鹿嶋少将の航海日誌second

宇宙戦艦ヤマト新作情報・二次創作他、気になったものなどをお届け(^-^)

with・EVE-イヴ-「第十一話」

2021-07-23 13:45:00 | オリジナル作品
顔を見合せる私たちは更に驚かされた。

「ドーーーーーンッ!!」

大きな物音と土煙が舞い上がる中、それは現れた。


【ウイルス生命体χ-カイ-】

それは、小悪魔のような尻尾を生やし、右目を眼帯で隠し、全身を看護師のようなコスチュームに包んだ少女だった。
私たちよりも、炎の四天王ファイヤー・ドレイクの方が驚いていた。

「……お前、確か………。」

「……痛ぅ………。」
「あっ!!」
「ファイヤー・ドレイク……様!!」
「……いや、最早、上官でもないから"様"はいらないわね。」

「変異ウイルス生命体χ(カイ)!!」
「何をしに来た?」
「お前、さてはエデンを追い出されたな。」

「ご名答。」
「サマエルにも失望したわ。」
「あっ!そうそう。チャーリーたち。お土産があるわ。」

「ぐぐぐっ!」ファイヤー・ドレイクの驚きは怒りへ変わった。
「何をごちゃごちゃと!」ドレイクはバクテリオ・マジックをχ(カイ)目掛け、放った。

「残念ね。アタイちゃんを甘く見ない方がいいわ。」
バクテリオ・シールドに守られたχは「ニヒッ。」と笑顔を覗かせながら云った。
いや、バクテリオ・シールドとは異なるものだった。
身長2メートルを超える筋骨隆々の大男が壁のようにχ(カイ)の前に立ち塞がっていたのだ。


【試作人造人間アダム・シュタイン】

「アダムちやん。ありがとう。」
「チュッ。」
投げキッスを送ったχ(カイ)。

「アダムちやんはアタイちゃんのボディーガード。」
「アタイちゃんが造った試作アダム型人造人間よ。
「その程度のバクテリオ・マジックじゃ倒せないわね。」

「ニヒッ。」

アタイちゃんはね。
エデンの繁栄の為に、このアダムちやんを造ったのだけど、サマエルの逆鱗に触れたのよ。
アタイちゃんは繁栄には力強いく生命力の強い漢が必要だから、交尾するだけの為の男(エサ)は所詮、餌にしか成らない事から、アダムちやんを造ったの。
完成には"知恵の実"が必要で、一つ拝借しようとしたら逆鱗に触れ、追放されたわ。
知恵の実を与えてないから、"感応波"が必要不可欠。

「今は、感応波で操るマリオネットなの。」

「で、チャーリーたちへのお土産は、コレ!」と注射器のようなものを向けると、それを素早くワンとツー、目掛け中身だけを放出、浴びせた。

「……なっ!?」
「何を!?」

「心配いらないわ。直ぐに慣れるわ。」

「そんな事は聞いて………。」

「ああああああああああああああああーーーッ!!」

「貴女たちはこれで変異したわ。
「今まで以上にハイパワーに上がったはずよ。」


【変異(体)化ウイルス生命体ガンマ・ワン(チャーリー・ワン)】

【変異(体)化ウイルス生命体ガンマ・ツー(チャーリー・ツー)】

「……ハイパワーなのは良いが……より人間から離れたように思えるぞ!」

「大丈夫…だよ。」
「時が来れば人間に近づく……。」冷や汗をかくχ(カイ)は苦笑いしながら応(答)えた。


第十二話へ
つづく。


この物語りは架空のフィクションです。
登場人物、メカ等は架空です。実在する人物とは関係ありません。
挿し絵的画像はイメージです。

猟犬たちの仮面舞踏会◇宇宙戦艦ヤマト2199ストリート◇後編

2021-07-18 18:53:00 | 宇宙戦艦ヤマト2199外伝
「……ん!?」
「……これは……キャプテン。」
UX-01ソナー士は右耳のヘッドホンを右手で押さえながら、静かにフラーケンを呼んだ。

「どうした?」

「これを。」左耳のヘッドホンをフラーケンに渡し、言葉を添えた。

「この亜空間内に自分たち以外に潜むものが在ります。」
「高速スクリュー音。亜空間魚雷です。」
「音からして、おそらく二本(ふたほん)。」

「うむ。」
「ハイニ。無音急速潜航。」
「亜空間深度600へ。」目を細め、蓄える口髭を左右になぞりながら、これも静かに命じられた。

「アイサー。」
「操舵士。ダウントリム20°無音急速潜航。」
「亜空間深度600。」

「ダウントリム20°無音急速潜航、アイサー。」
「亜空間深度600へ。」

ガトランティス次元潜航艦アスタロトが亜空間魚雷を撃ち放って一分が過ぎた。
距離にして2.000亜空間メートル手前で、このスクリュー音をキャッシュしたソナー士の耳。
現在、UX-01でいや、ガミラスでソナー士の聴力を超える者は居ない。
だが、そんな誇りに思うソナー士に匹敵する聴力の持ち主が、ガトランティス次元潜航艦アスタロトにも存在した。

