルヴァドスさんの提案に即決した私たちは国際ショッピングモールへと、足を運んだ。
まるで一つの街のようだ。
これ、全部が商業施設!?ってくらいに広大な広さを誇るショッピングモールだ。
例えるなら「東京ディズニーランド」のおよそ5倍くらいの広さだ。
敷地内にホテルも複数ある。
端から端まで隈なく、お店を見て歩くだけでも一日では廻れない。
勿論、無料の電動カートで移動したとしても一日では無理だ。
無料の電動カートは登録制で、借りた本人以外が乗っても走らないシステムが備わっていて、言葉は適切では無いかも知れないけど、そこら辺に乗り捨ても処罰されないし、乗り逃げされる事も無い。
時速10キロメートルが最大で、大人が自転車を走らせるくらいの速度だ。
欠点はバッテリーが小さい為か、全速で二時間ほどしか走らない。
その為って訳ではないけど、乗り捨てはほぼ見られない。
みんな充電器に接続させてショッピングを楽しむから、綺麗に並んで停められている。
無料で貸し出され、しかも充電する電力や充電代は出店協力した国が費用を負担しているし、定期的なメンテナンスの雇用等も、賃金格差が起こらないように管理されているわ。



流石に三時間だから案内図を見て、ピンポイントで移動して楽しまないと、お目当てのショップを探すだけでタイムオーバーね。
列車内で遊べるコンパクトゲームや雑貨などを買い求め、レストラン、スポーツバー、カジノと廻った。
三時間じゃなく三日くらい楽しみたかったな。と後ろ髪を引かれるように駅へ戻った。
出発からシンガポールまでが約2/3の距離、東京までは、あと1/3くらいだ。
「あと、10時間か。」と思いながら個室へ戻った。

◆◇◆◇◆◇

一方、留守を預かったバーニャは発熱と下痢に襲われていた。
夜が来る前に双子の姉妹は北の正門と南の裏門に結界を改めて張った。
その後、病に倒れたバーニャに代わり、街の民に昨夜の出来事を話、用心するように伝えた。

「しばらくは夜の外出は禁止します。」
「この出来事は怪事件の調査に向かった長:ヒビキ様に伝える為、他言無用の案件であり、盗聴や検閲される事が無く、一番安全で早く伝えられる事から、先ほど、この街に古来から伝わる伝書鷲を飛ばしました。」

「わたくしたちが協力して、この街をアマゾーヌを守るしかありません。」

集会所に集まった民たちは無言で頷き"戦"の準備に入った。
平素を装うい準備を進めた。
それぞれの家庭には地下室が設けてある。
普段は倉庫代わりに使い、武器などを隠し、戦の時には非常食を持ち込み、子供たちの隠れ場所となる。
牧畜場から馬だけを連れ出し、各家庭に配置した。
これはアマゾーヌの民の戦は基本的に騎馬戦であるからだ。
こうして、予想される夜戦に備えて行った。


第七話へ
つづく。

この物語りはオリジナル作品です。
登場する人物、企業等は全て架空です。
実在する人物、企業等は関係ありません。
使用している挿し絵的画像はイメージです。


アマゾーヌ-朧世のワルツ-第五話

2021-12-27 21:01:00 | オリジナル作品

話を終えた私たちは再び個室に戻った。
展望車で話を聞いていた時よりは、イライラは治まっていたけど、スカッとしたくて仕方なかった。
私はシャワーを浴びる事にした。
各個室には少し狭いけどシャワーが設置されている。
列車に備わる設備だけど、やっぱり一等の客車だけの事はある。
お洒落な造りで、気分はそれだけで解(ほぐ)れた。
全面ガラスのシャワーボックスって感じね。
特殊ガラスでイルミネーションが仕込まれているわ。
最初は「えっ!?」って思ったのよ。
そりゃ、個室のシャワーだから誰々が観る訳では無いのだけど、全面ガラスはなぁ。いくら身内でも私は姉と違って恥じらいはある。
でも、シャワーボックスの扉の横に説明が貼ってあり、それを読んだら安心出来たわ。
イルミネーションの他には雪の結晶が拡大されて映し出されたり、海の中の風景だったりと、バリエーションが幾つかあるの。
テンション上がりながらシャワーボックスへ。
鼻歌、歌いながら浴びるシャワー。
ついさっきまでのイライラは何処へやらと。
シャワーを終え、シャワーボックスから出た私はベッドへ向かうと、ベッドの上に一枚のメモ紙が置いてあるのに気がついた。
姉の置き手紙だった。
そう云えば、姉の姿を見かなかったが、気にも止めなかった。
置き手紙にはカルヴァドスさんたちの部屋へ行ってます。と書いてあった。
私も身支度整えて行こうと思い、髪を乾かしはじめた。

