昨日はショートリコイルについて分かりにくい説明で申し訳有りませんでした。
日本では銃の所持が簡単に出来ないので、銃の構造や弾丸の発射システムを知らない方が多いと思います。
大昔の鉄砲は、鉄の筒に火薬を入れて、その後に鉛のボールを入れて火薬に点火し、火薬に爆発で、鉛のボールを撃ち出していました。
これでは連続して発射出来ないので、真鍮のケースに火薬を入れ、鉛の弾をケースに押し込み、ケースに発火用の雷管をつけた物が発明されました。
それがカートリッジです。
真ん中のカートリッジが、発車前の物、弾丸を発射した後は右の状態になります。
カートリッジの下の部分に雷管があり、それを金属のピンで叩けば火花がカートリッジ内の火薬に燃え移り、その爆発で弾頭を押し出し、銃身を通る際、螺旋状の溝で弾頭に回転を与えてより正確により遠くまで弾丸を届く様にしました。
なので、弾丸は飛んでいくのですが、空のカートリッジは銃に残ります。
これが有ると次の弾丸を発射出来ないので排出する必要が有ります。
この排出を、弾丸の発射の際起こる反動を利用してスライドを後ろに動かしてそれによって空のカートリッジを弾き出す仕組みを考えました。
その反動利用の方式がブローバック方式です。
しかし、大型のカートリッジをこの方式で発火させると、弾丸が銃口から飛び出す前にスライドが後退すると、火薬の爆発が銃の後方に噴き出す危険な状態が起こります。
それを防ぐために、スライドと銃身を一時的にロックして開かない様にします。
火薬が発火して、弾丸が銃口から発射され、火薬の爆発が銃口から出て安全な状態になってから、スライドのロックが外れてブローバックが始まるシステムがショートリコイルシステムです。
ワルサーP38の場合、発射前は、スライドと銃身がロックされているのですが、スライドと銃身が一緒に後退すると、ロックが外れてスライドのみ後退します。
銃身がここまで後退すると、スライドが開放されて最後まで後退します。
この時、空のカートリッジを引っ掛けて銃の外に蹴り出します。
そうして銃身が空になるので、マガジンからスライドが次のカートリッジを加え込みスプリングの力で、銃身に押し込みます。
この一連の動作がオートマチックの銃のシステムです。
前置きが長くなりましたが、マルシンのP38は、銃身が後退してスライドが開くシステムを再現した初めてのモデルガンです。
モデルガンは弾丸が発射出来ないので、反動が起きません。
なので、銃身の中に火薬の爆発力を後ろに伝えるピストンが有り、カートリッジがシリンダーの役目をしてスライドを後退させます。
この時スライドと銃身がロックされているとブローバックできません。
それではマルシンのP38はどうしてブローバックできるのか?
それは、スライドと銃身がロックされていないからです。
この銃身が数ミリ後退しているのですが、スプリングの力で前後にカタカタ動きます。
スライドを手で後退させると、スプリングが銃身を後ろに押し戻すので、スライドと一緒に後退します。
その様は、まるでスライドと銃身がロックされている様に見えます。
でも実際はロックされいていないので、スライドを後退させた後、銃身を持って引っ張ると銃身が前に動きます。
銃身はフレームの上で自由に前後動するシステムです。
こんな単純な仕組みでショートリコイルを擬似的に再現しています。
このモデルガンが発売になってから、よそのメーカーもこれを真似して、「うそんこショートリコイル」を作りました。
今現在のガスブローバックのエアーガンもこのシステムを使っているものが有ります。
そんなショートリコイルの元になったモデルガンがこのマルシンのP38でした。
このマルシンのP38ですが、他も良くできています。
スライドの後端に残弾指示ピンが有ります。
カートリッジが薬室(銃身の後端)に装填されていると、このピンか飛び出して、発射準備が出来ていることを知らせてくれます。
通常分解もここまで出来ます。
銃身を抜くにはショートリコイルのピンを一本抜く必要が有りますが、それ以外は本物と同じ分解手順です。
モデルガンなので、当然銃身内にはインサートの鋼鉄板が入っています。
カートリッジも、センターを叩くのではなく、カートリッジの後端全体をこの字型の鉄板のブロックで押す形になっています。
スライドを引くと銃身も一緒に下がります。
たったこれだけの事ですが、初めて見た時は感動しました。
安全装置も実銃と同じに作動します。
撃鉄が起きている時にレバーを操作すると、撃鉄が倒れて引き金をロックします。
第二次世界大戦当時、ドイツ軍はルガーを使っていましたが、
ルガーは、製造に、手間がかかるし、強度の点で問題が有りました。
そこで、ワルサーP38が開発されました。
このP38は、今現在のオートマチックの拳銃の基本になっていると思います。
撃鉄のデコッキングシステム、ダブルアクションの引き金、ショートリコイルブローバック、口径9ミリ、など、ベレッタやSIGなどの教科書の様な銃です。
ルガーとワルサーは自動拳銃の基礎になった拳銃だと思います。
子供の頃、この2丁の拳銃はやはりヒーローのアイテムでした。
今はもうビンテージの銃ですが、いつまでもガンマニアのヒーローたちですね。