Siamo tutti un po' pazzi.

~我々は皆少しおかしい(イタリアの慣用句)~

普段色々考えていることの日記です。

「風の錦絵」「ZORRO」宝塚大劇場

2009年03月28日 | 宝塚歌劇
【宝塚大劇場】
雪組
舞踊パフォーマンス
『風の錦絵』
作・演出:石田昌也

宝塚アドベンチャー・ロマン
『ZORRO 仮面のメサイア』
作・演出:谷正純
公演期間:2009年3月13日(金)~4月13日(月)

出演者
ドン・ディエゴ/ゾロ:水 夏希
ロリータ/レディゾロ:白羽 ゆり
メンドーサ大佐:彩吹 真央
長老レッド・ウィロー/ドン・カルロス:未沙 のえる(『ZORRO 仮面のメサイア』のみ)
カタリーナ:一原 けい(『ZORRO 仮面のメサイア』のみ)
ベルナルド/ゾロの影:音月 桂
オリバレス総督:凰稀 かなめ
※松本 悠里,轟 悠(『風の錦絵』のみ)

感想
最後の歌は卑怯だ!

今回の公演で娘役トップの白羽ゆりが退団します。
そんな彼女のために用意された歌が、水夏希が歌う「君に贈る言葉」なのです。
で、この歌の何が卑怯かというと、
歌自体はただのラブソングなのです。
しかも悲劇で終わった話ではなくハッピーエンドで終わった話のラブソングなので、泣けてくる要素なんて一つもないのですよ。
だけど、白羽ゆりを知っている者からすると、
ああ、こんな歌を歌ってもらって、彼女はなんて幸せな宝塚人生をおくったのだろう
としみじみと泣けてくる歌なのです。

それは卑怯だろう・・・。

ということで、最後の最後で号泣をしてしまったわけですが、
(しかもお芝居とは全く関係ない理由で)
お芝居は単純な勧善懲悪の痛快アクションミュージカルで、全体的に楽しかったです。
こてこてラテン男ゾロも日本人男性がやればクサイだけの存在になりますが、
そこは宝塚、見事に格好よく演じていました。
VIVA! ZORRO!
そもそも専科から未沙のえるさんがやってきている段階で悲劇になるはずがなく、彼女の演技と一緒に思いっきり笑わせてもらいました。
まぁ、彩吹真央のメンドーサ大佐とか、音月桂のベルナルドとかはコメディをやるわけにはいかなかったでしょうが。
(何かあったら「お腹に子どもが」という設定はもうやめて欲しいな。あれやられると気分が萎えるのですよ)

ほとんどにおいてミスキャストはないという見事なキャスティングぶりで、宝塚が初めてという人にもお勧めしたい公演でした。
だからか知れませんが、特にココはと絶賛したい場所がなかったのは残念です。
が、一つだけ目を奪われたのは凰稀かなめのオリバレス総督
この人は悪の権化の人間なので、ものすごく悪く、ものすごく嫌なやつです。
メンドーサ大佐を手ごまのように使いながら彼を虫けらのように考えている本気で嫌なやつです。
なのに彼女の演じるオリバレス総督は冷たい、血も通っていなさそうな風貌の中からにじみ出る男気がありました。
嫌な奴なのに、なぜか惹かれてしまう「悪の魅力」があるのです。
久しぶりにゾクリとくる演技で、彼女の今後が楽しみです。

「風の錦絵」に関しては、白波五人男とかやっていましたが、やはり歌舞伎と比べるとどうしても見劣りしてしまいました。
でも松本悠里さんの舞いはいつ見ても見事です。
彼女の舞を見るためだけにお金を払ってもいいです。


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