「疲れ、貯まってたかな。」
「少し眠くなって来たな。」と思いながらも髪を乾かした。
けど、物凄く睡魔に襲われ、いつの間にか寝落ちしていた。


【夢魔シルヴィ】

「夢霊波動、浸透したみたいね。」

「お待ちしていましたわ。ミヤビ。」

「ん!?」
「気安く呼ぶ貴女は誰?」

「私!?」

「私は貴女。貴女の心よ。」
「夢の旅人とも云うわ。」

「……夢。」
「あっ。髪を乾かしてたら睡魔に襲われ、そのまま寝落ちしたんだっけ。」
白いとんがり帽子に白を基調とした、おとぎ話に登場する魔法使いが着るようなメルヘンスーツを着た少女。
メルヘンスーツには色とりどりの大小さまざまな宝石がちりばめられていた。
その少女は夢の中の私だと云った。
メルヘン的なのも悪くないけど、私には不向きかもと思った。

「今、不向きと思ったでしょ。」図星だった。
「不向きなんかじゃないわ。貴女の深層心に居る私だもの。」
「貴女には愛が足らないわ。」
「今から、たっぷり愛を育みましょう。」
と少女は私に覆い被さって来た。

「わわわわわわわぁぁぁぁぁぁぁーー。」



「な、何だよコイツ!」
「変身しやがった!」
「て云うか……こ、コイツ重く成りやがった………。」

「うふふ。」
「抵抗しても無駄よ。」
「今からアタシが貴女を快楽=煩悩の世界へ堕としてア・ゲ・ル・わ。」
「楽しみなさい。」

「なっ、何だよコイツまた、変身しやがった………。」

「………や、やめてよ。」
「そんなところ……触るな……よ。」

だが、そこへ姉のヒビキがカルヴァドスさんたちの部屋から戻って来た。
あまりにも私が遅いので、様子を見に来たのだ。
ただ、部屋の前には乗務員が立っていた。
部屋の中を伺うように立っていた。



「あら、乗務員さん!?」

「あっ。この個室のお客様ですか?」

「ええ。」
「何かご用ですか?」

「いえ。たまたま通り掛かったら部屋の中から大きな物音が、致しましたので。」

「そうでしたか。」
「妹が居るはずなんですけど」とキーを回した。

「何事も無いようでしたら私は、これで失礼します。」



「チッ。」

私は完全に寝ていたようだ。
でも、彼処で姉が戻って来なかったらと考えると、少し怖く成った。
嫌な夢だった。
リアル過ぎるくらいの夢だった。

「ミヤビ。」
「ううん。」と返事が返った事で姉は、安堵の表情を浮かべたようだった。

「ミヤビ。大丈夫?」
「急な事だらけで疲れでも出たかしら?」
「まぁ。大丈夫そうだけど、ミヤビ。服くらい着なさい。」
「セキュリティーは万全な列車だけど、万が一って事もあるからね。」
「いくらミヤビ。貴女が強くても、裸じゃ防御優先になりがちだからね。」

私は裸である事に、たった今、気がついた。「カァー。」と顔が紅くなるのが解った。

「でも、参ったよ。」
「突然、眠く成って寝たまでは良かったけど、嫌な夢を観たよ。」
私はうつむき加減で云った。

「嫌な夢?」

「そう。」
「なんて云ったらいいか、エッチな夢。」
「しかも……しかも同性の。」

「ミヤビもお年頃かな。」
「とにかく、服を着なさい。」

私はようやく身支度を整えた。

「お昼、食べたら少し、ゆっくりなさい。」

「……そうするよ。」

「私は軽く室内で出来る筋トレするから。」

昼食を取り、姉は筋トレ、私は軽く昼寝する事にした。
今度は、姉もそばに居るから安心かな。
一時間ほどで、目は覚めた。
姉はまだ筋トレ中、私も筋トレをはじめた。
寝て食べてだけじゃ身体が鈍(なま)るからね。
私が筋トレをはじめて30分くらい経ったところで、一段落したのか姉はシャワーを浴びにボックスへ入った。
鼻歌が聴こえて来た。
やっぱりテンション上がるよね。と思った。

