最近ブログの更新が滞ってすみませんが,新司法試験の結果発表が出たので,とりあえずコメントしておきます。
法務省のHPによると,平成24年度新司法試験の合格者は2,102人でした。前年度(平成23年度)の試験と主な数字を比較してみると,こんな感じになりました。
出願者数 11,891人 → 11,265人
受験者数 8,765人 → 8,387人
合格者数 2,063人 → 2,102人
合格率 約23.5% → 約25.1%
合格ライン 765点 → 780点
昨年より若干合格者数と合格率が上がっていますが,おそらく予備試験合格者が質の向上に寄与しているのでしょう。
ただし,合格者数自体は昨年より増えたとはいえ,法曹関係は就職氷河期のまっただ中ですし,司法修習が貸与制に移行し,当分給費制の復活も絶望的という状況ですから,司法試験に合格しても修習に行かない人は増えるでしょうね。あるいはそれを見越しての合格者数増なのかも知れません。
法科大学院別の合格者数については概ね例年どおりで,特筆するような現象は見当たらなかったのですが,予備試験合格者については受験者数85名中58名が合格(合格率約68.2%)という結果になりました。黒猫としては7割くらいになるかなと予想していたのですが,概ねそのとおりになりましたね。
そして,予備試験合格者関係のデータの中で興味深いのは,平成24年度司法試験受験状況(予備試験合格者)と題された以下の資料です。
http://www.moj.go.jp/content/000101958.pdf
これによると,年齢別では20~24歳の受験者が31人中30人合格,25~29歳の受験者が4人全員合格と大健闘しているのに対し,30代以上の年齢層では苦戦が目立ちます。そして,職種別・最終学歴別の項目を見ると,大学生(28人中26人合格)の成績が突出しています。
もともと,旧司法試験では合格者の総数が少ない中で何とか若い人を合格させようとして,択一試験では事務処理能力を問うパズルのような問題が出題されていたため,「受験秀才」と呼ばれる大学生くらいの若い人が合格する一方,30代以上の合格はやや厳しいという傾向がありましたが,そのような傾向は新司法試験になっても基本的に変わっていません。
そのため,予備試験が施行されたことで,旧試験時代にも存在した「受験秀才」が新試験でも健闘することはある程度予想されていたことなのですが,予備試験合格に基づく受験者全体の最終合格率が7割弱にとどまる一方で,20代の受験者に限って見れば35人中34人が最終合格,要するに20代の予備試験合格者であればほぼ全員が合格というのは何とも極端な結果になりました。
そして,法科大学院の教育は司法試験合格のために必要ないし有益なものでは全くなく,また合格後の実務のために有益なものでもないことは既に多くの人が指摘しているとおりですから,司法試験に合格できる力のある人なら,法科大学院なんぞに行くのは全くの無駄であり,現行制度の下でも予備試験を経由して司法試験合格を目指した方が良く,また合格できる可能性も十分にあるということが立証されたわけです。
また,内閣府の規制改革会議では「予備試験の実施に際しては,法科大学院修了者と同様の素養があることを判断するためのものであるという本来の趣旨を確保する必要があり,したがって,新司法試験の合格率において予備試験合格者と法科大学院修了者との間で可能な限り差異が生じないようにすべき」であると指摘されているところ,前者の合格率が後者の合格率の2倍以上となっている今回の結果は明らかに不当なものであり,仮に現行の司法試験制度が続くとしても,今後の予備試験では合格者数を大幅に増加させる必要があることは言うまでもありません。
なお,最近ネタ切れ気味なのでまた更新が滞るかも知れませんが,一応次回は日弁連の問題について書くつもりです。
法務省のHPによると,平成24年度新司法試験の合格者は2,102人でした。前年度(平成23年度)の試験と主な数字を比較してみると,こんな感じになりました。
出願者数 11,891人 → 11,265人
受験者数 8,765人 → 8,387人
合格者数 2,063人 → 2,102人
合格率 約23.5% → 約25.1%
合格ライン 765点 → 780点
昨年より若干合格者数と合格率が上がっていますが,おそらく予備試験合格者が質の向上に寄与しているのでしょう。
ただし,合格者数自体は昨年より増えたとはいえ,法曹関係は就職氷河期のまっただ中ですし,司法修習が貸与制に移行し,当分給費制の復活も絶望的という状況ですから,司法試験に合格しても修習に行かない人は増えるでしょうね。あるいはそれを見越しての合格者数増なのかも知れません。
法科大学院別の合格者数については概ね例年どおりで,特筆するような現象は見当たらなかったのですが,予備試験合格者については受験者数85名中58名が合格(合格率約68.2%)という結果になりました。黒猫としては7割くらいになるかなと予想していたのですが,概ねそのとおりになりましたね。
そして,予備試験合格者関係のデータの中で興味深いのは,平成24年度司法試験受験状況(予備試験合格者)と題された以下の資料です。
