3月22日読売新聞記事より。リンク切れになる可能性もあるので,以下に記事全文を転載しておきます。
失踪弁護士に懲戒の退会命令…以前は公園で生活
埼玉弁護士会は21日、埼玉県飯能市の葛西清重弁護士(66)を退会命令の懲戒処分にしたと発表した。
退会命令は除名に次ぐ重い処分。葛西弁護士は昨年9月に失踪し、現在も行方が分かっていない。処分は19日付。
同会の発表によると、葛西弁護士は昨年9月、債務整理など30件以上の依頼を受けていたが、預かり金などを清算せずに失踪。同会と日本弁護士連合会の会費も昨年6月分から滞納していた。
弁護士事務所を開設する際に協力したプロテスタント教会の牧師によると、葛西弁護士は2009年末、公園で生活していた。弁護士資格があったため、牧師や信者が金を出して教会内に事務所を開いた。
昨年4月以降、「連絡が取れない」という依頼者の相談が弁護士会にあった。
昨年11月に秩父市で路上生活をしているところをいったん保護されたが、再び消息を絶ったという。
(2013年3月22日07時25分 読売新聞)
あまり考えたくなかったですが,ついにこういう「路上生活弁護士」まで現れるようになってしまったのが,今の弁護士業界の実態なのですね。
司法試験合格者の激増により,弁護士資格を取得しても経済的に「食べていけない」人が激増したのは周知のとおりですが,前回のジョーク記事で書いたように食べていけない弁護士が「エア依頼者」なんてやっているのはまだ良い方で,この事例のように,食べていけない弁護士を何とか経済的に再建させようとしても,それによって多数の「被害者」が出現してしまう可能性もあるのです。
葛西弁護士に対する「退会命令」という懲戒処分は,会費を長期間滞納していれば当然のように出されるものであるため,依頼者からの預かり金などを清算せずに失踪したことにより,特に重い処分が出されたと評価することはできません。また,路上生活中ないし失踪中の(元)弁護士が相手では,たとえ損害賠償請求の勝訴判決を取っても強制執行できる可能性はほとんどなく,弁護士会も個別の事件について監督責任を負っているわけではないので,実効性のある被害者の救済方法も存在しません。
法曹養成制度検討会議では,未だに「広く資格を与えると,良い人材が入りやすくなり,業界の質は向上する」というピントの外れた議論がなされているようですが,こういう「路上生活弁護士」が増えたところで業界の質が向上するはずもなく,また数だけは多くても底辺の弁護士は信頼できないということで,弁護士に対する市民のアクセスはかえって困難になるばかりではないかという気がします。
失踪弁護士に懲戒の退会命令…以前は公園で生活
埼玉弁護士会は21日、埼玉県飯能市の葛西清重弁護士(66)を退会命令の懲戒処分にしたと発表した。
退会命令は除名に次ぐ重い処分。葛西弁護士は昨年9月に失踪し、現在も行方が分かっていない。処分は19日付。
同会の発表によると、葛西弁護士は昨年9月、債務整理など30件以上の依頼を受けていたが、預かり金などを清算せずに失踪。同会と日本弁護士連合会の会費も昨年6月分から滞納していた。
弁護士事務所を開設する際に協力したプロテスタント教会の牧師によると、葛西弁護士は2009年末、公園で生活していた。弁護士資格があったため、牧師や信者が金を出して教会内に事務所を開いた。
昨年4月以降、「連絡が取れない」という依頼者の相談が弁護士会にあった。
昨年11月に秩父市で路上生活をしているところをいったん保護されたが、再び消息を絶ったという。
(2013年3月22日07時25分 読売新聞)
あまり考えたくなかったですが,ついにこういう「路上生活弁護士」まで現れるようになってしまったのが,今の弁護士業界の実態なのですね。
司法試験合格者の激増により,弁護士資格を取得しても経済的に「食べていけない」人が激増したのは周知のとおりですが,前回のジョーク記事で書いたように食べていけない弁護士が「エア依頼者」なんてやっているのはまだ良い方で,この事例のように,食べていけない弁護士を何とか経済的に再建させようとしても,それによって多数の「被害者」が出現してしまう可能性もあるのです。
葛西弁護士に対する「退会命令」という懲戒処分は,会費を長期間滞納していれば当然のように出されるものであるため,依頼者からの預かり金などを清算せずに失踪したことにより,特に重い処分が出されたと評価することはできません。また,路上生活中ないし失踪中の(元)弁護士が相手では,たとえ損害賠償請求の勝訴判決を取っても強制執行できる可能性はほとんどなく,弁護士会も個別の事件について監督責任を負っているわけではないので,実効性のある被害者の救済方法も存在しません。
法曹養成制度検討会議では,未だに「広く資格を与えると,良い人材が入りやすくなり,業界の質は向上する」というピントの外れた議論がなされているようですが,こういう「路上生活弁護士」が増えたところで業界の質が向上するはずもなく,また数だけは多くても底辺の弁護士は信頼できないということで,弁護士に対する市民のアクセスはかえって困難になるばかりではないかという気がします。
これは1997年のドラマでしたが、貧しい(清貧な)弁護士は昔からおられたと思います。宇都宮健児弁護士も、サラ金事件をやる前には、予備校講師で食いつないでいた時期がありましたし。なので「ついに出た」は言いすぎな気が・・・。
もちろんだからと言って、現在の司法制度改革が妥当と言うわけではありません。このまま改革を推し進めれば、弁護士の横領事件も増えるでしょうし、一般市民が被害をこうむる事も多くなるのでしょう。
そういえば、端的にいえば弁護士を貧しくさせる改革は近年、少なくない国で起きたようですね。これは憲法の統治分野における研究対象になるのでは?司法の衰弱などという議論で、近い将来、憲法の教科書に載ったりするのではないかと思っております(笑)。
彼らは相変わらず儲けてる気がしますが。
医師会が強いのかな?
売っていると聞いたことがある。
数が増えたら取り分減るのは経済学の原則・・・。
数が増えてマーケット増大するとか、潜在需要云々
とかは騙される側も共犯だよね。
ロースクールが出来る前の話しですが、同期に失踪してホームレス状態になって保護されたと噂になっていた人がいました。
登録番号が4万番台っていうのは、一度会費が払えなくて抹消して再登録しただけなのでしょう。
それを宗教団体に拾ってもらって弁護士活動を再開したものの,重度のコミュ障故に仕事をこなせず,パンクして再び失踪したという経緯。
だから,この件に関しては,この弁護士個人の問題でしょ。
とはいえ,法曹大増員が間違いだったのは明らか。
同期に相談できなかったのか、昔から退会処分はたいへん不名誉。。人生の再起、ご本人の健闘をお祈りする。