「コンコン。」とドアをノックされた。
私は、そ~とドアに近づき「どちら様?」と訪ねた。

「カルヴァドスです。」

私は鍵を空け、「どうぞ。」と招いた。

「次の停車駅シンガポールで三時間ほど停車するらしい。」
「予定外のイレギュラーだ。」
「まぁ。でも気晴らしに下車も可能らしいので、散歩しないか?」

「良いわね。」
「姉は今、シャワー浴びてるから出たら伝えておくわ。」
「それで、シンガポールには、あと何れくらい?」

「二時間後くらいだ。」
「如何なる時でもトレーニングは欠かさないんだね。」

「そうね。暇潰しにも成るから。」
「良かったわ。シャワー浴びれるわ。」と笑顔を覗かせた。

「じゃあ。二時間後に。」要件を伝えてカルヴァドスさんは自室へ戻った。


第六話へ
つづく。

この物語りはオリジナル作品です。
登場する人物、企業等は全て架空です。
実在する人物、企業等は関係ありません。
使用している挿し絵的画像はイメージです


アマゾーヌ-朧世のワルツ-第四話

2021-12-23 16:13:00 | オリジナル作品

「くっ……苦しい………。
「もう限界だ。」この言葉がバーニャの頭の中で自身の声で"こだま"のように何度も繰り返された。
注入される唾液の量が増してゆくのを感じていた。
バーニャの全身から脂汗が吹き出て来たのと同時に、ねじり込まれた触手の隙間から唾液混じりの便が染み出て来てしまう。

「ん!?」
「おやおや、寄生虫ナールには栄養素が隙間から滲んで来たね。」
「バーニャとか云ったね!?」
「何やら滲んで来たね。」
「巫女様で戦士がお漏らしかな?」
「お前が街を明け渡すと宣言すれば、この苦痛から解放してやるよ。」

「宣言致します。全てを受け入れます。」「どうか苦痛から解放して下さい。と誓え。」

「……悔しい。」
「もう限界です。どうか、もうやめて下さい。宣言し、誓います。」と、お願いすれば楽に成るかも知れないと、そう思い始めた時だった。
妹のカウニャが叫んだ。

「姉様!」
「これ以上、伯母さまを、伯母さまを苦しめられない!」
「伯母さまの云う通り、式神を召喚しましょう!

「姉様ッ!!」

姉妹は式神を再び召喚した。

「古の契約を今、果たす時、わが剣と成り目の前の魔霊体を滅ぼせ!!
式神の召喚と同時に雲の切れ目から朝日が射し込んだ。
魔霊体は思わず、両手で掴んでいたバーニャの両足から手を放してしまう。

「ギャァァァァーーーッ!!」
「陽の光だと!?」


「……!?」
「コイツ。陽りに弱いのか?」

魔霊体が手放した事で、完全に解放された訳ではないが、自由度は増した。
「反撃させて貰うから覚悟しろよ。」と頭に思い浮かべたバーニャは、先ずは自身の体内にねじり込まれた触手を鷲掴みにし、寄生虫が入り込まぬよう、慎重に抜いた。
危ないところだった。
寄生虫は触手(舌)の先端まで来ていたのだ。
陽の光が苦手なのか、天敵から身を守るように縮んで行った。
やがてカチカチに固まり、動かなく成った。

「散々、苦痛を与えてくれた礼を返してやるよッ!!」

「破頭拳ッ!!」

「ブシャ!」と鈍い音と共に破頭拳の衝撃で地面が抉られ、紫色の体液を散らし寄生虫は死に絶え、魔霊体は式神によって成敗された。
だが、この時は気がつかなかったがバーニャの身体は、魔霊体の唾液によって蝕まれていた。


