阿部卓馬ブログ

北海道新ひだか町サポート大使のシンガーソングライターです。ライブ告知、活動情報などを中心に更新しております。

「宇宙船地球号操縦マニュアル」バックミンスター・フラー

2010年10月15日 | 読書
宇宙船地球号操縦マニュアル (ちくま学芸文庫) [文庫]
バックミンスター フラー (著), Richard Buckminster Fuller (原著), 芹沢 高志 (翻訳)

アマゾン 宇宙船地球号操縦マニュアル

Wiki バックミンスター・フラー

【概要(アマゾンより引用)】
20世紀を代表する技術家、バックミンスター・フラ-が遺した記念碑的著作の新訳。地球を一つの宇宙船と捉える彼の刺激的な発想は、人類が直面している全地球的問題の解決に示唆をあたえ、またエコロジー・ムーヴメントやインターネット的思考を生むきっかけにもなった。「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」(マーシャル・マクルーハン)といわれているフラーのメッセージは、私たちに発想の大転換を迫り、新たな思考回路の形成を強く促す。

【感想】
「宇宙船地球号」という言葉は、いろんな人が形容しているので、皆さんもどこかで聞いたことがあるかもしれません。地球を宇宙船としてとらえるため、船で大海原を安全に航海するためには知識や技術が必要なように、地球の運行にもエネルギーや科学などいろいろな要素があり、人間に与えられた使命というのは、それらの要素に対して適切にコントロールして安全に地球を運行することが必要である、と語ります。さもなくば、人類の生存継続年数はどんどん短くなり、いずれは滅亡するかもしれない、としています。科学者・建築家・思想家であるフラーは、自身を「計画者」として、宇宙船地球号を今後どのように運行していけば良いのか、それによって人類の生存継続年数がどのように変化するかを説いています。




印象に残った部分を挙げます。

・物質的な「富」というものは、失えばなくなってしまうが、科学などの発見で得られた全人類の知性という「富」は、ずーっと増える一方だ。知れば知るほど増え続け、かつ減らないというのは、なんとも楽しいことではないか。

・生物は「専門分化」が加速すれば絶滅してしまう。現在の人類も専門分化が進んでおり、人間本来が持っている、物事を包括的に捉える視点が必要だ。

・局所的な部分をいくら集めても、全体を把握することはできない。包括的なものの見方をしてから、局所を把握することは可能だ。

・あなたは食べたものを、自分で「これは髪の毛にしよう」とか「これは細胞にしよう」とか意識的に行っているだろうか?そうではない。人体の消化や代謝は、見えない力により全自動で動かされている。人は全自動で行われるものに対しては、絶対の信頼を置く。生産や交通において、人が作業をする代わりに、コンピューターは全人類の信頼を得て、大量生産や安全運行を行うであろう(この本は1969年に出版されているため、このフラーの予言は確かに当たっていた、ということが言えます)。

・自然は全自動で動くようにデザインされている。宇宙を司る知性の完全さが生み出した、限りなくも協調的な法だ。この美しいデザインを包括的に捉えることこそ、真の科学に求められることだ。

・地球の運行のイニシアティブをとるのは政治家ではなく、計画家であり、建築家であり、技術者である。すぐに仕事に取りかかってほしい。とりわけ協同作業をして、たがいに抑制し合ったり、他人の犠牲で得をしようなどとはしないで欲しい。そんな偏った成功は、ますます先の短いものになるだろう。




最近、意識はどのようにして拡大するか?(というか意識が広かったことを思い出せるか?)ということに興味がありまして、それに非常に参考になる内容でした。その他の著作もたいへん優れているとのことで、これから機会をみて読み進めたいと思います。

最後に、フラーの晩年の共同作業者、梶川泰司さんのブログを紹介します。

犬のしっぽ ブログ

高校中退後、土木作業員だったころにフラーの著作に出逢い感銘を受け、その後論文を直接フラーに認められ、共同研究者となった天才日本人の一人です。ブログの内容は非常に深く難解なため、理解するのは相当難しいです(^^;)

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