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普段色々考えていることの日記です。

「ホフマン物語」 青樹泉版

2008年01月29日 | 宝塚歌劇
期待した公演に裏切られ、期待していなかった公演で感動する。
そんな1日でした。
ということで、まずは月組の若手のみで演じられた役変わり公演「ホフマン物語」の感想です。

月組 宝塚バウホール公演
『ホフマン物語』-オッフェンバックによる- 
脚本:菅沼潤/脚本・演出:谷正純

キャスト
ホフマン:青樹泉
アントニア・オランピア・ジュリエッタ:夢咲ねね
ニクラウス・ミューズ:明日海りお
シュレーミル:宇月颯
悪魔・リンドルフ・ミラクル博士・コッペリウス・ダペルトゥット:星条海斗
ルーテル・クレスペル・スパランツァーニ・ピティキナッチョ:未沙のえる
アンドレア・フランシスカ・コシュニーユ:青葉みちる
アントニアの母親:羽咲まな
ステッラ:美鳳あや

新人公演じゃねーか!

いや、未沙のえるさん以外全ての出演者が新人公演出演中か卒業したてでは、仕方がないんですけどね。

オペラ「ホフマン物語」は大好きなオペラです。
まだ、舞台では見たことがないですが、映像では3回見ていてどれもお気に入りです。
だから、宝塚がオペラ「ホフマン物語」を宝塚風アレンジ無しで、音楽もそのまま使って公演したと聞いて、是非とも再演を希望していました。
で、今年、バウホール会場30周年ということで、バウ・ワークショップという形で再演されたのですが……

う、う~ん。微妙。
ニクラウスとミューズの一人二役をした明日海りおとかヒロイン三役した夢咲ねねとかは良かったんだけど、それ以外の役の子はまったく印象に残りませんでした。
悪魔役の星条海斗とか、召使い役の青葉みちるはもっと良くなる要素があっただけに、惜しかったです。

そもそもホフマン物語は一人何役もすることが醍醐味。
この公演でも悪魔役や召使い役は一人3~4役演じています。
さらに役変わり公演を4回もしていたら、1個1個の役を出演者は掘り下げる期間が短かったのではないかな?
ともかく、もっと掘り下げたら十分面白くなったのにという箇所がいくつもありました。

出演者に関しては新人公演中の人達だから仕方がないとして、演出に関してはかなり大満足でした。
オペラの曲をそのまま使用したというのでかなり不安だったのですが、オペラと違ってあやふやな部分が説明してあり、しかも「ホフマン物語」がもつあやふやな魅力も残してあったので、それなりに楽しめました。
さらに悪魔の独特の妖しい魅力や、ホフマンの友人ニクラウスが女神なのに男という魅力は、宝塚しか出せないものなので、期待通りの出来だったと言っても良いです。

何よりも私が宝塚に期待したのは、ヒロイン役を一人の役者がやってほしいというところでした。
これはオペラでは声質の問題があって不可能ですので、是非とも宝塚で実現してほしかったです。
今回は夢咲ねねがヒロイン3人を演じたので、これがわたし的に一番の見所でした。

逆に残念だったのは、プロローグではミューズが実はニクラウスだということを暗示しているのに、エピローグではその暗示がなかったことです。
私はエピローグのニクラウスが実はミューズだったというオチが好きなので、これがかなり残念でした。

ミューズ:で、私は?
     私は君の友達。
     涙も拭き、悩みも嘆きも消して、
     過ぎたことなど、みんな忘れてしまいなさい。
     そして、詩人として、立ち直るのです。
     私はあなたを愛しています、ホフマン!
     あなたが私のものであるように!

ホフマン:光りまぶしい星のようだ。
     愛するミューズよ!
     そのしなやかなかぐわしい吐息が
     僕の瞼や唇のあたりをよぎっていくようだ。
     愛するミューズよ!
     僕はあなたのものだ!


私はこのシーンでホフマン物語に転んだと言っても良いので、ここだけはカットしてほしくなかったです。
後、もう一つ残念だったのは、シュレーミルとナターナエルも同じ人が演じてほしかったことです。
理由は下記のセリフより。

ナターナエル:このウィルヘルムは、レオノーレに夢中で、
       ヘルマンはグレッチェンに惚れ、
       僕はファウスタのために破産した。
ホフマン:レオノーレはウィルヘルムの憧れ、
     グレッチェンは生命のない人形、
     ファウスタは蒼ざめた娼婦だ。


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