【魔霊体四天王コマンダ】

「流石に、この街は一筋縄では行かぬか。」と街の正門の上から高みの見物を決め込んでいたコマンダは一度、街から姿を眩ました。

◆◇◆◇◆◇

一方、マリンエクスプレスの展望車に移動した私たちは、最後尾のカウンターテーブル席に腰を下ろした。
すぐにウエイトレスが寄って来る。

「何かお飲み物をお持ちしますか?」

「そうだな。」
「サトラガ・クーラーを4つ。」
メニューを見る事なくカルヴァドスは注文した。

「かしこまりました。」

数分後、注文したサトラガ・クーラーが運ばれて来た。
ジンジャーエールをベースにしたノンアルコールの炭酸飲料水だ。


サラトガ・クーラーは、クーラーと名が付いているものの、ノンアルコールカクテルである。
※クーラーとは、酒に酸味を加え、炭酸飲料で割ったカクテルの事。
サラトガとは、アメリカのニューヨーク州に存在する町の名前。なお、ノンアルコールカクテルの中には、わずかにアルコールを含有したものもあるが、これについてはアルコール度数0%である。

クラッシュド・アイスを入れたコリンズ・グラスに、ライム(ジュース)とシュガー・シロップを注ぎ、ジンジャー・エールでグラスを満たし、軽くステアしたドリンクだ。
ライムは、その場でウエイトレスが生のライムを絞った。
とてもフレッシュだ。

「お飲みになるまえにストローで軽くステアしてから、お飲み下さい。」


カルヴァドスはチップを渡した。
「此方から呼ぶまで、私たちの世話はしなくて良い。」と告げた。
澄ました顔で「かしこまりました。」と去って行った。

「さて、東京には約24時間後に到着だ。」

「魔霊体の話は出発前に話した通りだ。」
「ここから話す事は何故、統一大統領が、この事件に関わっているかを話すとしよう。」

話によれば、統一大統領が推し進める"不老不死"電脳化システムによって、身体をサイボーグ化し、更に電脳化すれば、魔霊体に成らずに済む。と施工前に告げられるそうだ。

「今、世間に拡がりをみせている奇妙な怪事件から身を守事が出来るとね。」

「……成る程ね。」
姉は呟くように云った。

「でも、身体をサイボーグ化するだけで、何も電脳化する必要までは、要らないんじゃない!?」私は疑問を投げ掛けた。

「普通ならそれでも構わないのだけど、厄介なのは、魔霊体は生の脳をコントロールするんだ。」
「サイボーグ化は死ぬ事の無いと云うか、パーツさえ交換んすれば、ほぼ永久的に生きられるが、脳死は避けれないだろ?」
「それに魔霊体に好都合なんだ。」
「魔霊体の意思のままにコントロール出来るのだからのね。」

そう。民には死の恐怖を煽り、「不老不死」を薦め、その時の年齢を維持出来ると電脳化を推奨、これがある程度と浸透したタイミングで、魔霊体による怪事件と魔霊体に感染すると脳をコントロールされると発表した。

「これで民は、このシステムにしがみつく。」
「それこそ統一大統領の狙いだ。」
「統一大統領は全てを支配下に置く為にね。」
「電脳化によって全ての民のデータを管理する。」

「す、全てを!」思わず私は大きな声で聞き返した。
私たちの方へ一時的に視線が集まった。

「そう。全てだ。」
「年齢、性別、癖、家族など基本的な事から好きな食べ物、恋愛や趣味等々だ。」
「プライベートなど無い。」

「……たまったものじゃないわね。」

今、話せるのは、ここまでだ。カルヴァドスは話を終えた。
東京に居るという協力者は更に独自で調査しているらしく、もっと詳しく話しを聞けるとの事だった。
私たちの共通の目的が、これでハッキリした。
魔霊体を駆逐、統一大統領を解任。
怪事件はでっち上げと公表する。である。

「こんな事、許されない。」私は握った拳を震わせていた。


第五話へ
つづく。

この物語りはオリジナル作品です。
登場する人物、企業等は全て架空です。
実在する人物、企業等は関係ありません。
使用している挿し絵的画像はイメージです。


アマゾーヌ-朧世のワルツ-第三話

2021-12-21 20:52:00 | オリジナル作品

興奮して中々、寝つけなかったが、いつの間にか寝落ちしていた。
旅が始まって最初の朝を迎えた。
ごそごそと私が起き出すが、既に姉は身支度を整えて彼らが呼びに来るのを待っていた。
海中トンネル内に朝日が飛び込んで来た。
ギラギラと散りばめられた宝石のように拡散して朝日は降り注いだ。
浅瀬に生息する魚たちが、その朝日を歓迎するかのように舞を披露している。
もう。これだけでテンションは上がった。
約束の午前7時、カルヴァドスさんたちが朝食の迎えに来た。
食堂車の座席は既に予約席とテーブルに置かれていた。
入り口で乗務員に名前を告げると「ニコリ」と笑顔を覗かせ、案内された。
予約席に腰を下ろすと案内した乗務員と入れ替わるようにウエイトレスがメニューを持って来た。
「お決まりになりましたら、お声をお掛け下さい。」と。直ぐに席から移動した。
私は読書をするようにメニューの端から端まで目を通した。

