素晴らしき茜空の会

主に特撮番組の感想文。ブログタイトルは仮面ライダーキバに登場する「素晴らしき青空の会」より。

仮面ライダーエグゼイド 第31話「禁断のContinue!?」

2017-05-14 23:40:00 | 仮面ライダーエグゼイ...
黎斗が消滅した人間のデータを保存し、コンティニューできるシステムを完成させていたことがわかった。ということは、仮面ライダークロニクルをクリアすれば消滅した人間も蘇るのか? 飛彩は黎斗に迫るが、永夢は人間の命を弄ぶような黎斗の行為を許すことができない。ポッピーは、永夢と黎斗に力を合わせてほしいと懇願するが・・・。


「もう何を言っても無駄ですよ。病で苦しむお母さんをそばで見てきたはずなのに、
 『命が大切』っていう当たり前のことも、この人には理解できないんだ」
「理解してるさ。だからこそ、命をデータとして復元する君たちドクターに不可能な偉業を私はやり遂げた」


黎斗の主張がおかしいとは思うんですが、
永夢の言い分も、まるで「コンティニューできないからこそ命は美しい」と言ってるみたいで
なんか、なんとなく納得できない気分でもあったり。

いや、「桜は散るからこそ美しい」というのはわかるし、
プリザーブドフラワーには、生花ほどの魅力は感じない。それはわかる。

生命をデータ化することで、病気や寿命、エネルギー問題等を解決しようという発想は、
浅学な私がパッと思いつくところでも、ゴースト(眼魔の世界)や「楽園追放」等で取り上げられ、
いずれの場合も「データ化された不老不死の世界なんて、やっぱり不自然だ」というオチで終わるんですが。

データ化された世界なんて感覚的にも違和感あるし、気持ち悪いよなと思うんですが、
でも、自分の大事な人が死の淵に立っていて、残された時間があとわずかだとしたら。
そんなときに「データ化することで、この人の全てを残しておくことができますよ」と言われたら
とりあえず「それ、いくら必要ですか?」って聞くよな。前向きに検討すると思う。

コンティニューなんて不可能だから、手が届かないブドウを「あれは酸っぱい」と決めつけるように
「いずれ死ぬから命は美しい!死なない命は不自然だ!」と叫んでるだけで
病気や寿命に怯えることのない命が実現できたら、それって素晴らしいことじゃない?
・・・とか真顔で考えてるので、やっぱり私は発想が悪党よりなんだろうな(苦笑)

もっとも。「あなたの命をデータ化して、半永久的に残してあげますよ」なんて言われたら
全力で拒否する。いやもう無理。そもそも写真ですら、あんまり残したくない性分だし。
だから自分が対象であるなら「いやもう、生まれ変わって別の人生やり直したいです」とか思うんだが。

えー、どうなんだろ? 世の中では「自撮り棒」が流行るほど自分の写真を撮りたい人がいて、
さらにそれをインスタで世界中に発信したい人も大勢いるわけで。
世間一般ではどうなの? 死んでもデータとしてこの世に残りたい人って多いの?
わりと多数派だったりすんの???

さておき。うーん。「命が大切」という点においては永夢も黎斗も一致してるんだけど、
永夢は「だから、たったひとつの命を大切にしないといけない」
黎斗は「だから、命にはバックアップをとっておいた方が良い」
っていう真逆な方向を目指していてだな。いや黎斗の言ってることがおかしいんだけど、
それを「命で遊んでる」と言うのは、なんか違うような。

まぁ。無差別でゲーム病のウィルスを撒き散らし、ゼロデイ時には大勢の人を消滅させてるわけで
それはもうカンペキにアウトですけどね社長。そりゃ命で遊んでる。
(いや未だに意味わかんないんですけど、大勢の人が消滅してるのに、
 どうして完全体のバグスターがグラファイトとポッピーだけなんだ?)