http://www.moj.go.jp/content/000101958.pdf
これによると,年齢別では20~24歳の受験者が31人中30人合格,25~29歳の受験者が4人全員合格と大健闘しているのに対し,30代以上の年齢層では苦戦が目立ちます。そして,職種別・最終学歴別の項目を見ると,大学生(28人中26人合格)の成績が突出しています。
もともと,旧司法試験では合格者の総数が少ない中で何とか若い人を合格させようとして,択一試験では事務処理能力を問うパズルのような問題が出題されていたため,「受験秀才」と呼ばれる大学生くらいの若い人が合格する一方,30代以上の合格はやや厳しいという傾向がありましたが,そのような傾向は新司法試験になっても基本的に変わっていません。
そのため,予備試験が施行されたことで,旧試験時代にも存在した「受験秀才」が新試験でも健闘することはある程度予想されていたことなのですが,予備試験合格に基づく受験者全体の最終合格率が7割弱にとどまる一方で,20代の受験者に限って見れば35人中34人が最終合格,要するに20代の予備試験合格者であればほぼ全員が合格というのは何とも極端な結果になりました。
そして,法科大学院の教育は司法試験合格のために必要ないし有益なものでは全くなく,また合格後の実務のために有益なものでもないことは既に多くの人が指摘しているとおりですから,司法試験に合格できる力のある人なら,法科大学院なんぞに行くのは全くの無駄であり,現行制度の下でも予備試験を経由して司法試験合格を目指した方が良く,また合格できる可能性も十分にあるということが立証されたわけです。
また,内閣府の規制改革会議では「予備試験の実施に際しては,法科大学院修了者と同様の素養があることを判断するためのものであるという本来の趣旨を確保する必要があり,したがって,新司法試験の合格率において予備試験合格者と法科大学院修了者との間で可能な限り差異が生じないようにすべき」であると指摘されているところ,前者の合格率が後者の合格率の2倍以上となっている今回の結果は明らかに不当なものであり,仮に現行の司法試験制度が続くとしても,今後の予備試験では合格者数を大幅に増加させる必要があることは言うまでもありません。
なお,最近ネタ切れ気味なのでまた更新が滞るかも知れませんが,一応次回は日弁連の問題について書くつもりです。
三割以上落ち若い人に偏ってるのは意図的ではないかと疑ってしまいます(^_^;)
三振組?の予備試験合格者は全滅したとかも…。
ロー制度維持の為に予備試験組には厳しく採点した…とか。
慶応の不正もあったぐらいなので油断なりません…。
特に論文試験の採点ははゲタを履かせたり厳しくしたりできるので…合格率僅か1.8パーセントの予備試験組が七割に届かないなんてもし不正がなければ新司法試験も超難関だといえるでしょう。 まぁそれでも旧司法試験との異様な格差はあるかもしれませんが…。
有利だと思うけどなあ。ロー制度維持のためなら、予備試験合格にも
ロー経由の方が有利としておかないとダメなんじゃないかと。そういう意味で公平な結果だったとは思いますよ。
ちなみに私はローの問題を、在野インテリ(弁護士)と学問インテリ(研究者)を互いに潰し合わせる国の方針だと考えてます。余談でしょうが
予備試験組が三割以上も落ちるとは新司法試験は簡単というの人はほとんどいなくなるでしょう。
それでも旧司法試験との比較では簡単かもしれませんが…。
若手も大事ですが別の社会人経験のある法曹はそれなりに必要だと思います。
今回不合格だった予備試験組の次回以降の健闘を祈ります。
合格者は1000人以下にしないと、この業界はどうせ持たないんだから、変に麻縄で首を絞められるより、一思いにやっちゃった方が良いでしょ。
法科大学院も弁護士会強制加入制度も無い自由な業界で自由にやればいいじゃん。
司法改革の真の目的は、規制排除の新自由主義なんだからさあ。
それが望みなんでしょ?
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/51976851.html
とおっしゃられてますね。
昨年は1301人受験で123人しか論文に合格できなかったことを考えると、今年は論文合格者が急増しました。急増した理由は、先月11日に発表された司法試験合格発表において、予備試験ルートの受験生の合格率が7割近くとなり、法科大学院修了生の合格率と大きな差異が生じたためです。ご存知のように、予備試験は法科大学院修了レベルを判定する試験です。「平成20年3月25日閣議決定規制改革推進のための3か年計画」においては「(新)司法試験の合格率において予備試験合格者と法科大学院修了者との間で可能な限り差異が生じないようにすべき」と定められています。そこで法科大学院制度への影響等も考慮して、前年度比2倍程度の233人となったものと思われます。
これで閣議決定を尊重する方向性が明確になりました。今後、予備ルートの受験生の司法試験合格率が法科ルートよりも高くなっている限り、予備試験の合格者は段々と増えていくことになります。