素晴らしき茜空の会

主に特撮番組の感想文。ブログタイトルは仮面ライダーキバに登場する「素晴らしき青空の会」より。

仮面ライダー555 最終話

2017-08-25 08:30:00 | 仮面ライダー555
巧が消えた。真理たちは行方を心配しながらも、なぜ巧が照夫を襲おうとしていたのかを考えていた。そんな中、クリーニング店からこつ然と照夫の姿が消える。そのころ巧は、スマートブレインの医療施設で実験材料として使われていた。照夫を発見した直也の前に勇治が現れ、あの少年こそオルフェノクの王だと宣言する


いよいよ最終回。

体の不調を自覚するたっくん。
彼は、同じオルフェノク仲間の中でも比較的早く変異してると思われるのですが、
やはり、早くオルフェノク化したものほど、早く寿命を迎えるのかな。

そんな状態なのに、スマートブレインの研究者たちに、実験材料として
「細胞の崩壊過程を早める」薬を打たれてしまうたっくん。

「彼は裏切り者のオルフェノクだ。最後くらい役に立ってもらおう」

今まで何度も「裏切り者のオルフェノク」と呼ばれながら人間を守り続けてきた木場さんが
まさかその言葉を自分で吐くとは。

1対1で戦う二人。
ファイズとカイザの変身が解けて、おぉ!ここからは生身の殴り合い!?かと思いきや
二人ともオルフェノクに変身して戦うという。
そっか、そうなりますよね。彼らにとってオルフェノク体も生身みたいなもんですよね。

勝ったのはたっくんで、でもそれはブラスターフォームのおかげじゃないかと。
たっくんは奪い取ったホースオルフェノクの剣で木場さんに斬りかかるも、
寸前でそれを止める。

「・・・なぜだ、なぜとどめを刺さない!?」
「言ったはずだ。俺は人間を守る、ってな」


突然、異世界に迷い込んでしまったかのような、黒くザラザラとした画面。
黒い網目ごしのモアレがかった画面には激しく既視感がありますが、
オープニングで使われている効果ですね。まさかの最終回で回収してくるとは。

そして、カメラは横へとスライドし、
「お前も、人間だ」と告げるたっくんの表情は
網目ごしの暗い世界から解き放たれている。

「違う!俺は・・・」と叫ぶ木場さんを残し
ひとり、網目のこちら側へと戻ってくるたっくん。

「待て、乾! いぬいー!! 待てー!! うわあぁぁぁぁ!!!」

網の向こう側で絶叫する木場さん。出られないまま。

そう考えてみると、オープニングで見るたっくんは最初網目の向こうにいながらも、
リンゴを手に、何事もなかったような表情で網目で閉じられた世界を破って外へ出てきてるんですね。
だとすれば、あのリンゴは「人間を守りたいと思う気持ち」だったのかなぁと。
あのオープニングは、人間を守るために人間で在りつづけるというたっくんの姿を、
最初から最後まで明示していたのかなと。

余談ですが、格子模様や籠目模様のように細かいパターンが連続して作られる模様は
見る者を眩惑させる、魔性の者を足止めする、
転じて魔除けの効果がある、という話を聞いたことがあります。
九字護身法(臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前っていう有名なアレ)の簡易版で
早九字と呼ばれる、指で格子状を描く作法があるのも、その理屈だとか何とか。

そう考えると、網目模様がオルフェノクを捨てきれない木場さんを封じ込めているのも
なんか象徴的だなぁ、などと深読みしてみたり。

そしてエンディング。

オルフェノクの王を匿い、「あなたは死なない、甦る・・・きっと」と見守る冴子さん。
自分の手のひらを無言で見つめ、「どうしたのたっくん?」の問いに
「・・・別に、なんでもない」と答えるたっくん。

王は復活するかもしれない。
たっくんが完全に灰と化すまで、あまり時間は残されていないのかもしれない。
それでも。

世界が闇に包まれようとも、
彼ら三人がいる場所だけは、光が射している。青空が見えている。

「夢って言やぁ、俺も夢が見つかった」

世界が闇に包まれても、闇に染められない彼らはきっと、
世界中の洗濯物を真っ白にする夢を、
世界中の人たちを幸せにする夢を、いつまでも胸に抱き続けるだろう。

「夢ってやつは、そう簡単に捨てちゃいかん。
 卵を抱くようにして温めていれば、必ず夢はかなうはずだ」

「人間には、人間にしか持ちえない物がある」


これで終わりとするには、やや不穏な気配を漂わせていますが、
それでも人の力を信じ、夢を信じ、未来を彼ら「人間」に託すという、
この先へと続く物語で幕を閉じました。ファイズ。面白かった。