ただし。現在発動中の「仮面ライダークロニクル」はパラドが作り変えたシステムなんだよな。
本来はプレイヤーの職業であるべき「仮面ライダー」が、現時点ではレアキャラとして定義されているように
黎斗の意図とは違うものになってる。
(いや、黎斗の設計でもプレイヤーを消滅に追い込む設定だった可能性が高いけど)

でも永夢たちは当然そんなこと知らないので、
芋づる式にプレイヤーを増やし、大勢の人間を消滅に追い込むという仮面ライダークロニクルのシステムを
黎斗が計画したものだと思い込み、謝罪と償いを求めてるってところもあるのでは。
まぁ「私の考えたゲームはもっと崇高なものだフハハハハハ!」と言ったところで、
やっぱり黎斗の罪には変わりないですけども。

ともあれ。罪がどうこう騒いでいるのは周囲だけで
本人はかけらほども罪悪感を持っていないのが、さすが社長、むしろ清々しいほどである。
周りの空気を一切読まず、人類を滅亡させるパラドに対してすら
「自分を裏切ったお前を削除する!」という自分都合でのみ挑んでいくあたり
おまえどんだけ自分本位なんだよ!と、その主張にいちいちメカラウロコ落ちまくってる。新鮮。

しかし。そんな黎斗がポッピーの言動で少しずつ変わりつつある。

「これでも少しは感謝してる。この世界に私を生んでくれたのは、黎斗だから」

ポッピーの告白を聞く黎斗の顔が、すごくかわいいんだよね。純真な、少年のような表情で、
そのギャップに母性本能を撃ち抜かれております。やっぱり社長は推さざるを得んな!!!
きっとあれは16年前の、ゲームを作ることを純粋に楽しんでいた頃の顔なんだよな。

その直後の、パラドの攻撃から庇おうとポッピー抱きしめられた黎斗の姿に、
うわぁこの人は。こうやって誰かに「守られる」ってことを、誰かが絶対的な味方になってくれるって経験を
誰かに愛されるということを、今まで気づかずに生きてきたんじゃないか?っていう、そんな印象がありました。

・・・あれ? 壇正宗は黎斗を溺愛してて、ゼロデイの罪も進んで肩代わりしてくれたと思ってたんだけど、
ちょっといやな感じになってきたな。正宗パパは味方じゃないのか?
仮面ライダークロノスの正体は正宗氏じゃねーの?的な意見も
ツイッターでかなりあがってました。黒幕? 黒幕?

「パラド! 彼女は削除させない。ポッピーは私が生み出した、命だ!」

「命は大切」 目指す方向は真逆なんだけど、出発点は、同じ。
そこだけでも理解できた永夢は、とりあえず今は、黎斗と肩を並べてパラドに相対する。

「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」
「コンティニューしてでも、クリアする」


決め台詞にも二人の姿勢が、かける決意が現れてて、めちゃくちゃいいよな!!!
この二人のマイティの共闘、すっっっっごく良かったっす。
この並びが見られるなんて、本当に感無量である。

社長は、悪党に見えるけど、本当は死にゆくお母さんを失いたくなくて、こんなことをしてるんだよね?
っていう、「本当は良い人だったんだ!」っていうキャラ設定を期待するポッピー達なんですが、
それを鮮やかに否定する社長が、本音を隠す演技なのかガチで否定してるのか、答えは出さないというのが良い。
うん、私は「そんな心温まるキャラじゃねーだろあの社長だぞ!?」派です。

飛彩。

「本当にゲームをクリアすれば、消滅した人間がよみがえるのか?」

気になっていたのはやっぱりそこかー!っていう。27話での
「ありえない! 人の命が取り戻せるなど、絶対に・・・」とつぶやきの本心は、やっぱそこですよね。

緊急出動の要請を「オペの予定が」と嘘ついて回避する飛彩。
デュアルガシャットを手に満開の桜の中を歩き、
ポケットの中にガシャットロフィーを入れて戻ってきたんですが、
あれは爆走バイクだよね? ということは、前回倒した分ですよね?
今回は何をしてたんだろう、散歩してただけ?

