今日もまたベレッタ92FSの記事ですが、今までのガスブローバックとは一味違います。
今日のベレッタは、まるでモデルガンの様ですが、実はガスガンです。
HFC134aの冷媒ガスを使って、ブローバックさせるガスガンなのですが、他と違うのは、カートリッジを使うところです。
これが、カートリッジですが、左から、今回のガスガンのカートリッジ、その右が実弾ダミーカートリッジ(火薬や雷管はついていません)その右が実弾の空薬莢、一番右がマルシンのダミーカートです。
今回のベレッタのカートリッジはほぼ実物の9ミリカートリッジと同じ大きさですが、若干細めです。
長さもちょっと短い。
でも実弾のイメージを壊してはいません。
外観はモデルガンと見分けが付かないくらいよく出来ています。
今回のガスブローバックガンは「ガスオペレーションシステム」と言う呼び名で発売されました。
ここでちょっとお詫びを。
前回までマルシンを「マルシン産業」と書いてましたが、「マルシン工業」でした。
ここでお詫び申し上げます。
ガスガンとして作動させるために、少し形状をアレンジすることがあるのですが、このベレッタはほとんどデフォルメされていません。
スライドのストロークもほぼフルストロークです。
アレンジは、マガジンが若干小さいくらいです。
上の写真で分かると思いますが、長さや幅はほぼ実銃サイズと思います。
右のマガジンがマルシンのダミーカート式のモデルガンですので実物に近い寸法と思います。
唯一、前後幅が小さいようです。
なのでマルシンのダミーカートが入りません。
専用のカートリッジは問題なく入ります。
カートも最初はもっと綺麗でしたが、表面が酸化してこんなになりました。
磨けば元通りになるかな?
この銃のアレンジ箇所がもう一つ。
撃鉄を起こして、セーフィティーを掛けると、撃鉄が倒れずロックされます。
いわゆるコックアンドロックです。
シューティングで使うならこの方が良いのですが、実物は、撃鉄が倒れて、引き金が空振り状態になります。
この他は分解が実銃の通りに出来ないくらいです。
外観は、
この刻印を見ると分かると思いますが、アメリカ軍に採用された時の刻印になっています。
こちらには、ピエトロベレッタとはっきり刻印されています。
US M9とも刻印されていて、アメリカ軍仕様になっている様です。
このマルシン工業のガスオペレーションシステムですが、設計は「六人部登氏」です。
非常に複雑な凡人には理解できないくらい複雑な構造になっていますので、下手に分解すると組み立てられない事が起きそうです。
なので、分解はしませんが、構造を説明すると、ブローバックはウエスタンアームズの様な構造では全く有りません。
ブローバックのピストンは、リコイルスプリングガイドです。
この銃身の下のロッドがブローバック用のピストンになります。
棒の上に小さな穴が開いてますが、ここからガスが噴き出して、スライド先端に付いているシリンダーにガスを送り込んでブローバックさせます。
それならBB弾を発射するのはどうするか?
通常のファイアリングピンがあるところには何もありませんが、その下にバルブを開くピンが有ります。
これを撃鉄が叩くと、
上の写真の、丸い穴部分から弾を発射するガスが放出されます。
それでBB弾が発射されますが、引き金をそこからさらに引くと、スライドを後退させるピストン(リコイルスプリングガイド)にガスを送り込むバルブを押す事になり、ブローバックが始まります。
要するに引き金が2段引きになります。
なので、ゆっくり引き金を引くと、BB弾だけ発射されてブローバックしません。
そこから、さらに引き金を引かないとブローバックしないので、薬莢も飛びません。
なので引き金は一気に引いた方が本物っぽく見えます。
ガスをここから入れます。
ランヤードリングの左にガスの注入バルブが有ります。
その下には真鍮製に大きなガスタンクが有ります。
このタンクにリキッドチャージしておくだけで、ブローバックして、薬莢を弾き飛ばしてくれます。
弾丸はちゃんと発射の後、ブローバックします。
連射すると非常に楽しい。
今は中国製の引き金を引くだけでカートリッジが排出される銃が出てますが、それと同じ楽しさが有ります。
マガジンにBB弾を装填したカートリッジを1発ずつ込めて、銃に装填、スライドを引いて1発目を薬室に送り込む。
引き金を引くと、BB弾が発射され、ブローバックして、空の薬莢が空中に舞うのがいいですね〜。
良くこんなガスガンを開発した物だと今でも思います。
シューティングマッチ会場にも、1人このマルシンのガスオペレーションを持ってきている人がいました。
その人はベレッタではなくガバメントを改造して、ガスタンクにエアーボンベをホースで繋ぎ、金色の薬莢をばら撒いていましたが、見ていても楽しいですね。
ただ、後に「パーツ拾いお願いしま〜す。」って言われるんですね。
でも、他のシューターは、文句も言わずにカート拾いを手伝っていました。
これも楽しみの一つだったりしました。
こんな楽しいガスガンを作ってくれたマルシン工業と、六人部さんに感謝します。
このガスガンもう一つ実銃のシステムを再編していました。
ここなんですが、
こちらがカートリッジを装填していない状態。
こちらがカートリッジを装填した後。
スライドの横に赤い物がが見えますが、カートリッジを引き出すパーツのエキストラクターが横に飛び出して薬莢が入っていることを表示してくれます。
こんなところまで再現してくれています。
それに、ショートリコイルも再現されていて、もうモデルガンと言ってもいいでしょう。
ここまで作り上げた六人部さんの技術とアイデアには脱帽します。
全く惜しい方が亡くなりましたね。
もっともっと生きて面白い物を作って欲しかったですね。
ご冥福をお祈りします。
蛇足ですが、私がアメリカに行った時、このベレッタの実弾射撃した事が有るんですが、いまいち良い印象が有りませんでした。
と言うのも、射撃場がインドアだったので、一人一人のブースが有り、隣の人と分厚い壁で仕切られていました。
そんな中で、右後方に薬莢の飛ぶベレッタを撃つと、排出された熱い薬莢が右の壁に当たって顔に当たることが有りました。
何発も撃っている時、薬莢が保護メガネの間に入り込み、まぶたを軽く火傷しました。
挙句の果てに、スライドのロッキングブロックが破損したのか、スライドが全く動かなくなり、レンジの方に「マイガンイズマルファンクション」っと言ったら、「マルファンクション?」と怪訝そうに言ってレンジ内に置いてあるベレッタを手にして、頭を捻ってました。
そのあと、マガジンは抜いていましたが、薬室に1発残ったまま、ガンロッカーの上に「ドン」と放り出して、「ソーリー」「ディスイスフリー」と言って、SIG 210だったかな?
無料で貸してくれて、50発の9ミリ弾もくれました。
ベレッタとSIGを撃ち比べる事が出来ましたが、断然、SIGの方が精度も作動も良かったですね。
もしアメリカでベレッタかSIGを買う事があるとしたら、迷わずSIGを買います。
やはりスイス製は良いのですね。
米軍がベレッタを採用したのが理解できません。
自衛隊がSIGを採用したのは偉いと思いました。
でも一番良いのはブローニングハイパワーだと私は思っています。
ベレッタも良い銃ですけどね。