6 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-08-25 11:06:37
えっと実はオルフェノクの王はあの後に崩れ去ったそうです
撮影も済んでいたけど本放送では流されなかったそうで

冴子さんの決定的な台詞とは

良かったじゃない。あなたをイジメる人がいなくなって

なんですね

工事現場の監督(笑)の拳と北崎の拳とを見くらべれば一目瞭然というか
北崎にイジメさせてたのは誰だ?というメタフィクションと楽屋落ちのギリギリの線を井上さん本人が降臨されて綺麗に〆た訳ですねw
きっと琢磨さんの行く先々で上にいる人は何故か全部あの監督さんなんでしょうw

草加ほどじゃないけど琢磨さんも脚本家に非常に愛されてるんですよ

さて冴子さんは確かに普通に死なないオルフェノクになりましたが、それはただ生きているだけの無目的な生になるんではないか?

巧は何時まで生きられるか分からないけどそれまでの生き方に悔いを残さない命を全うした生き方と言えないか?

夢が無いというのは満たされているとかじゃなく本来なら生きてるはずの無い自分の生を肯定しきれなかったからじゃないかと思ってます

ああやって生きてきたからこそ最後に夢が出来たって言ったのは自分自身の生に肯定出来る答えが出せたからでしょうね

だから最終話の巧からは本当の誇り高さを感じます
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Re: (茜空)
2017-08-26 17:43:02
コメントありがとうございます!

王は結局、崩れ去ったんでしょうか。
放送で流れなかったとは言え、脚本的には、王が消滅して終わるのが本筋だったということなんですね。
その場合は、王の力を受け継いだ冴子さんが女王になるんでしょうか。
それとも、オルフェノクは消滅するんでしょうか。
・・・もう、ここから先は全部「IF」の世界ですね。

北崎さんは、前作アギトで井上さんが「あいつ、憎たらしいだろ?」と仰っていたので、
その憎たらしい北條さんをぐりぐりやってる姿はとても微笑ましかったです。
愛されてますよね。

巧は序盤で、人に名前を教えたくない、窃盗の濡れ衣を着せられても釈明しない、
夢を持たない、人とのつながりを持とうとはしない、
本当に、生きていながら「生きてはいない」状態だったんですが、
最後、砂と消えつつある自分を自覚しながら、それでも夢を語れるようになり、
近いうちに消滅するという点ではアンハッピーエンドながらも、
やっぱりハッピーエンドだったなと思うラストでした。本当に良い作品でしたね。

コメント、たくさんありがとうございました!
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Unknown (ASCA)
2022-07-20 22:00:40
ファイズが、伝説となったこと。非現実的なシステムを無くすのは、使命だってことだよな。仮面ライダー龍騎で、秋山が、優勝したから、キャラ達に、対する考えが変わったんじゃないか。城戸が、優勝してたら、乾が、主人公にならなかったからな。龍騎を纏められたのも、手塚のお陰だったからな。
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Unknown (ASCA)
2022-07-20 22:03:46
手塚がいなければ、龍騎失敗してたからな。作者も、一番マシそうな秋山を選んだからな。秋山は、復讐の為に、ライダーになったからな。それで、モンスターを追ってたからな。乾も、復讐の為に、スマートブレインに来たからな。木場も、草加も、結局、大きな歯車の一つでしかなかったこと。
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Unknown (ASCA)
2022-07-20 22:07:24
秋山は、成功したが、城戸は、失敗してしまったからな。城戸は、歯車の一つでしかなかったこと。乾も、草加や木場達の存在を消すしか、他に無かったからな。犯罪を徹底的に調べる使命を背負っている人間もいるように、非現実的なシステムを無くす使命を背負っている人間も、いるってこと。乾が、秋山みたいなキャラだったからな。
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Unknown (ASCA)
2022-07-20 22:11:22
乾が、このクソみたいな世界を変えようとしていたからな。秋山が、優勝したから、それだけ、主人公に対する考えが変わって来たからな。城戸は、余りにも、非現実に暮らし過ぎるからな。城戸の後輩である木場、草加、三原達まで、非現実に暮らし過ぎた。ファイズの世界、マシなキャラ少ないからな。
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