ガシャットロフィーは、アイテムとして譲渡可能なんですね(ちょっと意外)

「俺は今度こそ、グラファイトをこの手で始末する。
 だからお前は、クリアしたその先にあるものを確かめろ」


仮面ライダークロニクルを「終わらせる」ことを目的とする大我と飛彩。

「確かに黎斗は許されないことをした。
 でも永夢、いま優先すべきなのは、仮面ライダークロニクルを止めることだよ」


仮面ライダークロニクルを「止める」ことを目的とする永夢とポッピー。
ふたつのシーンを並べたことで、表現を変えてるのが気になりました。
今は同じ方向をむいて戦っているけれど、
この違いが、この先大事な局面でぶつかりあったりするんじゃ・・・?

とか思いましたが、次回最終決戦なのでぶつかってるヒマもなさそうである。
てか、最終決戦!? いやちょっと待ったまだ31話!中盤!
うちの4歳次男は「エグゼイド、来週で終わりだよー」とか言ってます。毎回が最終回直前のテンション。

「消滅した人間のデータは、感染したウィルスと同じゲームのプロトガシャットに保存される」

ガシャット。ROMかと思ってましたが、書き込み可能な媒体なんですね。
つか、ハード機器なくてもデータ書き込めるのか。通信機能内蔵か。バグヴァイザーより高機能。

そして、あんなに小さいのに人間のデータ書き込めるとかパネェ。
「容量不足です」とか言って、消去された人間のデータが書き込めなかったりとか
古いものに上書きされたりしてるんじゃないかと心配です。
それこそ、バックアップちゃんと取れてるんでしょうね???

ポッピーを消去しようとするパラドのエフェクトが、すっごく禍々しい感じで怖くて
あれは一体なんだったんだ?とか思ってたんだけど、見直したらデンジャラスゾンビ使ってたんですね。
あー、だから倒したあとにゾンビガシャットが!って、2回目でようやくガッテンした。
あと、チャーリーがE.T.のパロディーやってるのも2回目で気づきました。他にもいろいろ見落としてる気がする。

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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-05-22 07:38:02
永夢の怒りは「命はひとつしかなくてはならない」ではなく「ここまで命はひとつしかないと思って行えという医療とドクターの姿勢を根底から覆す、ましてや命をセーブできるとしてあのようなバイオテロで人を苦しめた人間が言っていいことではない」という感じでしょう
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Unknown (Unknown)
2017-05-22 07:43:08
それをふまえて、さらに黎斗としては「だが、医療は母親を救えなかったし、私自身も救われなかった。しかし、自分のコンティニューの力で医療ではできない究極的治療方法ができた。だから私は偉大だし、みんなを救ってやれるから感謝されるべきですらある。」という感じで平行線なんですね。彼は人を苦しめたとは微塵も考えていませんが、被害にあった人は実際にいるしドクター側も人生が狂ったから受け入れ辛いという状態です
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Re: (茜空)
2017-05-22 09:30:46
丁寧なコメント、ありがとうございます!

つまり、黎斗の戦い方にも現れていますが、
 大切な命だからバックアップをとる
 →死んでもまたやり直すことができる
 →ひとつあたりのライフの価値が下がる
というように感じて、永夢は反発しているんですね。
(実際に黎斗のゲームオーバーを再び目の当たりにした衝撃、からの復活には、怒りを感じて当然だし)

それでも、黎斗ひとりの命でそれらの実験をしているのであれば擁護もできますが、
他人の命を勝手にコントロールするのは、本当にバイオテロというか、許されざる行為ですし、
一方でその行為に黎斗が何の罪悪感も感じていない、
それに付随して起こる被害や、患者たちの感情について、「予測はしたが想像はしていない」ともいうべき態度なのが、なんかすごく不自然ですね。
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