「……う~ん。悩む。」
「何れも此れも美味しそうなものばかりだ。」

「苦手な食べ物は有りますか?」と彼ではなくバラライカさんが云った。

私たちは比較的、食に関しては好き嫌いは無かった。

「いえ。特に苦手な食べ物は有りませんわ。」姉は即答した。

するとバラライカさんは目線をカルヴァドスさんへ送った。
カルヴァドスさんはそのまま、右手を軽く上げ、ウエイトレスを呼び、開いたメニューを指差し、4セット頼んだ。

「すみません。迷われていたようなので、此方で勝手に決めました。」

「いいえ。助かりました。」

カルヴァドスさんの行為に姉は気遣いの返事を返した。

数分後、オーダーした朝食が運ばれて来た。
プレートの右下にカリカリに焼いたベーコンを下敷きに半熟焼きの目玉焼き、右上には千切ったレタスとスライスされたトマトの半身、それと一口くらいにカットされたモッツャレラチーズ、左側には温かいアップルパイ。
それとは別に、バケットの中には軽くトーストされた厚さ3センチくらいに程よい大きさで斜(はす)にカットされたフランスパンが、行儀良く詰められていたものが置かれた。
淹れたてのブラックコーヒーがお洒落な器に注がれた。
レタスとスライストマトとモッツャレラチーズには、お好みでブラックペッパーとオリーブオイルを掛けて、スライストマトにモッツャレラチーズとレタスを挟んで食べると教わった。
ナイフとフォークで目玉焼きを食べたのもはじめてだった。
バケットのフランスパンは無くなれば、勝手にウエイトレスが運んでくる。
朝から肉料理を食べる事があるけど、それは夕食の残りだ。
フォークは使うがナイフなんて切り分けに使うくらいで、一人一人が使う事など、滅多に無い。
私には、お洒落過ぎる朝食だったけど、「おかわり自由なパン」は嬉しく思えた。

「おおお。」
「豪快な朝め……朝食ね。」
ちょっとはしゃぎ気味の私に姉は苦笑い。

殆ど会話は無く、と云うか魔霊体の話は気まずくなるから、ごく自然に無言だった。
あまり無言も不自然だから私的に水族館に居るみたいな感覚の話を振り撒いた。
軽い笑い声でテーブルは賑わった。
朝食を終えた私たちは、その足で展望車に誘われた。

◇◆◇◆◇◆



式神による説法攻めがはじまった。
魔霊体は一瞬、弱まるも耐えていた。
やはり、何かが違う。
通常の魔霊体なら、この攻めでほぼ浄化し、消滅するのだけど、霊体は無理矢理、体制を維持されているように感じられた。

「……式神の攻めに、これ程までに耐えれる魔霊体などあり得ない。」バーニャは呟くように云った。
式神に念を送るボルチャナ姉妹に精神的疲れが見えはじめていた。
バーニャが加勢に加わるが、苦しみながらも魔霊体はバーニャとの間合いを詰めて来る。

「……このままではボルチャナたちがもたない。」
「ボルチャナ、カウニャ、術を解くよ。」
「格闘でもう少しダメージを与える。」

ボルチャナ姉妹は術を解いた。
同時にバーニャの頭部を目掛けた回し蹴りが炸裂した。
連打で蹴りを喰らう魔霊体はヨロヨロと後退りしながら大地に仰向けに倒れた。
ここぞとばかりにバーニャは空中高くジャンプし、腹部に、そのまま全体重を乗せた蹴りを喰らわせた。
口から泡を吐き出す魔霊体。
ピクピクと痙攣がはじまった。
誰もがバーニャの勝利を確信したのだが・・・

