大昔ですが、「モデルガンブーム」があったそうです。
その頃は金属製でも銃口に穴が空いていて、火薬の炎も吹き出していたんですが、本物と見分けがつかなくなり、犯罪に使われる様になって大幅な規制が行われました。
世に言う「おもちゃ狩り法案」です。
モデルガンファンは大幅な規制で消えてしまうモデルガンが出てくるに恐れ、反対運動もしましたが、何も聞き入れてもらえませんでした。
金属製のモデルガンは銃口を完全に塞がれ、金色にメッキされました。
撃鉄や撃針等、硬い鉄の様な素材は禁止になり、本体も、亜鉛ダイキャストの様なもろく柔らかい金属でしか作ることを許されなくなりました。
各モデルガンメーカーは、金属のモデルを諦め、ABS 樹脂の様な硬さと弾力性の有る素材でモデルガンを設計し、生産することにしました。
今日紹介するモデルガンは、モデルガンファンの間で、長年夢とされていた「ショートリコイル」を再現した「ワルサーP38」です。
メーカーは「マルシン工業」で、「プラグファイヤブローバック」を開発した会社です。
まず、そのP38 の写真です。
これがパッケージ。
中身は、
こんな状態で収まっています。
カートリッジですが、
上の写真の真ん中が「9ミリルガー」と呼ばれる実弾の火薬と雷管を取ったダミーカートリッジです。
その左が、マルシンのモデルガンカートリッジ。
右端が、実弾の空薬莢です。
モデルガン本体です。
プラスチック製のモデルガンですので、手にすると軽いですね。
実銃は1キロ近い重さですが、モデルガンはその半分程度の重さしか有りません。
それでも、規制で販売禁止になった金属製モデルが蘇って、手にした時は感動ものでした。
それに火薬を使って作動させるに、重い金属のスライドよりプラスチックのスライドの方が軽くてよくブローバックしました。
軽快に連射できる様になりました。
しかもプラ製なら銃身が抜けているので、硝煙が銃口から吹き出しました。
重さを犠牲にしても、このフィーリングはたまりませんね。
このプラスチック製のP38 ですが、アニメ「ルパン三世」の愛用銃というのも有り、人気の銃です。
アニメルパン三世のファーストシーズンのオープニングでルパンがP38を撃つシーンが有りますが、このシーンのP38 を見て、ガンマニアたちは驚愕しました。
このシーンですが、「7番目の橋が落ちる時」というストーリーの一場面です。
先ず、両手に手錠をかけられているルパンが、口でスライドを動かして初弾を装填し、発砲するのですが、銃身をよく見ると、フレームより後ろに後退しているのを描いてあります。
よく見ないとわかりませんが、明らかに銃身が後退しています。
口でスライドを交代させているシーンでも、若干、銃身が後退している様に描かれています。
このルパン三世を描いていたのは「宮崎駿さん」と、今は亡き「大塚康生さん」でした。
なので、銃を知り尽くした2人が描くのだから、リアルで当たり前でしょう。
子供の頃見た時は全く気がつきませんでしたが、モデルガンをいじり出してから気がつきました。
ここまで描くか?と感心し、感動しました。
その銃身が下がる構造を始めてブローバックモデルガンで再現したのが「マルシン工業」でした。
東京CMCでもブローバックしないモデルには再現されていましたが、ブローバックモデルには省略されていました。
そのショートリコイルですが、
こんな風に銃身が後ろに下がります。
普通のブローバックモデルガンは、
こんな風に銃身は固定されていました。
それはなぜか?
少量の火薬を使い、重いスライドを後退させるには、銃身の中のインサートに固定されたピンがピストンの役目を果たし、カートリッジがシリンダーとなってカートを後ろに後退させてブローバックさせるのですが、本物の銃の様に、ショートリコイル機能を再現してしまうと、スライドと銃身が固定されるのでブローバックしなくなります。
(銃に詳しく無い方は理解できないと思います。すみません)
それゆえに、銃身を固定し、それを軸にカートリッジを後ろに押し出すのがモデルガンのブローバックでしたが、このマルシンのP38は銃身が後退するんですね。
これが再現されると告知されてから、どんな方法でショートリコイルさせるのか?色々考えても分かりませんでした。
実際に現物が発売されて始めて構造を理解できました。
ズバリ、「コロンブスの卵」でした。
こんな単純な事で再現できるか?
と拍子抜けしました。
それはどんな方法か?
次回に続きます。