「レイピア様!」
「ガミラス艦は、どうやら此方に気がついたようです!」
「無音のつもりでしょうが、微かに機関音をキャッチ、潜航して行きます!」

「……ほう。」
「貴様と似た耳を持つ者がガミラスにも居たとな。」
「副長。亜空間ピンガーを一度だけ打て。」

「……ピンガーでありましか?」
「此方の所在を教えてしまいますが。」

「構わん。我々の存在を見抜いた相手だ。」
「次の一手の探りを入れる。」

「アイサー。」

広大な亜空間内に反響音が環を描くように拡がってゆく。
小さな反響音とそれより大きな反響音が帰ってくる。
小さな反響音は二つ。
先ほど撃ち放った二本の亜空間魚雷だ。
もう一つの大きな反響音はUX-01の反響音だ。


【白色彗星帝国ガトランティス・バルゼー第七機動艦隊-第十テレザート星捜索戦隊戦隊長(次元潜航艦アスタロト艦長)アイ・レイピア】

肌の色はガトランティス人特有の薄めの黄緑色だ。
年齢は地球人に換算して22歳。
銀髪のショートヘアで紫色の瞳が特徴。
ゴラン・ダガーム同様に大帝ズォーダーから指揮官としての証である剣を授かっている。
ダガームとは異なり、細身の剣、レイピアタイプだ。
右手にはガントレットを装着し、黒を基調とした喪服をアレンジしたジャケットタイプの上着とショートパンツを着用している。
これはガトランティス軍所属の規定に反するものだが、時期大帝を即位するミルがまだ幼い頃、ズォーダーの政策に異義を唱えた反逆者によって暗殺仕掛けられた時に衛兵長だった先代のアイ・レイピアがミルを庇い命を落とし、現在のアイ・レイピアは喪に服した際に着用していた喪服である為、大帝は士気が下がらないのであるならばと、特別に許可を出すと同時にガトランティスの剣=レイピアを貸与された。
それ以来、アイ・レイピアは、この喪服を着用している。
貸与されたレイピアは対であるとも。
身長は割りと高いようで178センチ程有り、おまけに踵高10センチ以上のブーツを履く。
そして、もう一つ大帝から極秘に授かったものを秘めているとも。
これについてはサーベラーをはじめ高級士官たちも、触れては成らないと戒厳令が敷かれている。ただ一人を除いて。

「レイピア様!」
「ピンガーの反響音からして、奴らガミラスは亜空間魚雷の圧壊深度600以上を目指しているかと!」

「うむ。」
ガミラスの次元潜航艦も深度600以上、潜れる艦(ふね)か・・・
とレイピアは「ニヤリ。」と不適な笑みを浮かべ、同深度を取るよう命じた。

「操舵士。無音潜航。」
「亜空間深度600へ。」

一方、UX-01でも探りを入れていた。



「ハイニ。蛮族=ガトランティス人は、わざわざピンガーを打て来た。」
「俺たちへの挑戦(せんせんふこく)と云う事だ。」

「ソナー士。奴の動きは?」

「はっ。無音に切り替えたようです。」
「申し訳ありません。一分前にロストしました。」

「気にするな。」
「一分前の位置は解っているな!?」

「はい。それは勿論。」
ソナー士は亜空間(海)図=マップをモニタに開き、指を置いた。

「なるほど。」

「砲雷士。亜空間魚雷、全門装填。」
「俺の合図で全門、発射せよ。」

「操舵士。アップトリム5°深度500へ。」
「ソナー。音紋を取れ!

「アイサー!」

亜空間深度500へ浮上と同時にフラーケンは回頭、潜航して来るアスタロトの正面と予測した方向へ、全六門の亜空間魚雷を発射させた。
これにより、レイピア座乗艦アスタロトは機関を最大に更に潜航させた。

「キャプテン!ガトランティス艦、機関最大で更に潜航!」
「撃ち放った我が亜空間魚雷、迷走!」
「交わされました!」

「音紋はバッチリです!」

「うむ。」
「砲雷士。全門装填。」
「今度はフォーミングで装填せよ。」

「……?」
「ソナーより発令!」
「深度600の真下から高速スクリュー音!」
「音からして六本!おそらく全門発射かと!」

「機関長!機関停止!」
「操舵!進路、深度、このまま!

「……機関停止?ですか!」
機関長は目を丸くし、質問した。

「そうだ!機関停止だ!」
「沈みたくなければあと10秒で止めろ!」
あの状況から潜航して更に回頭し、魚雷を発射したと成れば、奴らはUX-01(この艦ふね)の音紋を既に入手済みだ。
俺たちか慌てて潜航すると予測してのホーミング魚雷だ!