「なっ!?何ッ!!」
バーニャの足を鷲掴みした魔霊体は苦痛に顔をしかめながら、そのままバーニャを引き倒した。

「伯母さま!!」

「動くな!!小娘ども!!」

引き倒したバーニャの両足を持ち、立ち上がる魔霊体は一気に限界までバーニャの足を開いた。

「ああああああああああーーーッ!!」

眉間にシワを寄せるバーニャ。

「動けばこのまま引き裂く。」
「大人しく寄生を観ていろ。」

バーニャは腹筋力で上半身を起き上がらせようと抵抗するも、更に両足を開かれ、起き上がらせる事が出来ず、痛みから身体を揺らしていた。
丸出しの下半身に魔霊体の長い舌が潤滑油を塗るように「ピチャッピチャッ」と嘗め回した。
苦痛と恥ずかしさからバーニャの顔が紅く染まった。

「ううう。」
「や、やめろ………。」

長く伸ばした舌は外括約筋をほぐすように嘗めまし、ほぐれ具合を見計らい内括約筋にねじり込むように挿入、再び丹念に嘗め回した。

「クククッ。」
「だいぶ緩んで来たな。そろそろ頃合いだな。」
「巫女とは云え、これだけ丹念に、ほぐされては心とは裏腹に受け入れ体制を整えるようだな。」

「アハハハハハッ!」

「よ~し。直腸までが緩んで来たな。」そう云うと魔霊体は舌を変形させた。
海洋生物である蛸の手足のような形状だ。
いわゆる触手である。
太さは先端で2センチくらいで5ミリくらいの吸盤のようなイボイボが付き、その区間の長さが10センチ程だ。
それを過ぎた辺りから3センチ台の瘤(こぶ)状で数珠繋ぎにしたような形状が更に10センチくらい続く。
徐々に太さは増してゆく感じて、最大で5センチくらいの太さが有り、再び細く成り、根元の辺りで、やや太く成っている。

「甘い鳴き声に変わって来たな。」

触手が直腸を押し広げながら上部直腸まで入り込んだ。
瘤状の部分が全て入った。
触手は何かを押し出すように膨らんだり縮んだりしながら動きはじめた。


【魔霊体寄生虫ナール蟲】イメージ



「気を失わぬようになよ。」
「次はお前ら姉妹だ。」
「順番を決めておけ。」

「クククッ。」と告げながら不適な笑みを浮かべた。

ナール蟲。
銀河系最外縁部偏狭の名も無き小さな自由軌道惑星に生息する体長3~5センチに成長する高等生命体(蟲)である。
寄生した生命体の細胞情報=DNAに自身のDNAを追加、書き換える事で、その生命体を支配する。
腸内に寄生、栄養素を吸収する。
寄生体をコントロールしやすくする為、「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」「アドレナリン」そして寄生体が雄なら「アノドロゲス」を雌なら「エストロゲン」をより多く直接、脳に放出する。

「………こんな事くらいで……気を失う程………柔じゃない……ッ!」
「ボルチャナ、カウニャ!式神を唱え私ごと葬れッ!!」





「!!ッ」
「伯母さま………。」

「……何を…何を躊躇っている?」
「私ごと葬らなければ、この街は救えない……ッ!」
「……私が寄生されれば………皆が……皆が寄生してしまう………。」


「ふん。させるかよ。」
「お前を興奮させ、直腸の動きを活発化させてやる。」
触手のイボイボの部分から唾液をチョロチョロと吐き出しはじめた。
吐き出された唾液に直腸を刺激する成分が含まれているようで、便意を催してしまう。

「……なっ、何をした……。」
「や、やめろ………やめてくれ………。」

「嫌だね。」
「そら、もっと催せ。

「やめてくれ……これ以上されたら………。」

寄生虫ナールの動きが活発化した。
あと数センチで上部直腸へ寄生虫ナール蟲は達してしまう。
そうなればバーニャの腸から寄生虫ナール蟲は栄養素を吸収し、24時間で、あらゆる細胞のDNAを書き換え、例え腹を切り裂き寄生虫ナール蟲を取り出し殺しても書き換えられた細胞がバーニャを不死化し、一週間後には魔霊体化し、最後は脳をコントロールてしまうのだ

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第四話へ
つづく。

この物語りはオリジナル作品です。
登場する人物、企業等は全て架空です。
実在する人物、企業等は関係ありません。
使用している挿し絵的画像はイメージです。