「操舵!無音ダウントリム90°!」
「艦首を真下に回頭急げ!」
UX-01は位置を変えずに回頭を開始した。

「全門発射せよ!」

この状況下で次の戦闘に備えるなら、セオリー通りならアスタロトは深度600であることから、無音でそのままやり過ごす事も想定されるが、亜空間魚雷圧壊による影響を考えれば、やり過ごす事は考えにくい、更に潜航させる。
だが、フラーケンの読みは違う。
浮上だ。
何故なら、二度手間だからだ。
潜航し、魚雷圧壊の影響を避け、再び浮上し、攻撃を仕掛ける手間を考えると、UX-01と同じ深度に浮上し、攻撃を仕掛けると読んだのだ。

「ビンゴ。」だった。
アスタロトはUX-01と同じ深度に浮上、攻撃を仕掛けて来た。

「……スクリュー音4つ!!」

「やはりな。」
「魚雷、一番から四番装填!」
「無音、急速潜航!」

「けりをつける。」



「レイピア様!」
「スクリュー音2つ!前方より急接近!!」

「やはりな。」
「急速潜航ッ!!」

「……ん!?更にスクリュー音2つ!!」
「先の魚雷、コースターン!我がアスタロトに喰らいついてますッ!!」

「操舵士!そのまま無音に切り替え、潜航せよ!」
「通常亜空間魚雷とホーミング魚雷の二段階構えだ!」

「……待って下さい!あとから感知した魚雷もコースターンッ!!」

だが、それは違っていた。
フラーケンは二段階構えと見せかけ、全て通常亜空間魚雷を時間差で尚且つ、移動するであろうポイントを入力した魚雷を放っていたのだ。
無音航行にしたところで交わせる訳もなく、UX-01の放った亜空間魚雷の餌食と成ってしまう。

「やりましたね。キャプテン。」
「撃沈スコアにプラスされました。」腰に手を宛がい右の口角あげながら、ハイニが云った。
内部で誘爆を繰り返しながら沈降するガトランティス次元潜航艦アスタロト。



敵ながら「あっぱれ。」と誉めたいけど、我々をそこら辺の艦長やクルーらと一緒にした事に後悔して頂こうかね。
レイピアは不適な笑みを覗かせた。

「奥の手があったんだよね。」
「奥の手がね。」

沈降するアスタロトから小型次元潜航艇ネビロスと共にレイピアらクルーは脱出していたのだ。

「爆沈するアスタロトに気を取られている隙に我々は貴艦に忍び寄る。」

※全長60メートルの小型次元潜航艇ネビロスは音を消し、UX-01上部に接岸するがの如く、着艇させた。

「グワン!」と音を響かせ着艇した。
エアロック室の真上だ。
百戦錬磨のフラーケンも息を呑んだ。


「くっ。」
「ハイニ。どうやら招かざるゲストがお越しに成ったようだ。」
「歓迎の仮面舞踏会と行こうか。」

「総員に発令!」
「総員!白兵よーーーい!」

エアロック室を占拠したレイピアらは司令塔を目指し、雪崩れ込んだ。



「目指すは司令塔だッ!」
「この艦(ふね)を頂く!!」

当たれば死に直結する光線が所狭しと飛び交う中、レイピアは一際、目立っていた。
細身の剣=レイピアを両手に華麗な剣さばきに魅了されてしまいそうなくらい鮮やかに、そして軽やかに舞っていた。

「レイピア様。」
「司令塔にはここから昇るしかないようです。」
「自分があのハッチを爆破します。」
「少し、下がって身を隠して下さ………。」

「グハァ……。」
レイピアの右手から滴り落ちる血液。

「タンッ!タンッ!タンッ!」後方から響く銃声。
伝導管パイプにぶら下がるように半身を覗かせるハイニ。
ゆっくりと振り替えるレイピア。
半身を覗かせるハイニの真下にはレーザーナイフやパルス拳銃を手にする01のクルーたち数名。
床に目を向けるレイピア。
転がる部下たち。
レイピアは死を覚悟し、ハイニ目指し走り出した。

「バシュッ!!」

ハッチから覗かせるインカムとゴーグルを装着し、右手にショックガン=(スタンガン)を構えるフラーケンは、口を開いた。

「命は助けてやる。尋問する者が一人も居ないじゃ総統も、詰まらんだろうからな。」
「パーティーは終わりだ。」
「貴女(アンタ)の戦術、悪くなかったぜ。」


◆◆◆◆◆





「キャプテン。これが医療ドロイドの出した報告書です。」
「所属部隊と名前、それと階級しか口を割らず。」
「よほど腹、減ってたのか差し出した食事はペロリとたいらげましたよ。」

「……なるほど。肌の色以外は我々ガミラス人と同じか。子を宿す事も可能か。」

三十分後、仮の修復を終えたUX-01は予定を変更し、直接バラン星へ進路を向けた。


~the.end~


この物語りは、リメイクシリーズ【宇宙戦艦ヤマト2199】の外伝的オリジナル二次創作外伝です。
挿し絵的画像はイメージです。